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脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体

心理学を学んでいると、どうしても勝てないというか、太刀打ちできないのが生物学でした。
例えば、男性と女性の話を論じるときに、社会心理学では「ジェンダー」と呼ばれる社会規範(社会で作られた男らしさ/女らしさ)について論じることができます。
一方、男性のほうが力は強いし、女性のほうが言語能力は高い。これはゆるぎない生物学的事実です。まあ平均値の話ですけど。
可変性のある部分を変えていこうぜ、社会!みたいなのが社会心理学なのですが、生物学は「そんなこと言われたら元も子もないよ・・・」みたいな印象でした。

そんなことを思い出しつつ、脳科学の本を読んでみました。


セックス、ギャンブル、アルコール、オンラインゲーム――人間はなぜ、これらをやめることができないのか。
それは〝脳内麻薬〟であるドーパミンが中脳から放出され、「快感」を司る脳の各部位を巧みに刺激しているからである。
コカインや覚醒剤はこの脳内回路「報酬系」を誤動作させて過剰な快楽を与え、依存症を招くものだ。だがこのドーパミンは他人に褒められたり、難易度の高い目標を達成するなど、「真っ当な喜び」を感じる時にも大量に放出されている。
なぜ人間の脳はこんなしくみになっているのか。
話題の美人脳科学者が人体の深遠なる謎に迫る。

Amazonより引用

美人脳科学者とか書くとこの著者おこりそうだけどな。

脳内物質ドーパミンの存在意義

勉強に限らず、スポーツジムで鍛錬するとか、ひと月にいくらか貯金するとかいった長期間の努力を要する作業は、たいてい始めるときが一番困難です。私たちの脳が「努力とその結果与えられるご褒美」を覚える、つまり習慣づけてしまえば次第に楽になり、最後は特に苦しいとは思わなくなるのです。
私たちはドーパミンの助けで固体としての生をまっとうし、種としての生を存続させているといっても過言ではありません。

19ページより引用

楽しいって感情って非常に重要だと思います。興味を持つというか。
人と一緒に何かを始めると、結構スムーズに進むというか。例えば英単語を覚える!ってなっても、ひとりよりみんなでやるほうが楽しいです。
これは英単語を覚える=楽しいではなく、みんなで何かをやる→楽しいという因果関係の応用です。
楽しい、に勝るものは限りなく少ないなあと思います。あとから論じるオキシトシンとかセロトニンくらいなんじゃないかな。
高校の先生に「ケの日があるからハレの日が充実している」と言われたのを覚えています。ケの日ってのは日常で、ハレの日は非日常、文化祭とかですね。
毎日に安心があるからこそ、刺激的なものを楽しむことができる。それが脳内物質で論拠を説明できるんだなあと思います。

世話型依存ーいびつな親子関係

お母さんは子どもの世話を焼き、受験に合格したり、発表会で入選したりという結果を出すことで報酬系が活発化しているのではないでしょうか。子どものためではなく、自分が社会的報酬を得たいがために、子育てをしているのです。
この場合、お母さんが、人間関係では下位にあるはずの子どもに依存しているといえます。こういう形を世話型依存といいます。

113ページより引用

親の意向で志望校を決める生徒って結構いるんですよね。驚きます。家庭の中で親の権力が強いんだなーって思います。
でもそうすると、子どもは誰の人生を歩んでるんだろう?って思います。親の指示で生きて行くのって結構楽なんですよね、人のせいにできるから。自分のせいにしなければいけないってなると、責任が伴いすぎて、思考が重たくなります。
しかしながら最終的には自分の足で立って生きて行くんですよね。だからこそ、中学高校あたりできちんとした親離れをしていく必要があります。裏を返すと、親の子離れも同様の時期に完遂する必要がありますね。
でもそれって直接は言えなくて。こういうのが親離れできていない/子離れできていない状態ですよ~ってアラートを出すしかない。


幸福と収入

ビジネスの世界ではモチベーションのもとになる要素として、「収入」
「地位」「周囲の称賛や感謝」の3要素がよく挙げられます。このうち後ろの2つは社会的報酬です。
実生活では金銭的報酬と社会的報酬は比例することも多いのですが、必ずしも金銭的利益が伴わなくても、社会的報酬が満たされるのであれば、人は熱心に行動するのです。

144ページより引用

生徒はよく「お金持ちになりたい」といいます。一方、お金持ち=幸せではありません。
なぜなら、お金持ちっていうのは相対的な概念だからです。人よりお金を持っているのがお金持ちです。お金持ちになればなるほど周囲の収入も上がる(そういう人とかかわる)ため、永遠にお金持ちになることはできません。
生活レベルが上がっていくのはいいことだと思います。しかし、貪欲さが増せばますほど使いたいお金は増えていくため、身なりにあった生活が重要になるのでしょう。


中野信子さんの本は非常にわかりやすいため好きです。とっても因果関係が明確というか。論理的ですね。

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