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キューバ旅行記(1)~メキシコシティ空港でテキーラパーティー!?~
行列。遠くに立つ入管の手招きを、少しソワソワして待つ。メキシコシティ空港の広い空間。ファーウェイの巨大な広告。横を見ると日産も大きな広告を出している。後はサムスン等。入管に手招きされる。
入管の前まで歩き、メキシコ出入国カード空港を経由するだけでも必要やパスポート、航空券等を出す。無事検査終了。緩やかな坂を登る。荷物受け取りスペースは用が無いから通り過ぎる。(ハバナで受け取るのだ) エスカレーターを登る。
航空機乗り場と店が連なる巨大なスペース。天井からは巨大なファーウェイのモニターが吊り下げられている。これから約六時間、時間を潰さないといけない。
飛行機に十五時間以上乗っていたのでフラフラだったが、待合の椅子に座りガイドブックを見ながら、簡単な挨拶と数字だけ確認した。アナウンスで飛行機の番号が呼ばれるので、それを日本語に頭の中で変換して、答え合わせをする。反復する内に、これであまり英語が通じないらしいキューバでも買い物はできるだろう、と自信を付ける。
空港の店は米ドルかメキシコのペソが使えるらしく一万円くらい米ドルに変え、スターバックスでアイスコーヒーを注文する。しかし$20(だったと記憶している)という表記に驚く。そんなに両替していない。しかし店員さんはコーヒーを作ってしまっている。財布からとにかく米ドル札を出していると、3米ドルでいい、と言われ安堵して出す。
席に座り、乾いた喉を潤しながら細長いレシートを見てやっと、$20がメキシコの通貨表示だったことを理解した。20米ドルだったらいくら何でも高すぎる。
とりあえず空港内をうろうろする。コンビニみたいなところでコーラを買ったり、免税店で二回程テキーラの試飲をして気分がフワッとしたり、サブウェイで言葉も分からないのに一回一回トッピングを選ばされてあたふたしたりして過ごした。もうトッピングを聞かれないだろうとレジに移ったら、「まだ終わっていない、戻れ」、と言われ、ほとんど何も分からないまま選んだ。メキシコの人もあまり英語が通じず、大学の第二外国語の授業以来全く使っていないスペイン語を、私はほぼ忘れてしまっていた。
だからこそ、基本的な買い物や、自分の飛行機乗り場の場所を聞いたりするのは、キューバへ行くための大袈裟に言えば「社会訓練」になった。
夕方の曇った街。密集している家や建物。赤い屋根が目立ち、かさぶたみたいなメキシコシティが遠ざかっていく。(ちなみに帰りは夜のメキシコシティを見たが、平地も傾斜が急そうなところも、光が密集して美しかった)
曇った視界を抜け、夕方の空が広がる。
窓際の席。隣の二つの席には小学生ぐらいの少年と中年ぐらいの女性。二人が話しているのを見ると親子かもしれない。女性の青いパスポートがチラッと見えた。キューバの国章が表紙に書かれていた気がする。
機内食の飲み物の蓋を開けるのをてこずって、隣の少年に助けてもらったり、彼が夕日の写真を撮りたそうにしている時は窓際なので身体を引いてあげたり、ささやかな交流をした。
二時間以上経ち、すっかり夜中になった。飛行機の翼の点滅しか光が見えなかったところに、地上の光がポツポツ見えだした。キューバの明かり。胸が高まる。光が広く密集している箇所があったり、道のように光が続いていたり、予想よりもキューバの夜は明るい。よく教科書で見た、同じ社会主義国の朝鮮民主主義人民共和国の衛星写真の暗闇から類推して、キューバも暗いのかと予想していた。
着陸態勢に入り、飛行機が揺れながら地上へと近づいていく。更に胸が高まる。
四月二十八日深夜。日本から丸一日以上の旅路を得て、ホセマルティ国際空港に到着した。(続く。数日おきぐらいに更新予定)