「がん患者」と「サバイバーシップ」
「がん患者」と「サバイバーシップ」を関連づけて考える動きが出てきたのは、1980年代のアメリカ一般市民からです。さらに1986年、同じくアメリカで、がん体験者のアメリカ人医師を中心に設立された全米がんサバイバーシップ連合会が「がんサバイバー」「がんサバイバーシップ」という概念を打ち出しています。具体的には、今までがん患者は生存率にとらわれ、治療を受けることだけにエネルギーを注いできました。でも、これからは、がんサバイバーとして、がんとともに生きる、日々の生活の中で自分の人生を自分で考え、自分で選択し、生活の質を少しでも高めて、自分らしく生きていこうという考え方です。
また、「がんサバイバー」には、がん患者本人を支える家族や友人、職場の同僚、ケアをする医療者や社会的サポートをする人もサバイバーに含まれる、としています。
そして、がんサバイバーが身につけたい能力としては、
①コミュニケーション能力
②意思決定能力
③問題解決能力
④交渉能力
⑤情報探求能力
⑥自分の権利を主張していく能力
といわれています。
がんサバイバーの多くは、がん診断を受ける前の生活と全く同じ生活ができる状態には戻れません。したがって「これから自分はがんとともにどのように生きていくのか」というビジョンを描く事が必要となってきます。そのために、この6つの能力がを高めていく事が必要となっていくわけです。
治療のこと、食事のこと、排泄のこと、休息や睡眠、仕事のこと、大切な家族や友人たちと楽しい時間を過ごすこと等、これらを調整してどうすれば自分らしく快適に過ごすことが出来るか、思い描いてチャレンジしていく生き方が「サバイバーシップ」という意味です。
周りの人に迷惑をかけるかもしれない、お金がかかる、家族に心配を掛けたくない、思いはいつも揺れ動いていて、自己コントロールが大変な時もあるかもしれませんが、それは、がんでも、そうでなくても、起こりうる悩みです。
今日もまた、新型コロナウィルスの患者数が増加したとニュースで流れています。コロナウィルスは、実物の人に会う時間や機会も奪ってしまいました。しかし、がんサバイバーは自分1人じゃない、皆それぞれのところで、自分らしく暮らしていることを忘れないで居て欲しいです。