95万人-1人
小学校の算数の教科書を見ていて、すごく気になることのひとつが、以下のような計算です。
たとえばですけど、以下のような計算が普通に書いてあるのです。
「北九州市の人口は、95万人です。1人、減りました。94万9999人になりました」。
これは、950000-1=949999ですから、非常に正しいように見えますよね。しかし、おかしいですよね?
つまり、「北九州市の人口は、95万人です」というのは、言うまでもなく「だいたい95万人です」って言っているのに、ぴったり95万人ですと言っているかのように次の計算をしてゆく。
小学校で、「概数」という概念を習います。「だいたいの数」という意味です。95万人は概数であって、上から2桁(いわゆる有効数字2桁)で、あとは四捨五入してあるわけです。「北九州市の面積」は、一定かもしれませんが、人口というのは、たったいま生まれているいのち、たったいま亡くなっているかたも含めて、つねに動いていますし、「だいたい」でしか言いようがないわけです。
そして、949999人というのは、有効数字6桁(!)であって、ものすごく正確な数字!
でも、上に書いたような計算が、小学校の算数の教科書には頻出するのです。
小学校の算数の教科書を書いている人は、「概数」の概念がわかっておられない、としか言えないと思います。
(「概数と聖書」という記事を書いたこともあります。リンクをはれなくて申し訳ございません。)
この問題、枝葉末節ではなく、算数の教科書を見ていると、かなり致命的な間違いだと気づいていくので、やはり、よくない間違いだと思います。
(あるとき、その算数の教科書に、「100年の秒数」が書いてありましたが、うるう年を数えていませんでしたからね!単純に、60×60×24×365×100でした。しかも、その数ぴったり。「だいたいこれくらい」というふうに書かないといけないでしょう。そのへんが、算数の教科書は、いちいちあいまい。)
算数の教科書を見ていて、最も大きな問題は、これだと思いました。書いている人が、「概数」を理解していないこと。そして、それを小学生に教えることの弊害もお考えになっていない。世の中は、そんなに「ぴったり」ではないですよ!
以上です。ここまでお読みくださり、ありがとうございました。