【300字小説#13】セクハラ天国株式会社
「あら、新人?」
「はい、佐藤武です。よろしくお願いします」
「凛々しい顔ね。でも、顔で許されると思わないでね」
「は、はい。もちろんそんなことは……」
「大きそうね。何センチ?」
「え、いや、14センチです」
「顔と真逆の可愛い感じなのね」
主任は股間を握った。周囲の社員は口紅を引いたりマスカラをつけたりしながら、ニタニタ笑いを噛み殺す。
武は前職でもセクハラ被害に遭い、逃げるように退職していた。面接で伝えたはずなのに、なぜ自分ばかり--
「触られるぐらいがちょうどいいのよ」
鑑賞会と称して、皺だらけの手が武の下着を剥ぎ取る。定年退職後再雇用という主任は女性社員の人気No.1だ。
武は諦めて股間を固くした。
***
表現の場で男性によるセクハラが横行してるという報道を受けて。
性別に関係なく、表現者の自由と尊厳を守ることは社会の使命であると思う。
今回の件、加害者の男性諸君を縛り上げて睾丸に針を1本1本刺していってもいいのではないかとさえ思う。
ゆるさーん。