二度目の邂逅
小学校初の夏休み、
私は玉虫と出逢った。
百科辞典の『昆虫』巻で、
何度も眺め憧れた美しい虫。
生きた玉虫を見たのは、
それが最初で最後だった。
その後、都会から田舎へ移り住み
また逢える事を期待していたが、
全く見ることが叶わなかった。
幻の昆虫、玉虫。
彼らは一体、何処に居るのか?
都会で見つけた彼は、
何処から来たのだろう?
還暦近い今でも、謎のままだ。
しかし、今週なんと、職場である
工場の敷地内で、偶然玉虫の
亡骸を見つけた。
死してなお、美しい構造色を放つ
宝石のごとき体!✨
とっさにティッシュで包み
持ち帰って消毒し、前翅の一部を
形見に切り取ると、庭に埋葬した。
きっと、しっかり探せば何処かに
沢山居たりするのだろうが、
私にとって玉虫は、どこまでも
ミステリアスで憧れで、
そして幻の存在であり続ける。
出来るなら、いつか自然の中で
元気に暮らす姿をこの目で
観察したいものだ。
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