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ぬいぐるみ 一之助

それは江戸時代、不思議な形の楽器が船に乗ってやってきました。


珍しい物に目が無いお殿様はその楽器をとても楽しみにしていましたが、不思議なことに、運んでいる途中で行方が分からなくなってしまいました。


お城から少し離れた町に一人の少年がいます。


風が渡る音や水の流れる音、人の声や鳥の声など様々な音に興味があり、もっとなにか新しい音は無いかと探していた少年が、ある時見たことのないからくり装置を見つけました。


白や黒に塗られた細長い棒が規則正しく並んでいます。


恐る恐る触ってみると、美しい音が鳴りました。
違うところはまた違う音が鳴りました。


少年が夢中になって音を鳴らしていると、そのからくり装置の影から黒くて丸い何かがぽんっと現れました。


形はおはぎ、でも足のようなものが4本あって、小さな目も二つあります。


その影は少年の鳴らす音に耳を傾けているみたいに、じっと傍にいます。


少年が「君は誰?」と聞くと、影は少年の手の上に飛び乗りました。


「僕の名前は『一(イチ)』だよ」
少年はそう言って地面に『一』と書きました。


影はしばらくその字を見ていましたが、次第にもぞもぞ動き出しました。


おはぎのような形が左右に伸びて、細長くつながった大きなおはぎと小さなおはぎのようになりました。


「すごい!この字と同じだね!」


『正解!』
とでも言うように、影はぴょんっと一回飛びはねました。


「じゃあ、君の名前『一之助』ってどうかな?」


一之助はぴょんぴょんっと2回飛びはねました。

一之助-2-3


………そんな昔話に出てくるかもしれない謎生物のぬいぐるみを作りました。

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