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ワックスやコーティングの3大嫌われ成分【界面活性剤・有機溶剤・研磨剤】は、クルマの美観維持にとって毒なのか薬なのか?

界面活性剤・有機溶剤・研磨剤がマイティ3には入っていますか?

お客様からの問い合わせ

僕のところにはこのような問い合わせがしょっちゅう来ます。
話しののっけから聞いてくる人さえいます。

それはクルマを大切にしようとする気持ちからなんでしょう。
とはいえ大変恐縮ですが僕は次のようなことを感じます。

入っている入っていないというだけの答えを聞いたところで、何が分かるのだろうか?

ということです。

なぜそう断言するかというと、答えたところでそれ以上の深掘りをされたことが一度もないからです。相手がプロの方であってもです。
逆に僕が質問する立場だったとしても、答えを聞いた時の反応は

「ふーん・・・」

という感想止まり、皆さんと大して変わりません。

それよりも大事なことは、

  • 何で困っているのだろうか?

  • いつから困っているのだろうか?

  • その困りごとに対してどういうアクションをとったのだろうか?

  • そのアクションで困りごとは軽減はしたのだろうか?

  • 普段はどのような洗車をされているのだろうか?

  • 今後どういうやり方をしたいのだろうか?

  • 変えていきたい部分と変えたくない部分はどういうものだろうか?

  • 大元を断ちたいのか?それとも対症療法で良いのだろうか?etc

以上のような状況を把握することがとても大切です。

  • お客様は何を問題として捉えているのか?

  • その原因は何か?

  • 解決するためには何が必要か?

このプロセスを辿ることなく、問題は解決しません。
せっかくお問い合わせ頂いたのなら、スマートにこのプロセスをたどって頂きたく思います。

と、ぶった切りたくなるテーマではあるんですが、

食品・美容・健康etcとなんの分野においても嫌われがちな成分ってあるものです。洗車においてはとりわけ

界面活性剤・有機溶剤・研磨剤
(以下、「3つの成分」と言います)

この3つの成分がやり玉に挙げられがちです。

「3つの成分を使わない」それが目的そのものなら、単に避ければ良いだけのことです。簡単な話しです。

しかし、嫌われるために成分として入れている訳がありません。
ちゃんと目的があります。

実は齊藤〇美装で販売しているマイティ3には、この3つの成分が入れています。

他社の商品にそのまま当てはまるのかまでは分かりませんので、あくまでマイティ3に当てはまることとして解説していきます。
 

そもそも3つの成分をなぜ入れているのか?

それは「美観維持」のためです。

美観維持したいなら絶対に手を抜いてはいけないことがあります。
それが「汚れを落とし切ること」です。

考えられるほとんどのシチュエーションにおいて、3つの成分は必要不可欠です。無理に避けようとすれば、美観維持そのものを損なうことにもなりかねません。

その美観維持のために汚れを落とし切る上で、3つの成分の役割を僕は次のように捉えています。

  • 界面活性剤の役割は、汚れを引き剥がすことです。

  • 有機溶剤の役割は、汚れをふやかすことです。

  • 研磨剤の役割は、汚れを削ぎ落すことです。

洗車のプロとして仕事にしてきた僕の中でのイメージです。

材料が安いからとか、嵩増しするためとか、そういった理由で3つの成分でコスト調整しているメーカーさんや商品は、ないと信じたいところです。

少なくともマイティ3は「汚れを落とし切るため」という明確な目的から3つの成分を入れています。
 

「汚れを落とし切ること」にここまでこだわる理由

ツヤが出ればそれで良いんじゃないか?
撥水が強ければそれで良いんじゃないか?

お客様からの疑問

何を以て良しとするかは人それぞれですが、こと美観維持においては汚れを落とし切らなければ話しになりません。

上記のような主張で「キレイに仕上がっていれば良し」とする考え方を美観維持とするなら、僕が考えている美観維持とは全く別物です。

美観維持とは「いかにクルマの劣化を緩やかにするか」ということだからです。

その美観維持の入り口は、汚れを落とし切れるうちに落とし「染みを一切付けない」ということです。これが美観維持梅レベルです。

洗車している時に「なんだろう?」と違和感を覚える症状があったとします。

もしマイティ3で落とし切れたのであれば、それは汚れです。
もしどう頑張っても落とし切れなかったら、それは染み(劣化)です。

つまり「汚れを落とし切ること」は、汚れなのか染みなのか明確に区別できることにも繋がります。

この重要性を理解するのに非常に良い資料が次のnote記事です。

人間に例えると、歯垢なのか歯石なのか虫歯なのかを区別することと同じです。

歯垢 → 付着した汚れ
歯石 → 固着した汚れ
虫歯 → 染み・劣化

歯を磨いて汚れを落とし切り、歯磨きでは対処しきれない症状を露わにした上で歯医者さんは判断するものではないでしょうか。
歯に食べ物が挟まったままの汚い状態で歯医者さんがいきなり歯を削るなんてことはまずあり得ません。

虫歯を放置すればどこまででも深く侵攻してしまうように、染みや劣化も深くえぐってくることがあります。
だからこのように考えます。

歯磨き(洗車)で対処できるのは歯垢や歯石(汚れ)までです。
虫歯(染み劣化)にまで進行したら歯医者さんで削る(研磨)しかありません。

しかし、洗車においては何の確信も得られていないにもかかわらず、

研磨でないと対処出来なそうだ

お客様の思い込み

洗車すらまだやっていない状態の時からいきなり研磨を考えてしまう人が非常に多いです。

研磨がしたいという目的ならそれは個人の自由です。

ですがもし仮に研磨が必要だったとしても、確実に研磨が必要であるという確信を持って取り組みたいと思いませんか?

それには「汚れを落とし切ること」が不可欠です。

そこで僕が便利に使っているのがマイティ3です。

塗装を不用意に削ることがないので、手軽に気兼ねなく扱えることで研磨の試金石としても大活躍します。
試金石の意味が分からない人はこちらをクリック。
 

イメージ先行で勘違いしがちなこと

界面活性剤や有機溶剤が入っていますと言うと、

塗装をくすませてコンディションを悪くしてしまいそう。

お客様から実際に言われた思い込み1

研磨剤が入っていますと言うと、

塗装が削れて下地が出てしまいそう。

お客様から実際に言われた思い込み2

けなそうと思って言うのではありませんが、意味も解らずろくに知りもしないからこそイメージ先行で感情のまま判断している人が結構います。

まずは分からないということが不安であると受け入れましょう。
恥ずかしいことではありません。
そしてその考えの根拠はどこにあるのか今一度考えてみてください。

界面活性剤というとすぐ思い浮かべるのは台所洗剤かと思います。
泡立って(気泡)汚れを落とす(洗浄)という認識です。

しかしそれだけが界面活性剤という訳ではありません。
他にも様々な特性を持つ界面活性剤が星の数ほどあります。
水と油を混ぜ合わせる乳化、沈殿を防ぎ均一にする分散、水に濡れやすくする湿潤、水を染み込みやすくする浸透、泡を立てる気泡だけでなく泡を消す消泡、他にもたくさんありますしまた複数の機能が組み合わさって活用されるものです。
台所洗剤も厳密には、水に濡れやすくし(湿潤)水と混ざり泡立って(気泡)汚れに染み込み(浸透)水と汚れが混ざり(乳化)再付着を防ぐ(分散)というプロセスをたどっています。

有機溶剤もそうです。
脱脂に使われるアセトン、希釈に使われるシンナー、こうした有機溶剤臭のキツイものが想像するかと思います。
ですが、手を消毒するアルコールも、お酒のアルコールも、分類としては有機溶剤です。そして驚くことにアルコールと相性の悪いアクリル樹脂にヒビをいれたりします。(ソルベントクラックと言います)

研磨剤も同じです。
塗装だけでなくガラスや金属のような固いものまで削れる研磨剤がある一方、マイティ3に配合されている柔らかくて小さい粒子の研磨剤は洗車キズを消すほどのチカラはなく汚れ落としが目的だったりします。

成分表示されているものは、ざっくりとした大雑把なものです。
詳細な成分は企業秘密の部分もあり、基本的には公開されるものではありません。
ですが、何らかの目的を持ってそのケミカル剤は作られています。
3つの成分が入っているからという理由だけでダメと扱われるのは、製造販売している立場からすると心外です。

僕が言いたいのは、白か黒かといった二元論で物を見ることから卒業しませんか?ということです。
それを言っちゃうと洗車することそのものが自己満足だし、そもそも洗車なんかしなくても車検は通るという価値観に染まります。
それはそれで一つの価値観として尊重します。
ですが二元論で物を見ていると、洗車が楽しいという感情や美観維持したいという自由意志が否定されてしまうことになりかねないと僕は思います。
 

3つの成分を使わずに汚れを落とし切り美観維持することは可能なのか?

実は3つの成分を使わずに

汚れを落とし切り美観維持する

ということは可能です。
ただし、条件があります。

マイティ3を掛ける前の水洗いを行なった際に

  • 目に見えやすい汚れ(主に砂ぼこり)が落とし切れている

  • 固着した汚れが残っていない

  • 残った汚れは直前の水洗いで付着した目に見えにくい汚れ(水のミネラル分)のみ

  • 染み一つないのは当たり前

という条件を満たす美観維持が出来ている場合に限ります。

それは短い洗車スパンで洗車しかつ正しく洗車も出来ている場合、つまりは高度な美観維持が出来ていればの話しとなります。

そういった方を対象とした商品は齊藤〇美装で販売しております。

厳密には3つの成分のうち研磨剤のみゼロにし、界面活性剤と有機溶剤は限界まで少なくしましたというものです。
直前の水洗いで付着した目に見えにくい汚れ(水のミネラル分)を取り除く程度であればこれで十分です。

なぜなら汚れが一番落としやすいタイミングとは、汚れが付着した瞬間であるからです。それが分かる人分かろうとする人だけが使いこなせるでしょう。
 

美観維持していく上で3つの成分のデメリットの制御の仕方

3つの成分は美観維持に不可欠な「汚れを落とし切ること」において非常に大きな貢献をしてくれるというのはここまで解説した通りです。

3つの成分による貢献があるというのは何らかの作用があるということです。何らかの作用があるということは、望む作用も望まない作用もあるということです。

それをどう制御(コントロール)するのか。

ここで医学や薬学の世界では非常に有名な、現代において常識とされている言葉を提示したいと思います。

あらゆるものは毒であり、毒無きものなど存在しない。
あるものを無毒とするのは、その服用量のみによってなのだ。

500年前のスイスの医師 医化学の祖 パラケルスス

これは僕なりに解釈すると

  • 作用するしないは「何を入れるか」によります。

  • どこまで作用させるかは「量」によります。

ということです。

実際の洗車においてみなさんが調整できるのは「量」のみです。
どこまで作用させるかの「量」とは、何によって調整出来るのかは次の通りです。

  • ケミカル剤をスポンジに付ける量

  • ケミカル剤を塗る際に使うスポンジの固さとチカラ加減

  • ケミカル剤を塗ってからファイバークロスで拭き取るまでの時間

ケミカル剤の成分のことばかり気にする方がいますが、それだけで判断できるものではないというのがよく分かるのではないでしょうか。

つまり「どう使うか」がどの程度作用させるかを決定付けます。

ワックスやコーティング剤の注意書きに、塗りっぱなしで拭き取らないまま放置するのは避けろと大抵は書いてあります。
行き過ぎた作用とならないように使い方を示しているということです。

「何を使うかも大事だけどそれをどう使うかも大事」
なぜ僕が常に口酸っぱく言い続けているか分かるかと思います。

同じ成分でも量が過ぎれば毒、丁度良ければ薬としての作用で留まります。
誤解を恐れなければ薬は「薄めた毒」と言えますから、毒を制することが出来なければ薬にはならないということです。

難しい話しは僕も得意ではないので、洗車する上で大きなデメリットとして感じることを挙げます。(ワックスやコーティングの三大不満点)

  • ムラになりやすい(主に界面活性剤)

  • 油っぽくギラツキやすい(主に有機溶剤)

  • 粉が出やすい(主に研磨剤)

3つの成分だけが原因で起きる訳ではありませんし、それぞれの成分の種類によって変わってくるところでもあります。

確実に言えるのは、3つの成分が仕上げやすさに大きな影響を及ぼしているということです。

3つの成分それぞれにどういったものを採用するのか、そしてどう組み合わせるのか、それはあまりに複雑で難しい話しになるので割愛しますが、バランスを問われる成分だということです。
入れ過ぎても少なすぎてもダメなんです。

あっちを立てればこっちが立たずというと分かりやすいと思います。

その矛盾を両立させて作ったのがマイティ3です。

とりあえず満遍なく塗って拭けば仕上がる。
その汚れ落ちの良さからそれで仕上がらない場合は
すでにコンディションが悪いと判断できる。

馬鹿の一つ覚えで使える便利さ、実に僕向きです。
 

美観維持を妨げる一番の劣化要因とは何か?

ここまで読んでもなお

3つの成分が原因で愛車を痛めることになるのでは?

お客様の心配

と考える人も中に入るでしょう。

そういった方にズバリ答えを言います。
何が一番の劣化要因か?

それは「太陽光に当たり続けること」です。

これを知らずして美観維持、そして劣化は語れないというほどです。
 

ヘッドライトの劣化事例

新車から4年経過、月2回洗車してきたクルマのヘッドライト(青空駐車)

青空駐車環境でヘッドライトに一日中陽が当たっていると、2回目の車検の時にはヘッドライト表面のハードコーティングがやられて、黄ばんだり白くくすんできます。

特にひと昔前のクルマのデザインによくありがちな、ボンネットの方まで回り込んだデザインのヘッドライト上部は劣化しやすいです。
なぜなら太陽光を受ける角度の関係で、太陽光の熱と紫外線をもろに浴びるからです。

最近のクルマはヘッドライトが小さくなり横長に細くなりましたので、このような劣化はしにくいと予想されます。

そして注目して頂きたいのはヘッドライトの下部です。
上部のような劣化が全く見られません。

ヘッドライト全面を同じケミカル剤で同じように施工したにもかかわらずです。

もしケミカル剤の3つの成分によって劣化するというのであれば、全ての面が同じように劣化しているはずです。

このことからケミカル剤が原因で受けるダメージとは比べ物にならないくらい、はるかに大きなダメージを太陽光の熱と紫外線で受けていると言えます。
 

ボンネット塗装の劣化事例

ボンネットのクリア塗装が劣化したときの様子

ヘッドライト(ポリカーボネート樹脂)や未塗装樹脂(ABS樹脂)は劣化が早いというだけで、これは塗装でも同じことが言えます。

特にボンネットは内部からエンジンの熱も受けます。

ですが、バンパーの塗装はキレイです。
ヘッドライトの時と同様に、太陽光を受ける角度で太陽光の熱と紫外線をもろに浴びたかどうかが変わってくるからです。
 

一番の劣化要因を緩やかにする確実な方法

少しテーマからは脱線した余談となります。

今まで超高級車から大衆車、旧車、そして様々なワックスやコーティング剤、様々な駐車環境を僕は見てきました。相談も受けてきました。

その経験からこれしかないと確信したことがあります。
それは

ガレージにクルマを保管する

これが決定的に効きます。

マメに洗車したから、耐久性あるワックスやコーティングをしたからといって、それだけで劣化を防げるほど太陽光は甘いものではありません。

ただ現実にはほとんどの方はガレージはおろかカーポートすらないという状況です。

青空駐車しか選択肢がないのであれば、青空駐車なりの劣化は受け入れるしかありません。その上で美観維持のために人が出来ることを出来る限りしてあげましょう。

それが「汚れを落とし切ること」だということです。
 

3つの成分、結局は毒なのか?薬なのか?

ここまで読んで理解した方ならもう答えは分かりますよね。

答えは単純な二元論で考えるものではなく、作用の度合いに薬と毒の違いが生まれるということです。

それでもまだ白か黒かの答えを求めますか?

長年使われてきた、そして数えきれないほどの試行錯誤をされてきた、そういった所謂「枯れた」商品や技術というものはだからこその価値があります。

マイティ3も発売したのは2019年ではありますが、長年の蓄積を持つ製造会社さんの協力の元で特別に作ってもらったものです。

新しければ必ずしも良い訳ではありません。
温故知新、それまでの蓄積から少しずつ良くしていくのが順当です。

つまり毒にするのも薬にするのも使い方次第です。

その考え方でコツコツ取り組むことが美観維持へと繋がっています。
 

ご覧いただきありがとうございました。サポートしてくれた方のメッセージ読ませてもらっています。洗車のプロである僕が「何を見ていて」「それをどう判断し」「行動に移すのか」、YOUTUBE動画では解説し切れない頭の中のことをアウトプットすることで皆さんの参考になればウレシイです。