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バスの運転手さん、バスガイドさん

 ほんとうに、路線バスの運転手さんを見ていると驚きです。私には不可能な、「同時にいくつものこと」をこなしておられます。まず「運転」そのものが「同時にいくつものこと」をしていますが、そのほか、ピンポンを押す人がいたら停まらねばならず、誰も押していなかったら停まってはならず、誰かがバス停で待っていたら停まらねばならず、しかもダイヤ通りに運行するって、どれほど難しいことか!と思うのですが、以下は、観光バスの話です。

 教員だったころの話です。中学の新入生の合宿の引率がありました。6クラス250人の引率でした。もちろんたくさんの教員で引率しています。プログラムに、登山がありました。体力に自信のない私は、登山の引率をお断りし、当日、体調不良などで登れない生徒さんのための、たとえば近所の美術館めぐりなどの「登らない教員」の役割を引き受けました。結局、新入生全員、教員も私以外全員、カメラマンも含めて、みんな登りましたので、私は、ひとり登らず、バスに残りました。ほんとうは、(クリスチャンとして)「合宿のしおり」を持って行って、下にいるあいだ、新入生全員の名前をあげて、「お祈り」をしようと思っていましたが、しおりを忘れたので、それができなくて残念でした(ほんとうは、「しおりを持ってくるな」という話だったからですが、それは登る人向けの指示で、私は登らないから持って来てもよかったのです)。

 さて、みんなバスを降りました。私だけ残りました。ほんとうに、全員を覚えて祈りたかったのですが、それはできません。ひたすらヒマでした。しかし、そこで、「客がいないあいだのバスの運転手さん、バスガイドさん」の働きを見たのでした。

 まず、かんたんに「打ち上げ」みたいなのがありました。お菓子とお茶で「乾杯」しました。私もあずかってしまいました。しかし、その休憩は5分くらいで、すぐに皆さん、仕事を始めました。バスガイドさんは、ひたすら勉強しておられました。いろいろアナウンスでしゃべったりするのにも、これほどの準備をするのだ、と思わされるほど、ひたすら勉強しておられました。運転手さんは、これもひたすら、バスのお手入れです。私はそもそも車自体を運転できませんので、あんな大きな車のお手入れというのは、どういうふうにするのかわかりませんでしたが、皆さん、黙々と勤勉に、バスのお手入れをなさっていました。みんなが山登りをしているあいだじゅう、バスガイドさんとバスの運転手さんは、ひたすら働いておられました。観光バスのガイドさんや運転手さんが、乗客のいないあいだ、こんなことをなさっているなんて、まったく知りませんでした。何時間も働いたうえで、まだバスのお手入れが終わらないくらいのタイミングで、彼らが下山してバスに戻って来る連絡が来たみたいで、みなさん急いで準備をし、下山のお迎えの場所まで運転していきました。そして、新入生や教員が乗ったら、またガイドさんはマイクでしゃべり、運転手さんは運転するのでした。驚きました。貴重なものを見ました。みなさん、観光バスのガイドさんや運転手さんは、お客さんがいないあいだも、ひたすら働いておられるのです!しかし考えてみると、教員も生徒の知らないところでいろいろ働いており、まして学校の事務職員は、教員すら知らないいろいろな仕事をこなしています(用務員さんだけではありません)。どこにでも、働いてくれている人がいるのですね。

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