【300字小説#7】綺麗な異国の青い夢
「サマルカンドの空が青いのは気候帯の境目だからなんだよ」煙草の煙が漏れる口元を、美香はじっと見ていた。「ねえ和也、サマルカンドと私たち、何の関係があるの」あご髭が、どうしても、気になる。出会ったときはセクシーだったはずなのに。
「君と行きたかったな。サマルカンド」「何それ。一度もそんな話したことないじゃない」「昨日思いついた」
「私の手首にあと何本か線が入るかもね」あ、口元が笑い切れてなかった。本気にされると面倒なんだけどな。こいつ変に真面目なのよね。
水を飲むために、キッチンへ行った。それから、冗談ぽく、だから別れるの、と言うつもりだった。
寝室に戻ると、窓が開いていた。
蒼い煙が、一筋。