男ウケする魔性のモテ女なのに幸せに見えない友達
私にはかつてとても仲良くしていたHちゃんという友達がいた。
彼女はめちゃくちゃモテ女なのになぜか男運が全然ない人だった。
Hちゃんと友達になったのは短大で席が近かったからだ。
物腰やわらかで控え目なHちゃんとはすぐに仲良くなって同じ部活にも所属して私の青春時代を一緒に過ごした。
Hちゃんはどこか儚げな人で当時人気があった「裕木奈江」とどこか似ていた。
顔の造作も似ていたし、ドラマで見る「裕木奈江」の空気感と同じような物があった。
顔が特別美人という人ではなかったけど、彼女には何か男ウケする物が漂っていた。本人には男性に媚を売ろうとかそういう気持ちは一切なく、むしろそういった事を嫌っていた。
それでも何か「守ってあげたくなる」ようなオーラと何かよくわからない「
色気」が彼女にはあった。
当然男性から言い寄られる事も多かった。
なのに、なのにである!!
彼女はとても男運が悪かった。
私が知っているだけで彼女が付き合っていた人は4人いる。
一人はとあるサークルの男子生徒。
うちの部活は旧帝大のとある大学のサークルと交流があった。
そこのサークルの男子と恋仲になる人が毎年いて後に結婚までした人も数人いる。
私はサークル内に「素敵だな~」と思う人がいてどうアプローチしたのか忘れたけれど、約束をこぎつけてそのヒトの家でご飯まで作ったのにあっさり振られた。
20代の私は年上のおじさんや既婚者からは人気があった。
でも、何故か同世代の男子からの人気はさっぱりな残念な人だった。
一方Hちゃんはサークル内の誠実そうな男子生徒から告白されてなんとなく付き合っていた。
あれが彼女にとって初めて付き合った人なのかもしれない。
でも「何かが違う」と思ったようですぐにその彼を振っていた。
次に彼女が付き合ったのは就職してから。
彼女は都会から車で2時間くらいの田舎の学校栄養士として働いていた。
そこで働いている時も、寝ている間に人の気配がして目覚めると年配の既婚者先生が部屋の中に立っていたという恐怖体験を彼女はしている。
知らない間に合鍵を作られていたらしい。
マジであの人は「魔性の女」だった。
そんな彼女が付き合った人は遠くの県に住む、旅するライダーだった。
遠距離恋愛で彼が来たい時にフラッと来てしばらく彼女の部屋に泊まっていく…そんな生活のようだった。
その彼はどうもかなり性欲が強かったらしく、彼女も断れない性格なので求められるがまま応じていたらしい。
終いにはそのせいで寝不足&体力を消耗し、血尿と発熱の症状が出て腎盂腎炎になってしまった。
当時の私は「そんなパートナーの体を壊すような彼ってどうなんだ…?」
と思っていた。
そして1~2年くらいしてその彼と別れた聞いた。
次に付き合った人は同じ町内に住む少し年上の男性。
彼女はその彼に夢中になっているようだった。
でも彼はどこか煮え切らない態度だと彼女からよく話を聞かされた。
彼には双子の兄弟がいて、その兄は精神を病んでおり実家に住んでいるらしかった。
精神病の兄は症状が落ち着いているわけではなく、一緒に住んいる母親が苦労しながら面倒を見ていると聞いていた。
そしてその母親も性格的に問題がある人で彼はその異常な家族環境の為に彼女との結婚は考えられない…そんな状況だった。
彼の方から「別れよう」と言われて一時距離を置いたりしていたけれど彼女の方が執着してまた付き合う…そんな繰り返しでダラダラと付き合いは続いていた。
私にはそんな苦労をさせられる相手の何がいいのかさっぱりわからなくて。
彼女ならもっといい人がいそうなのに…と思っていた。
その彼と2年、3年?そのくらいつかず離れずしていたかなぁ…ついに彼女もあまりに脈がないので少し離れてみようと思ったようで栄養士を辞めて別の街へと引っ越しをした。
結婚しても不幸になりそうな相手だったので私は「とりあえず別れてくれてよかった」とホッとした。
そして別れてからあまり期間は経っていなかったと思う。
友人に紹介されたと新しい彼氏が出来ていた。
その彼とは付き合っている期間はあまり長くなく、結婚する事が決まった。
彼は両親が二人とも病気で亡くなってしまい、一人っ子で他に身寄りがない人だった。
私は何かとても嫌な予感がした….
夫となったその人はデザイン関係の仕事をしており、仕事柄か家具や洋服等色々と拘りがある人だった。
端的に言えば「見栄っ張り」
贅沢で身の回りの物に散財していたけれど仕事は契約社員…。
でも年会費が何万もするゴールドカードを数枚持っていた。
見栄っ張り of the 見栄っ張り。
正直私はその人にいいイメージがなかった。
だから彼女への結婚祝いも二人で使う物ではなく彼女の腕時計を選んだ。
ソイツに使われたくなかったから!(性格悪い)
結婚してから彼女はそいつの散財のせいで足りないお金を補う為にパートを掛け持ちするようになった。
実は彼は毛が生えてこない病気でカツラを愛用していた。
カツラの相場を私は知らないのだけど数十年前のその時で50万くらいするカツラをだった。
維持するにもお金がかかり、定期的に購入する必要もあるらしい。
そして驚いたのが結婚後も彼は彼女の前でも一度もカツラを外した事がないと聞いいいた。
家の中でも見えを張りたいのか…!?
生活していても苦しいようで私は離婚も勧めたけれど…
離婚も考えていると言いながら彼女が行動する事はなかった。
私もその頃には気づいていたよ。
彼女が望んでその環境にいる事を。
不幸な人を選んでその人に必要とされる事で自分の価値を確認していたのだと思う。
困っている、辛い、と相談をしてきても彼女は心のどこかでそこにいる事を楽しんでいるから事態が好転する事はないんだ。
端から見たら不幸に見えても本人はそうではないのかもしれない。
多分彼女の幼少期の育ち方や家庭になにか不具合があって他者へ必要とされる事に依存しないと自分の存在価値を認められないようになってしまったのだろう。
周りが幾らアドバイスしても「本人が強く変わろう」と思わない限り、そこから抜け出す事はないだろう。
私は色々な人から相談を受ける事が多いけど、いつも悩んでいるタイプの人は本人も無意識のうちに不幸になる事を望んでいる人が多かった。
彼女は子供を欲しがっていたけれど旦那が欲しがらないから作れないと悩んでいた。
そのうち私に子供が出来たりで会いにくくなり、引っ越しが多い彼女の連絡先がわからなくなってしまった。
SNSで探したり、実家にハガキを送ってみたけれど、宛先不明で戻ってきてしまった。
彼女の行方を知る人はいない。
今あの人はどんな暮らしをしているのだろう。
また縁があればいつか繋がると思うけれど、幸せに暮らしているといいな。