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喫茶結社のラジオ#108.5 「ごはんと日常」

喫茶結社のラジオ〜カウンター席より愛を込めて〜
こんばんは。
この番組は、神出鬼没の喫茶店、喫茶結社がお送りする、ラジオのなかの喫茶店です。喫茶店のカウンター席でマスターとお喋りするようなラジオ、をコンセプトにカフェ喫茶店の話や実店舗開業を目指す道のりの実況、皆様から寄せられた「マスター聞いてよ!」っていう話にも適度に相槌を打ち、涙あり笑いありサクラありヤラセありで、毎週金曜22時頃、お送りしております…

はい。今週は音声ではなく“読む”ラジオバージョンでのお送りです。
いやいや、今週は喋りたいことが沢山あったのですよ。正直今週喋らなかったら来週のラジオの尺がどれほどになるのか不安なレベルで、喋りたいことが沢山あるのです。
が、諸々の作業、スケジュール等を加味するとどう考えても収録の時間がとれない、というか、収録してもなんか急ぎ足になっちゃいそうだったので、今週は潔く“読む”バージョンにしようと思った次第です。まあ、月末平常運転です。

皆様いかがお過ごしですか?体調崩してないですか?私は体調崩して復活しました。不死鳥のテラニシと呼んでください。

今週は色んなことがあったのですが、まあその多くは次週のラジオで喋るとして、今日は古巣のご飯を食べた話でもしましょうか。

この前ちらっと東京へ帰ったとき、なんだか中途半端に時間ができた瞬間がありました。スケジュールは(いつものことながら)詰め詰めだったのですが、その前の予定が早く終わったので、夕食時の1時間に空白ができました。
せっかく都会にいるのだから、実家方面に帰る前に美味しいものでも食べようか、と思いつつ、でも今からお店探すのめんどいな、とも思いつつ。
ふと、昔の職場は今どうなっているのだろうと思いました。

昔の職場とは、飲食業会社員時代に働いていた店舗のことで、都内のとある駅の駅ビルに入っているお店です。
風のうわさでは後輩や上司が今もそのお店で働いているとか。
せっかくなら、今日の夕食はそこに行こうと思いました。

今まではむしろ、近づかないようにしていました。
もし当時の上司と鉢合わせて、「今なにしてるの?」と聞かれたら、ちゃんと答えられないような気がしていたからです。
私を育ててくれた人に対してちゃんと恩を返せないままに辞めてしまった、という負い目がありました。
あるいは、辞めてインドネシアに行ったのに、すぐ帰ってきてしまったという負い目が。
それは上司に限らず、同僚、後輩に対しても同様です。
けれどもその日は、なんだか行けるような気がしていました。
もし鉢合わせたら…とは思いつつも、今の自分で当時つくっていた料理を食べてみたい、みたいな欲求が勝りました。

久しぶりに訪れたお店は閉店間際にも関わらず混雑していて、その状況の大変さを想像して申し訳なくなりながらもお店に入りました。
知ってる店員は…どうやら誰もいないようで。
ほっと胸を撫で下ろしつつ、ちょっと残念な気もしつつ。
懐かしいメニューをじっくり眺めながら、ちょっと豪華なメニューを注文しました。
客席に座りながら、そういえば、こうやってお客さんとしてこのお店に来ることなんて数えるほどしかなかったとか思いながら。

そろそろかな、と思ったタイミングで運ばれてきた料理。そういう勘は鈍っていないようです。
懐かしい。
一口啜って、「そうだ、これは塩がこれくらいなんだよな」とか、「この茹で加減だった」とか「焼き加減こんな感じだったよな」とか。美味しいのは大前提なのだけれど、美味しいより先にそういう感想が先に出てきて。
当時と違って「この料理がなぜこの味付けなのか」とか、「なぜこの茹で加減なのか」とか、そういうところにまで考えを巡らせている自分がいることに、少しだけほっとしました。

帰り際、レジを待つ間に厨房をずっと見ていたら中にいた店員さんと目があって気まずくなって。店を出て、そこで初めて気づきました。私はどうやら当時の上司や同僚や後輩に会いたかったみたいです。
会ってどうするとか、そんなことは考えていないのですが、今、漸く会えるようになったのだなと。
別に報告できるほどの結果は出せていないし、相変わらずの私でどうしようもないのだけれど、ただ自分のなかで「負い目」を消化できたのかもしれません。それまた自分勝手な話ですが、そのくらいには、毎日に必死で生きていられているのだと。それを認めてあげられるようになったのだと思います。
それを成長と呼ぶのは些かチープで、むしろ、ただ日常を積み重ねた。それだけのことなのだと思うのですが。

さて、話し過ぎてしまいましたね。
そろそろお別れのお時間に致しましょう。

今夜のお別れの一曲は、そんな日常の歌。日常が続けばいいと願う歌。
当たり前は当たり前ではなくて、願うから在るのだと思います。当たり前が続きますように。

秋の夜風は少し堪えますね。
暖かくして歩きます。

皆様今宵も、素敵な夜をお過ごしください。
またね

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