知っておきたい入札用語:随意契約
役所との契約は入札だけでなく、随意契約という入札とは違った形の契約方法もあります。災害時など緊急を要し、入札をやっている時間がない場合などでは随意契約という形が取られます。また、通常時でも建設工事であれば130万円が上限ですが、入札は行わず、複数の業者から見積もりを取り、契約を決めることができるようになっています。これを少額随意契約と言いますが、新規参入にあたってはこの少額随意契約も無視できない存在です。
少額随意契約の契約情報は外部からはよくわからないが…
入札の場合、契約結果は基本的に公開されます。ネットで公開している発注者も多く、どのような工事の入札が行われているか調べやすいです。それに対し、少額随意契約はネットで契約情報を公開している発注者の数は入札と比較すると少ないです。
公開されている情報が少ないということは傾向も外部からはわかりづらいということですね。ですが、あくまで情報公開が進んでいないだけで、小規模な工事というのはそれなりの頻度で発生しています(業種によって発生しやすさに差はありますが)。
道路陥没の修繕、建物の内装修繕、電灯の交換、配管の修繕といった数万円から数十万円程度の工事というのは人知れず発生していて、入札に参加している会社が契約していたりするわけです。
入札には参加していないけど、少額の契約だけを積み上げて、百万以上の売上はというのはあり得る話です。
少額随意契約は実績づくりの選択肢でもある
一般競争入札は実績要件で入れない、指名競争入札は声がかからない 新規参入会社にとってはよくあるパターンですが、そういった会社にとって少額随意契約こそが最初の一歩になる可能性があります。数万円、数十万円の工事で大したことが無いように思うかもしれません。
ですが、これまで役所と契約したことが無い会社にとっては、大切な最初の一歩なんですね。小さな工事から実績を積み上げて、入札の声がかかるようになった会社も存在します。声がかかったということは役所に認知されたということ。そのチャンスを大切にしたいものです。
少額随意契約だけなら参入は容易?
発注者によっては少額随意契約だけ契約が可能な業者名簿を作成している所があります。建設業許可を持っていなくても登録が可能で、書類もそれほど面倒ではないことが多いと思います。
公共工事に参入するためには建設業許可が必要ということは他の記事で触れていますが、小規模な案件であれば、建設業許可を取らなくても参入できる余地が実はあったのですね。
ただ、現実には登録しても見積もりの声が全く声がかからず、結局仕事をしているのは入札に参加している業者が多いという声も聞きます。
とは言え、労力をかけずに参入しやすいのは魅力ですから、まだ入札に参加するのは早いかなという会社さんにとっては、とりあえず登録しておくのはアリだと思います。特に、日頃の活動で役所の従業員の方から認知してもらっている方はチャンスありではないかと思います。
コツコツ実績を積んで、ある日「〇〇さんのところ入札はやらないの?」と聞かれるようになったら、そのときは流れが来ているのかもしれないですね。
まとめ
公共工事への新規参入を目指す企業にとって、少額随意契約は見逃せない重要な契約方式です。小規模な工事において、複数の業者から見積もりを取り契約を決めるこの方式は、情報公開が進んでいないため外部からは把握しづらいですが、それなりの頻度で発生しています。
入札の要件を満たさない新規参入企業にとって、少額随意契約は実績を積む第一歩となる可能性があります。特に、役所と初めて契約を結ぶ機会として、小さな工事から始めて徐々に信頼を築くことが重要です。入札やまだ時期尚早という会社さんも少額契約が可能な名簿に登録されることで、労力をかけずに参入できるチャンスがあれば、まずやってみてはいかがでしょうか。