人生の先輩に励まされた話
フランス語の授業クラスには、30代以上の人が多い。その中で、ひときわフランス語が良くでき、3児の父である、シリア出身の男性がいる。
彼は授業中も積極的に先生に質問をする。しかも、「この言いかえは使える?」等かなり高度な質問ばかり。
普段は無口なタイプでもあるので、話しかけづらく、あまり話したこと無かった。
しかし、一度フランス語の問題で分からないことを質問したことをきっかけに、最近授業の合間におしゃべりをするようになった。
自己紹介のほかに、フランス語の勉強について話した。
彼は、シリアで戦争が始まって以来、ドバイなど国を転々とした後、フランスに来たらしい。フランスに来てからは、トラックドライバーとして働いた後、今は語学学校で授業を受けている。(ウクライナ、アフガニスタン、シリア出身の人はかなり多く、みんな授業料が無料らしい!)
過去にフランスで働いていたこともあるため、かなり会話ができる印象である。
そのことについて彼は、
「会話はできるけれど、将来的にフランス国籍を取るためには、ペーパーテストを受ける必要があるので、文法や書くことが非常に重要だ。だから、基礎の基礎からこの学校で学んでいる」
と言っていた。
そして、私が「文法や作文のテストはすごく得意だけれど、聞いたり話したりすることはまだ苦手なんだ…」
と伝えたら、
「やっぱり外国語をレベルアップさせるには、文法が非常に重要だよ!!すごいよ!」
と言ってくれた。
この言葉で非常に励まされた。今まで毎週出される文法のワークブックがどうしても面倒だなと感じていたが、この日を境に、毎日のようにこつこつ取り組むようになったし、面白く感じてきた。
もう10年以上も母国に帰れない状況の中で、海外で必死に勉強し、生きている彼を尊敬するし、私も負けていられないと、日々の勉強により力が入った。