今日の『東京新聞』感想~鋭い視点。鋭く無い視点~
新聞の感想をnoteに書くのは我ながら珍しいのだが、割と面白い記事があったので、書いてみる。
一面下の「筆洗」で、広島の平和記念式典にロシアを招待しなかったが、招待するべきたっだ、という記述があり、興味深かった。オバマが広島を訪れた際に謝罪をしていない事にも触れていた。「現在進行形で侵略行為をし、核威嚇をするロシアを呼ばないという考えは分かるが、最近までそういった事を散々やってきた米国は呼ぶ、という事に一貫性はあるのか」と考えていた私としては、興味深い意見であった。
二面の広告に日本赤軍最高幹部であった重信房子の著書が特集されていた。幻冬舎の広告で、見城徹氏のコメントまであった。権力と繋がり、有名編集者のセクハラ等でも問題になっており、幻冬舎には良いイメージが無かったが、意外な感じがした。
四面国際面。これはよくない。ロシア批判の記事。スターリン時代のフィンランドへの侵略を起点に、「プーチンはNATOに対して被害妄想を膨らませ、今回の侵略行為に走ったが、逆に北欧がNATOに取り込まれた。逆効果」という記述だった。しかしロシアがいつも侵略的であった訳では無く、NATOの拡大の方法は欧米の専門家や外交畑の人間も問題視していたし、他にもトルコの存在が抜け落ちており、「とにかくソ連やロシアを叩ける材料を切り貼りして文脈を作った」のが見え見えである。これではプーチンの歴史観と五十歩百歩である。物語性を魔術的に加味してくるだけ(決して賛同できないが)プーチンの主張の方が説得力を持つ(ように見えてしまう)とも言える。
社説は米国主導の新しい経済枠組みについて、「米国が自己都合で対中国を押し出しすぎると、東南アジア等の参加各国が警戒する」という主張があり、まっとうであった。
二十九面。本音のコラム。カリーマ氏が、ブッジュ前大統領がウクライナをイラクと言い間違え、直後にポロッと、アメリカのイラク侵攻も侵略だったと認めた、という話についてのコラムで、なかなか興味深かった。
他にもいくつか興味深い記事はあったが、特に気になったのは上記の通りである。東京新聞はもともと国内の記事は鋭いものも多いかな、と思っていたが、国際面はどうしても、画一化が目立ち、「あまり面白くない」と思う事が多かった。しかし国内記事で見せる鋭さが国際面で活かされることも時々あり、今回は特にそのような印象を持った。
ウクライナ侵略から約三か月経ち、多様な意見や「本音」が出始めているのかもしれない。