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夜更けの手

昨夜のこと。
仕事で疲れきった私は、
座椅子でテレビを見ながら
うたた寝をしてしまったようだ。


何か気配とゴトンって音がして、
ハッと目覚めて体を起こそうと、
腰の後ろに片手をついた。


そこに、誰かの手があった。
私の手が、誰かの手の甲から
指にかけた辺りを握ったのだ。


ビックリして振り向くが、
そこには誰も居ない。
座椅子の背もたれがあるだけだ。


きっと、寝ぼけていたのだろう。
そう思う事にして就寝したが、
朝になってもあの手の感触が
私の右手に残っている。


ああ。


もしかしたら、私の誕生日を
祝うつもりで訪ねてきた
亡き父だったのかも知れないな。

幼い頃、野草の名前を教えながら
手を繋いでくれた父の手に、
感触が似ている気がする。

ちょっとお父さん、二日遅いよ。
でも、ありがとう☺️

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