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写るんですみたいな 、 エモい プリ機

そのプリクラは田舎の駅ビルの下【 プリクラハウス 】と呼ばれる、プリクラの機械だけが置いてある店にあった。

そのプリ機は何より色味がかわいい。今時の言葉で言うとエモい。写るんです(カメラ)のようなアナログな感じの色味でボケ具合も良いのだ。多分昔のプリクラで一番好きな機種だ。

時は2000年。友達から初めてその機種で撮影されたプリクラをもらった時、初期(1996〜1999年頃)のフレームありきのプリクラに目が慣れていた私にとって、フレームのないプリクラがとても新鮮だった。そして角も丸くない。

初期のプリクラのように、変に赤黒く写ったりしない。芸能人のPVに出てくる映像のような色味だった。顔も光飛びしていて目と口が少ししか写ってないのが新鮮でお洒落に感じた。




まず、背景が白しかなかった時代に突如として現れた背景カーテン。厳密に言うとカーテンでは無く、柄の入った布だった。100均にあるような小さめの突っ張り棒に、カラフルな花柄や星柄、虹色等様々な布を巻いたものが無造作に背景の布としてダンボールに突っ込んであった。

その中から好きな柄(背景)を選び、自分達でセットするのだ。後ろに突っ張り棒を通す輪っかがあり、背景がセット出来るようになっていた。後の機種に出てくる合成背景とは違って、自分達でプリを作り上げる感があった。

そう、このプリクラは撮る人が手作業で準備をする、アナログなプリ機だった。

プリ機全体の見た目もお馴染みの箱型ではなく、赤いカーテンで空間が区切られていた。近いもので言うと試着室のような空間だった。この為、背景をセットしないと赤い背景になる。


手作り要素はまだ有る。これもまたダンボールに無造作に入れられた中華帽や、うさ耳、カエルや猿の被り物、ロシア帽、ティアラ、アフロのかつらや造花など、好きなアイテムを選んで、それを自由に使ってプリクラを撮ることが出来た。

写りに関して言うとプリクラの色味をブルーっぽくしたい場合、カメラに青いフィルターをつけて撮影する。今のように機械が行うのではなく、自分たちでカラーセロファンが付いているフィルターをカメラのレンズ前にセットする。

明るさやピント(ボケ具合)も自分達で調整する。カメラも小型で自由に動かせるので、位置や角度も好きなように変更できた。様子は常に画面に映っているので、プリクラを撮る事前準備をお金を入れる前に行い、全て整ったらお金を入れてスタートする。撮影時の3.2.1位でほぼ無言の機械だった。

機械が喋らないので急かされることもない。こんな感じで撮るのに時間をかける人が多かったからか、全盛期には4〜5台ほど同じ更衣室のようなプリ機が並んでいた。




フィルター、背景、アイテム、写りの4つを自分達で選択することで、撮る人それぞれの個性が出るプリクラを撮ることが出来た。それが当時とても画期的だったように思う。だから好きだったのかもしれない。これが私の好きな機種についての記録だ。

当時のプリクラを模写したイラスト


個人的にはブルーのフィルターが新鮮でお洒落に感じた。昔のCDジャケットみたいな写りになるのが格好良い。被り物を使ったプリクラはカラフルで2000年味がある。そして光飛びするので最近ではあまり見ないドアップで写っている人がいるのも好きなところ。

当時は全てアナログでやっていたことが、あっという間に機械が全ていい具合にやってくれる時代になった。今回述べた機種のようなアナログなプリクラは後にも先にも見かけていない。

だから誰かに伝えたかったのかも。昔もこんな可愛い機種ありましたって。



ELIE

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