World of ally
人間なんて所詮動物でしかない。
言葉など詳細に意味を理解して使用しているやつなんてほんの一部だ。
声色、発声の仕方、イントネーション、それらの組み合わせで雰囲気を伝えている鳴き声に過ぎない。
故に文字などという文化は害悪に値する。
人が表現するありとあらゆるものを文字などという歪で不完全なものに変換しようと無理矢理押し込めるからこんなに歪みが起きてしまうのだ。
ああ、嘆かわしい!
なんと嘆かわしい事か!!
人などよりも獣の方が美しいのに!
獣の生き方をしている人間のなんと美しい事か!!
食い食われ、争い、自身の能力を遺憾なく発揮する獣のごとき生き方を賞賛するのに何がいけないのか!!
我ら凡人は何にもなれない無能なれば、それを頭に叩き込み身の丈に合う生き方をすればいいのにどうにも美しいものに魅せられやすいらしい。
理想は毒である。
夢想は自由なれど現実との落差甚だしく凡人は絶望を抱きながら溺死していく。
哀れで虚しくその矮小さにさらに深く心が痛む。
だから私が助けようではないか。
獣になれない人間の愚かで輝かしい栄光という虚構に振り回されて可哀想なものたちを幸せという異常に放り込もうではないか。
きっと咽び泣いて感謝を吐き出すだろ
う。
そう、私は世界の味方。
人類の味方である。
人間を幸せにするため奔走することを是とし、万人を生かす方法を模索することを己に課した正義の徒である。
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