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「人間」が創り出すこの世の地獄、そして生きることを考えさせられる濃密な2時間…DIR EN GREY TOUR24 WHO IS THIS HELL FOR? @ KT Zepp Yokohama【備忘録的LIVEレポ】

そこには地獄がありました。メンバーがどういう意図で組んだかは分かりませんが、今ツアーのテーマは「人間」なのだと、私は解釈。
事前にセットリストの予想なんて全くできない、と言っていた私ですが、タイトルから冷静に読み解けば、半分ぐらいは当てることができたかもしれません。

リハサール中の京さんがおっしゃっていたことから「あらー、激しい曲がたくさんあるのかしら!」ぐらいにしか考えていなかったのですが、それどころではなく。肉体的だけでなく精神的にも“クる”内容でした。
闇、業、罪、愚、醜、哀、欲…人が生み出すあらゆる負の側面を表現するメニューが並べられた、タイトル通り「誰のための」ということを考えさせ続ける圧巻のセットリスト。いつものように感情を爆発させて叫び続ける京さんの唄声が、音が、詞が、次々と胸に響き刺さりまくったのです。
そしてこの地獄では、人が生きることを改めて感じることもできました。


公演

セットリスト

DIR EN GREY
TOUR24 WHO IS THIS HELL FOR?
2024.11.28 thu @ KT Zepp Yokohama

SETLIST
01:CONCEIVED SORROW
02:DOZING GREEN
03:THE IIID EMPIRE
04:Phenomenon
05:禍夜想
06:Celebrate Empty Howls
07:罪と罰
08:DIABOLOS
09:VINUSHKA
10:咀嚼
11:落ちた事のある空
12:The inferno
EN-1:The Devil In Me
EN-2:Cause of fickleness
EN-3:鱗
EN-4:Eddie

本編

オープニング
Shinyaさん…真っ白。いつも素敵!
Toshiyaさん…真っ赤、髪下ろしてる。いつも素敵!
Dieさん…お馴染みな感じ。いつも素敵!
薫さん…ドラケン悪魔王子ver。いつも素敵!
京さん…黒Tシャツ黒髪坊主ちょい伸びノーメイク。いつも素敵!

今年は激烈なスタイルが続いてた京さんだけど、またラフな時代がやってきました。異形な京さんも大好きだけど、ラフなのもこれまた良いのよ!

CONCEIVED SORROW
実は初めて生で聴いたのです。やはりCメロが強烈すぎて、圧倒的な生の歌声に震えてしまい、しょっぱなから感極まってしまいました。

DOZING GREEN
長らく聞き続けてきたこの曲も、実はLIVEで初体感。嬉しすぎて鳥肌が…。この曲の見どころ(聴きどころ)のひとつである京さんの鬼のようなホイッスルを堪能しまくり。全身が、魂から震える!
実は開場前物販の時にちらっとリハで叫びが聴こえてたもんで、「ああこれ来るのか!」となっていたりもしたのですが。

余談ですが、新日本プロレスの藤田晃生選手のフィニッシャー『Abandon Hope』が飛び出す度に、この曲が脳内再生されます。

THE IIID EMPIRE
2年ぶりの第三帝国に大興奮、爆裂都市・横浜でSPARK AND SPARKしすぎてToshiyaさんのマイクスタンド投げ捨てを見逃す痛恨のやらかし…。
いつも本編ラストやアンコールあたりでメンバーをカメラでとらえた映像がスクリーンに映し出されるけど、今回はこんな序盤から。まあ、加工が施されていたので、ご尊顔をクリアに拝見することはできませんでしたが…。(Photoshopのフィルターとか描画でこんなやつできたけど、名前を忘れた)
これが来るとは全く思っていなかったけれど、LIVEが終盤へ向かうつれて今ツアーのテーマを理解してくるとそれも納得。

Phenomenon ~ 禍夜想
官能的で退廃的、それでいて耽美でもあるゾーン。DIR EN GREYお得意の恐ろしくも美しい音に深淵まで引き摺り込まれる。
この辺りから、今ツアーのテーマを感じ始めました。

Celebrate Empty Howls
この曲も初めて生で体感!
アッパーからダウナー、静と動の変化、この楽曲が持つ魅力を全身で浴びる。
やはりCメロが強烈…京さんもフロアも一気に感情を爆発させて、一体感がすさまじい。

蜜と唾
披露されたのはパトリック・レノンがテーマとなっている再構築ver.ですが、原曲は女子高生コンクリート詰め殺人事件と、タイトル通りにどちらも人間が犯したおぞましい所業。
重々しい雰囲気に狂気にみちた歌唱、そして強烈に迫る言葉(歌詞)たち…はい、ここでぼんやり感じていた今ツアーのテーマを確信。
生で聴けたのは10年ぶりとかかも?

DIABOLOS ~ VINUSHKA
数あるDIR EN GREYの楽曲の中で、トップクラスに大好きな2曲。大好物の大作を連チャンで体感できる幸せたるや…!
「人間を辞めろ」からの「ここが真実だ」
感情が爆発して涙流しながら叫んで首振って拳を上げて。
歌詞にもある通り、DIABOLOSはデヴィッド・リンチの『ブルーベルベット』がモチーフなのかなとか思ってたりするんですが、どうなんでしょ。人の異常性、闇を映し出したものとしてはテーマにピッタリなんです。
それはもちろんVINUSHKAも然り。愚かさここに極まりとでもいうべきか、神にでもなろうとする人の罪深さよ…。

咀嚼 ~ 落ちた事のある空
咀嚼は意外な気もしたけど、歌詞を深読み・意図を妄想するとハマってるかもしれない。
落ちた事のある空はテーマにピッタリ。どこかでやるだろうと思った矢先に投下されたので撃ち抜かれました。
2曲続けて京さんから高音を唄わされるという無理ゲーを課していただいたので、喉が爆発。からの…

The inferno
地獄突入。久しぶりに業火で焼き尽くされて首まで大破。全力でDoomしすぎて全身が厳しい状況…この痛みに生を実感!
予想してなかったけれど、タイトルで考えたら組み込まれていて当然ですね。

アンコール

The Devil In Me
歌詞の英訳がツアータイトルにもなっているので、確実に披露されることが分かってはいたけど、楽曲のテーマになっているジョン・ウェイン・ゲイシーのことを考えると、それもさらに説得力が増すわけです。
折り込みに『テリファー』のフライヤーがありましたけど、やっぱキラークラウンであることから考えても、選ばれて納得な感じはします。

Cause of fickleness
ARCHEで1番リピートしてる曲なのです。発売当時、仕事中にずっと聴いていました。疾走感とノリがたまらなくツボで、久しぶりの生体感に歓喜!
残り何曲あるのか知らないけれど、だんだんと首がバカになり始めた。

鱗 ~ Eddie
ラストにこの連チャンはヤバすぎた。京さんの命令通りに死ねる。明日の仕事がやばそうだけど、そんなの知らんとばかりに、隣の人に負けないように、全力で暴れ倒してフィニッシュ。
EddieはすっかりLIVEの定番曲になりましたね、この1年で4回聴けました。

カーテンコール

拍手からの水撒きの儀であっという間に去っていく京さん。Shinyaさんもいつものように、スティックを施して颯爽と消えていきました。

アンコールでグッズのグレースウェットを纏ったToshiyaさん。カーテンコールでお立ち台に登った時に初めてボンテージを履いてることが分かり、その絶対領域の破壊力に場内がちょっとどよめく。

薫さんのピックが4列先で、Dieさんのタオルが5人ぐらい先で…手が届きそうで届かない距離で戦利品を逃して悔しさでいっぱい。と同時に、次の挑戦を決意。

所感

LIVE映像や音源でたくさん目と耳にしているせいか、何度も生で体感したことのあるような気がしたんですが、実は初体感だったのが4曲も。
『THE MARROW OF A BONE』、『DUM SPIRO SPERO』、の頃はLIVEに行けない時期だったので(『FROM DEPRESSION TO ________』でもチケット全滅…)だったので、ここから選出された楽曲を聴けたのは本当に嬉しかったのです。
個人的に大好物な大作(概ね7分ぐらいを超える長尺曲をそう呼ぶ)や、大好きなARCHEからの選曲も多くて、個人的には本当に満足度の高い公演でした。

今ここにある現世に地獄があるのだ。
人はなぜ誰のために地獄を作り出すのか。

冒頭で述べたように、このツアーで並べられた楽曲たち、そのテーマには、直視することをためらうような、人が創り出す負の側面がクローズアップされています。
そして、そんなこの世が地獄だけでないことも知っているからこそ、生きる目的と喜びも感じることができる。
いろいろと考えさせられた濃密な2時間でした。

首と腕と喉は死んだけど、今日もまた私は生きています!
DIR EN GREYが生み出す世界や楽曲にまたこれからも触れていきたい…だから、今日もこれからも生きていきます。

その他

素敵な京さん

Eddie前の京さん
「そこ!生きてるか!」
「後ろ!生きてんだろ!」
「2階!生きてるよな!」
と場内全体を煽りまくり、最後にフロアの真ん中あたりを指差し、若干の沈黙から突然「………ゔぁああー!」と叫ぶ京さん。
狂気と愛嬌が同居する男、京さん。
重く苦しい空気もほほえましい空気も同時に操ることができる男、京さん。
なんと愛らしくて素敵なお方なのだろうか!

𠮟りつける京さん
どの曲だったか忘れたけれど、フロア中央ぐらいを指さして「そこの金髪!生きてんのか!」と。羨ましさすら感じましてね。
(聞き間違いじゃなければ)

日替わり曲

今回のツアーはこの横浜公演が最初で最後の参戦となってしまったので、事前のネタバレにかなり気を付けて、何も情報を入れないまま当日に臨みました。
一夜明けて川崎~仙台までのセットリストをチェックして、これまたショックを受けたのです。

谿壑の欲
流転の塔
AMON
Values of Madness
蝕紅
激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
OBSCURE

どれもテーマにピッタリな楽曲たち。そして個人的なところだと、下の2曲以外は全てまだ生で体感したことがなく…悔しい!
行く予定が行けなくなった川崎と羽田にも行けていたら全て堪能できたと思うと余計に…。
また次への楽しみが増えたと、生きる目的ができたと、前向きに考えます。

パネル

2年前に来た時には外にあったんですが、今回はホワイエに設置されていました。運用が変わったのか?この日は風が強かったからなのか?分かりませんけれど。

2022年11月。夜に光が当たってる方が綺麗。

グッズ
ようやくTシャツのXXLサイズが出たので楽しみにしてたんですが、全サイズ完売。のーん。

余談

スタンディング
Zepp Yokohamaでは2階席にしか行ったことがなかったので、今回が初めての1階スタンディング。
このクラスで段差のないフラットなフロアというのも初めてだったので、後方からのステージの見え方がかなり気になっていたのですが、前に高身長の方がいらっしゃらなかったのもあって、きっちりメンバーは見えました。
もしかしてステージも高めだったりするんでしょうか?
各Zeppの仕様を知りたい。(新宿が1.2mというのだけは知ってる)

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