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「自殺って言えなかった」

あしなが育英会の「自殺って言えなかった」を昨年の年末に3週間ほどかけて読んだ。

一気に読むには心がしんどくなってしまう。だからちょっとずつでも読んでおきたかった。

「自殺」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。

いけないこと、よくないこと。

どこか他人事。自分には関係ない。

日本での自殺率は他の先進国に比べて深刻だ。

といった具合に、人それぞれ「自殺」に対して思うことはあるのではないかと思う。

私自身も中学校時代に同級生が自ら命を絶った。

そのことで家族が悲しみ、友だちが悲しみ、みんなの心が沈んでいく姿を見てきた。

しゃべるような仲だったし、中学校の少しの間、その子ともう一人の友だちと一緒に学校に行っていたこともあった。

当時の私はきっとよく分からなかった。

「なんでなんだろう?どうしてなんだろう?」と分からないことでいっぱいだった。

自殺の詳しいことは聞いていないし、どこか知らないうちに「あまり触れてはいけないことなんだ」と認識してしまっていたように感じる。

この本を読んで、まず思ったことは、「自殺」というのは、今日もすぐ近くで起こっているのではないかということ。

昨日まで近くにいたのに、自分の親が突然自ら命をたった。

自分の知らないところで親は悩みを抱え、苦しみ、もうどうしようもなくなって、愛する家族を置いて死なざるをえなかった。

彼ら彼女らのほとんどが「親を殺したのは自分ではないか?」と自分を責めていた。

そんなはずあるわけないのに。

そして、ほぼ全ての大人が「周りに自殺って言っちゃいけないよ」と子どもに言う。

社会全体で「自殺っていけないこと」だという認識を植え付けられている。

そんな中、あしなが育英会と出会い、自分をさらけ出し、自分の親の自死を見つめなおす。

この本に多く書かれていたように、「自殺を他人事にしない」雰囲気を社会全体で作っていかなければならない。

「どうすれば自死を選ばずに済んだのか」

もっと受け入れられる社会であれば自死遺児は少しでも減っていたのかもしれない。

そんな社会にしなければならないと強く思う。

先ほどネットニュースで、昨日から始まった国会の菅首相施政方針演説全文を読んでいた。

その中で、自殺者が前年と比べて5か月連続で増加し、とりわけ女性が顕著な傾向にあるというのを読んで今一度「自殺」について考えないといけないなと改めて思った。

昨年2020年は芸能人が相次いで自殺して話題になった。

あの時みんな思ったはずだ。

このままでいいはずない、と。

私たちは社会全体でもっと「自殺」について自分事として考えなければならない。

そして、しんどい思いを抱えているひとに手を差し伸べられる優しい社会にならなければならない。

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