多様性という名の狂気
多様性?
あんなもの、理解してしまったら戻れない狂気の世界だぞ?
知りたいのか?
お前、狂いたいのか。
変わったやつだな。
いいだろう、教えてやるよ「多様性」ってやつをさ。
お前は隣のやつの考えてることわかるか?
家族のは?
分かるわけない?
ンなの解っとるわ!
まぁ、ジャブとしたらそこだわ。
『自分とは違う他人が存在している事を正しく理解する』
これな。
弱い奴はここで壊れる。
恐ろしくて震えが止まらなくなる。
どうだ?
あ?
理解できてるがそんな怖がることかって?
お前ねぇ、そこには何の『信頼も安心もない』って事わかってねぇな。
あー悪い、それ大前提だったわ。
いいか、この世界は無関心と漠然とした安心感で出来てる。
突き詰めれば俺がお前を殴らない保証はないし、お前が俺を殺さない保証もない。
こうやって向かい合って話できるのは俺が、お前が相手に対してある程度の無関心と安心感を持ってそれを無条件に信頼してるからなんだよ。
多様であるってことは、この無条件の信頼感や無関心、安心感を持たない奴も内包するって事。
猜疑心と嘘にまみれた奴が隣にいる可能性がある。
そいつはいきなり殴りかかってくるかもしれないし刃物を持って殺しに来るかもしれない。
しかも突然に。
な?怖いだろ??
多様性を認めるってことは俺たちの常識の範囲外も認めるってことだ。
常識外の突拍子も無い行動を認めるってことだ。
つまり『自分とは違う他人が存在している事を正しく理解する』って事は常識外の存在が居るって事を理解しなきゃいけないってことよ。
そんで、多様性を認めるってことはその存在を認めることに繋がるし人権で保護しなきゃいけないってことだ。
自分と他人の境界をしっかり持ってる人間ってのは少ないんだよ。
大抵の奴はどこか同じところを探そうとする。
例えば『性別』『家族構成』『好きなもの』とかな。
初めて会った人と話してて「あ、それ同じ!」ってなったら安心するだろ?
そういう事だよ。
それが通じない人間を受け入れろってんだ。
恐ろしいだろ?
んで、次な。
多様性ってのは常に変化するって事だ。
反対は画一化な。
常に変化するってのは細胞が生まれて死んで新しくなってってのと一緒だ。
だから多様性を認めるって事は『適応できなかった個の死を受け入れる』必要があるんだわ。
例えば人間なら環境適応できなかった奴を見捨てるって事だ。
間違えるなよ。
助けるんじゃない、見捨てるんだ。
助けるってのは画一化だ。
多様性ってのはいろいろ試して生き残った奴の集まりなんだよ。
だから多様性があっても成功者たちが判子押したみたいに一緒になることがある。
だがな、きちんと見てみろ。
多様性は確保されてんだ。
例えば水泳の自由形な。
自由形って言ってて選択されるのはクロールばっかだ。
でもよ、別にバタフライ選んだっていいんだわ。
でもみんなクロール選ぶ。
これはさっき言ったいろいろ試して勝つのがクロールだってんのをみんな解ってるからだ。
そこで他の形は無視される。
勝てない役に立たないからな。
要は死んでるようなもんだな。
でも他の形を選んでいい。
自由形だからだ。
ま、多様性があるからこそ、こうなるんだわ。
てな事でよ。
多様性があるって事は『適応できない個の死を受け入れる』必要がある。
その適応できない個が自分になるかもしれない恐怖を抱き続けなきゃいけないわけよ。
そしてそれを受け入れなきゃならない。
俺は怖いね。
知った時は怖くてちびったわ。
どうすれば生き残れるか考えて結局強い奴の真似をすることにした。
要はおっさんになったんだわ。
社会を見回してみろおっさん、おっさん、おっさんよ。
おっさんの人口比率結構高いのよ。
つまりおっさんになれば底辺から逃れられるって事だ。
もっと簡単にゲームで言ったらモンハンとかのオンライン対戦型ゲームでテンプレ最強な訳よ。
別に他の装備やステータスでもいいのに効率やら強さやらを突き詰めていくとテンプレじゃなきゃ組まないとか遊ばないとかそうなる。
それ以外はクズやらゴミやら言う奴もいるな。
ま、多様性があるってのはそういう事なのさ。
どうだ?
思ってたのと違うだろ?
もっとぽやぽやしたもん思い浮かべただろ?
でもな、考えてみろよ。
この世は弱肉強食なんだぜ。
弱い奴に居場所なんて元より用意されてないんだ。
そん中でどうやって生きてくか、選択に選択を重ねた結果だけが俺らを形作るのよ。