おすすめの曲⑱:モーツァルト「アダージョとロンド」
本日の「おすすめの曲」です。さっき書いた、外山雄三(とやま・ゆうぞう)のラプソディもそうなのですが、もう1曲、紹介させてください。モーツァルトの「アダージョとロンド」K.617です。これは、グラスハーモニカ、フルート、オーボエ、ヴィオラとチェロのための作品です。
グラスハーモニカというのは、グラスをぬらして指で触って音がする原理を使った楽器で、これ以上、うまく説明できませんので、映像つきで解説している動画などをご覧ください(手抜きですみません)。この曲は、モーツァルトが作曲した、グラスハーモニカのためのオリジナル曲で、貴重です。ケッヘル番号が600番台になっていることからもご想像がつくと思いますが、ほんとうにモーツァルトの晩年の作品で、静かで穏やかな作品です。
この曲も、私はやったことがあります。とはいっても、グラスハーモニカとやったわけではありません。もちろんモーツァルトも、グラスハーモニカがないとこの曲が演奏されないのは痛いので、ピアノで演奏してもよいことになっており、われわれもピアノで演奏しました。すなわち、ピアノ、フルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロで演奏しました。グラスハーモニカで演奏すると、とくに後半のロンドは、どうしてもゆっくりしたテンポになるため、ピアノで演奏したときは、もっとずっと速いテンポになります。短いモーツァルトの晩年の室内楽作品として、お楽しみいただけるのではないかと思っております。まさに「おすすめの曲」です。
大学1年のとき、寮の先輩からもらったCDに、この曲が入っていました。ブルーノ・ホフマン(グラスハーモニカ)、ニコレ(フルート)、ホリガー(オーボエ)、カール・シャウテン(ヴィオラ)、ジャン・デクルース(チェロ)という演奏でした。のちに、私がやりたくて、楽譜を購入し、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、ピアノの友人と、やりました。このCDの演奏が、グラスハーモニカがやたらゆっくりなので、そのCDの影響を受けて演奏していたわれわれは、指導してくださったあるオケのオーボエの先生から「もっと速い曲では?」と言われた記憶があります。当時、よくあったCDは、グラスハーモニカのパートをチェレスタで演奏しているもので、チェレスタという楽器はモーツァルトの時代にはなかったのですが、感じを出すために、ピアノでなくチェレスタでやっていたのでしょう。いまは、NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)にしても、グラスハーモニカで演奏している録音は増えました。ホフマンより速いテンポで演奏しているものも多くなりました。YouTubeでもいろいろな演奏がありますので、お好きな演奏でお楽しみください。リンクをはれなくてすみません。モーツァルトの晩年の境地、グラスハーモニカの浮世離れした音色、木管と弦楽器の響き、15分くらいという適度な短さ、いずれをとっても、聴くかいはある魅力的な音楽だと思います。おすすめです。
以上です!
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