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偏愛、コレクションとしてのプリクラ。

中学校に入ってから初めてプリ帳を作った。プリ帳とはプリクラをノートやアルバムにプリクラを集めて貼ったものである。特に決まった形式があるわけではなく、基本は自由だ。ネットで見かけたことがある人もいるかもしれないが、プリクラと一緒に、絵や雑誌の切り抜きが貼られていたり、文字や歌詞が書かれていることもある。

私がプリ帳を初めて知ったのは、2つ上の姉のように慕っていた従姉妹の作ったプリ帳だった。彼女は県外に住んでいたが、会う度に興味があることを教えてもらって真似したり、流行っているものを教えてもらって参考にしていた。今のようにSNSがない時代だったので、流行は身近な人や雑誌、テレビなどで知ることが多かった。

従姉妹は無印のアルバムにプリクラをぎっしりと敷き詰めるようにして貼っていて、それがとてもお洒落に見えた。なるほどこんな風にプリクラをコレクションするのが流行っているのかと知ると同時に、自分も早く従姉妹のようなプリ帳を作りたいという気持ちにかられた。

程なくして自分もプリ帳を作るようになった。私がプリ帳を作る時にこだわっていたことは、プリクラの機種ごとに貼ることだ。もらった順番でどんどん貼っていく人も多かったが、神経質で几帳面なところがある私は、プリクラをできる限り美しく貼ることを目標としていた。

もらったプリクラも自分が撮ったプリクラも、すぐにプリ帳には貼らず、缶の中に一旦集めて、同じ機種のプリクラが集まるのを待ってから貼っていた。集まったプリクラを機種ごとに分類して貼る時が至福の時間だった。

現在、プリクラの機械を作っているのはフリュー株式会社の一社のみになったが、私が中学生の頃はプリクラ乱立時代で、様々な会社がプリクラの機械を作っていた。それ故、現在と比べるとプリクラ自体の個性が強かった。プリクラを分類するにはプリクラを観察するところから始まる。

まず見るのは印刷されている用紙。シールの台紙を含め、紙の厚さが厚いものもあれば薄いものもある。ペラペラなものは割と光沢感が強く、厚いものはマットな質感のものが多かった。また、インクの色味が薄いものもあれば、濃いものもある。そこをよく見分けて分類する。

厚さごとに分けたら、プリクラの落書きに注目する。厚さや質感だけだと完全には分類しきれないものも時々ある。落書きに使われているペンや、スタンプの特徴を観察して見分けるヒントにする。そうすることで、これは同じ機種だと判明し、分類できるものもあった。

さらに背景も重要な手掛かりだった。背景に元々色や、柄がついているもの、カーテンがあるものは分かりやすい。背景が白い時も、明るい白もあれば、暗い白、青みがかった白など、作っている会社によって写る色味が違った。

プリクラ乱立時代なので、どんどん新しい機種が出て、古い機種はなくなる。そうするとどうしても仲間はずれになってしまうプリクラや、その機種で撮る人が少なくて、中々集まらないプリクラもあった。しかし、粘り強く同じプリクラが集まらないか待ち続けていると、不意にもらえたりすることもあった。そういう時にも深い喜びを感じた。

そんな感じで夢中になって作っていた昔のプリ帳を眺めると、プリクラの質感にもやはり時代を感じる。紙質から感じる温もりというのか、あの頃の空気というのか、古いプリクラ達を愛おしく感じてしまうのだ。

今のプリクラはデジタル画像もあるが、この頃は純粋にプリクラシート1枚だけだった。1枚だけの物質としてでしか存在していないプリクラ、だから貴重に思うのもあるかもしれない。

友達の撮ったプリクラを貼って何が楽しかったのだろうと、中にはそう振り返っている人もいる。しかし、友達からもらうプリクラは、撮った人同士で半分に分け、自分用を残した上で余ったものがもらえる。枚数もそんなに多くない中の、貴重な1枚だ。私は当時プリクラをもらう時、いつも嬉しくて興奮した。

プリクラには写真とは違う、楽しさとかふざけた遊びの空気みたいなのがより濃く出ているから見るのも楽しい。友達の頭の中がちょっと見えるような気もする。

また、自分だけのプリクラよりも友達のプリクラがあるからこそ、青春時代がプリ帳の中に丸ごと密封されてるような感じがする。今でもプリ帳を少し開くと、全く飽きなくて思った以上に長い時間見続けてしまうのだ。


ELIE



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