冬の気配と室外機
朝の通勤ラッシュを避けるため、脇道に入って古い住宅地の中を通り抜ける。いつもと変わり映えのない紅葉の中を、重々しくハンドルを切りながらのろのろと走る。ここを抜けると、職場はもうすぐそこ。いいなあ葉っぱは。色が変わって。
そんな、ある日の朝。アスファルトに敷き詰められた落ち葉の赤色が、昨夜の雨に濡れてますます濃く深くなっている。フロントガラスが曇る。慎重にパネルを操作し、エアコンの風がフロントガラスに当たると、すぅっと曇りが晴れていく。
ふいに、視界の端に緑色に囲まれた室外機飛び込んできた。いつも通ってるのに、なぜ今日まで見えなかったんだろう。異彩を放つ緑色の水。水草もこれまた黒々した、プンプンと臭ってきそうな緑色。ちっちゃいバケツも緑色。雑草も緑色。鉢植えもピンと背筋の伸びた緑色。
緑に目を奪われるなんて、周りに緑が減ってきたせいだろうか。みんな赤とか黄色だから。
視覚も、だんだん、冬支度。