経審の点数は高い方が良いですか?

経営事項審査(以下、経審)は、建設業者が公共工事の入札に参加するために必要な評価制度です。この審査の点数は、確かに高いほど入札で有利になることが多いですが、実際には高得点を無理に目指す必要がない場合もあります。この記事では、経審の点数が高ければ高いほど良いのかについて考察し、適切な点数を目指すべき理由を探っていきます。

経審の概要

経審は、建設業者の技術力や財務状況、過去の実績などを総合的に評価し、点数化する制度です。この点数は、公共工事の入札において重要な指標となります。高得点を取ることで、入札に参加できる工事の規模や種類が広がり、有利なポジションを得ることができます。

点数が高ければ良いという誤解

一般的には、「経審の点数が高いほど良い」という認識があります。私も経審の点数をとにかく上げたいと相談を受けることがあります。確かに、高得点は大規模な工事への入札参加を可能にし、競争力を高める要因となります。しかし、必ずしもすべての建設業者にとって高得点が最善の選択肢であるとは限りません。

無理に高得点を目指す必要はない

経審の点数が高ければ良いと考えるのは一面的な見方です。建設業者にとって最も重要なのは、目的とする工事の入札に参加できるかどうかです。例えば、地方の中小建設業者が地元の小規模な公共工事を狙う場合、高得点を取るために無理な点数対策をする必要がないことがほとんどではないでしょうか。点数が高くても、実際の業務に適した工事が入札対象でなければ意味がありません。

ランクが上がると不利になることがある!?

点数を無理に上げることが逆効果になる場合もあります。例えば、経審の点数が高いと、ランクが上がり、参加できる工事の規模が大きくなることがあります。これは良いことのように思える反面、ランクが上がることでこれまで受注していた規模の工事の入札に参加することができなくなることもあるのです。必ずしも大規模な工事を希望していない場合や、自社のリソースや能力に見合わない大きな工事を請け負うことになると、経営リスクが増加します。

適切な点数の維持が重要

経審の点数は高ければ高いほど良いと考えるのではなく、自社の実力や戦略に合った点数を維持することが重要です。以下の点に注意しながら、適切な点数を目指しましょう。

  1. 自社のリソースに見合った工事を狙う: 経審の点数を上げすぎると、自社にとって過大な工事を請け負うリスクがあります。自社のリソースに見合った規模の工事を狙うためには、適度な点数を目指すことが重要です。

  2. 入札参加の戦略を明確にする: どのような工事に参加したいのかを明確にし、それに必要な点数を取得することが肝心です。点数を上げるための努力が、実際の業務に結びつくように計画を立てましょう。経審の点数を上がるためには労力やコストの増加を伴うことがありますが、別に点数を上げる必要が無さそうであれば、無理に負担が増加させる必要はないわけです。

  3. 経営リスクを考慮する: 点数を無理に上げることで、経営リスクが増大することがあります。大規模な工事に参加することで、万が一のトラブルが発生した場合の影響も大きくなります。リスク管理を徹底し、無理のない範囲で点数を維持することが大切です。

経審点数の上げ方

経審の点数を上げる方法としては、技術者の資格取得や工事実績の積み上げ、財務基盤の強化などがあります。しかし、これらの手段を取る際には、自社の現状や将来的なビジョンを踏まえた上で行うことが必要です。例えば、新たな技術者を雇用する場合、その技術者が自社の業務にどのように貢献できるかを検討しましょう。

まとめ

経審の点数は高ければ高いほど良いという単純なものではありません。目的とする工事に参加できることが最も重要であり、そのために必要な点数を取得することが肝心です。無理に高得点を目指すのではなく、自社のリソースや戦略に合った点数を維持することで、安定した経営と入札の成功を目指しましょう。経審の点数は、あくまで一つの指標であり、最終的には自社の実力と戦略に基づいた判断が求められます。

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