ぶっとばす。【ショートショート】
クッソー! こやつ頭がオカシイんじゃねーのか!
と、思った瞬間ぶっ飛ばしてしまっていた。ヤツを。
え? こんなに簡単に? 今まで人を殴ったことなんて無かったけれど「アッサリ簡単に」と思ってしまった。倫理観も罪悪感もしがらみをも、そのすべてを横に置いて。
せやけど確かに、カッチーン! とは来た。けど、ぶっ飛ばすってどういう腕力と選択肢…?
ぶっ飛ばされてうつ伏せになっているヤツを前に、真衣が自分に茫然としていたら、アッと光が放たれ爆風をあびた。
うわ、痛い。冷たいけど熱い…!
なんかわからへん。なにこの衝撃…
う、息ができない。なんじゃー!
立ってられないし、轟音は耳をつんざくし。とにかく息ができひんのを何としてもどうにかして欲しい。そうだ「元の世界に戻してー!」と叫ぶと、パカっと空が割れて爆風が鳴りやんだ。
ふわふわふわふわ…
アレ? なんか、カプセルの中に入って…る?
浮いてるで、宙に!!
球体の側面に弓なりになって額を押しつけ目を凝らすと、雲が切れ、真衣の眼下にヤツの姿が映し出された。
あ、なんか言うてる。
え…?!そうやったんや…
そんなまさかの事情があったやなんて…!
けど、仕事やのにアレはあかんやろ
けど、無条件にぶっ飛ばしたアンタはもっとあかんやろ
けど、誤解を招く上司もどうかと思うわ
けど、上司(やったんか!)をぶっ飛ばすて、終わってるやん
けど。信頼していたから、頭にキタのだ上司のまさかの回答に。
いやー、どうするよこれ。
てゆーか、どうなんの、これ?
ヤバい、ヤバいヤバいヤバいぃぃぃ…
螺旋上にループするヤバイが真衣の思考を停止し、このカプセルのまま、違う星のどこかに飛ばされたい、と切に願わせた。
駄菓子菓子、駄菓子もお菓子。
聞いてみたら、よかったな。ほんまに心底、相手を信頼してるんなら、まず聞くよね。そもそも言い分を聞くまでもなく、が信頼なんやろうけど。
けど、状況によってはカッとすることも、あるで。
だからー!! 聞いてみたら…よかったな。
はぁぁぁぁぁ、、、、、と、ため息で突っ伏していると、そよと真衣に風が起きた。
顔を上げるとカプセルの出口がウイーンと開いて、そこから梯子が地上に伸びた。
ぶっ飛ばす、コンマ1秒前の地上にね。
はじめて企画に参加いたしました!
きゃらをさんのお前ぶっとばす企画です。
お目当ては賞金500円です!
当たりますように〜!!(抽選ではありません、選考やからな)