オフショア開発 ~発注者の視点~ 日本のIT企業パックスクリエイション代表、佐藤重徳氏にインタヴューしました!
みなさん、こんにちは!
ドミトリーです。
今日は弊社CHI Softwareの日本の大切なお客様をご紹介致します。
パックスクリエイション代表の佐藤重徳社長です。
今年の春、佐藤さんとCHIの協力でスマホアプリの開発を成功させることができました!
佐藤さんにインタヴューして、佐藤さんご自身のことや、オフショア開発を発注した背景やエピソードなどを語って頂きました。
ぜひご一読ください!
(弊社のカテリーナと東京出張したときの写真や、佐藤さんがウクライナに来てくださったときの写真も、ご覧ください。)
ドミトリー: 佐藤さんは2006年にご自身の会社パックスクリエイションを立ち上げられ、ベトナムやウクライナなど、海外にも拠点を展開されています。会社を発展させてこられた経緯や、佐藤さんご自身のことについて、少し教えて頂けますでしょうか。
佐藤: 私は、総合商社に数年勤務した後、WEBシステムを開発する会社の立ち上げに参加し、その後、現在の会社を創業いたしました。2006年創業時、日本はガラケーの公式アプリが大流行でした。我々も公式アプリの受託開発を中心とした、WEB系システム開発会社として創業いたしました。
その後、ガラケーからスマートフォンに進化すると同時に、時代は、キャリアが主導する公式ストアからApple store / android market でのアプリへと変遷し、モバイルの受託開発もアプリ開発中心にシフトしていきます。
そのような中、受託規模が拡大するにつれ、日本国内での開発リソースの確保が困難になり、2010年からオフショア開発を模索し始め、2012年から本格的にベトナムに拠点を設けてオフショア開発を開始いたしました。
ドミトリー: ウクライナは、ベトナムやフィリピンに比べて、日本からはるかに遠いところに位置しています。なぜウクライナとのビジネスを始めようと思われたのですか。どのような基準でパートナーとなる現地企業を選んだのですか。
佐藤: アジアのオフショアパートナーは良くも悪くも日本の開発事情をよく知っております。所謂、ウォーターフォールに代表される、日本的な開発手法においては、問題なく機能し、クオリティを担保できる方法も我々なりに確立できています。一方で、日本向きの開発が進んでいる分、技術面、開発手法面でも日本に追従する形になってしまうことは否めませんでした。また、必ずコミュニケーターまたはブリッジエンジニアを通じての開発となるため、エンジニアからの意見を吸いとって、開発に反映させて改善するということが難しい現状が散見されました。
日本も開発手法がウォーターフォールからアジャイルに変化しているものの、そこに慣れないエンジニアが多く、教育コストがかかってしまうという実情もありました。
その点、ウクライナは欧米の開発受託を主に受けているため、
・英語で直接コミュニケーションが取れる
・エンジニアの大多数が英語が堪能であるため、最新の知識をアップデートしやすい
・そもそもアジャイル開発が主流
など、我々が求めていた人材がそろっていたということが開発パートナーをウクライナに求めた理由です。
ウクライナのパートナー選定基準としては、まずは、日本市場に注目しているかどうか?ということも重要でした。
世界各国がお客さんとなるウクライナにとって、やはり日本市場を重要視しているパートナーとの協業は非常に重要であると感じています。
ドミトリー: なるほど。その上で、弊社CHI Softwareを選んでくださったことを、大変嬉しく思います。ありがとうございます!ウクライナのパートナー企業がプロジェクトをうまくハンドリングできなかったらどうしよう、などという不安はありませんでしたか。リスクについてどう考えていましたか。
佐藤: 不安はありましたが、元々弊社は長年のオフショア開発経験もあったので、見るべきところは一緒だと考えておりました。やはりオフショアの失敗は、情報共有不足、コミュニケーション不足にあると考えていたので、徹底したコミュニケーションで不安は解消できていたと思います。
リスクは国内外問わず、どこでも生じると思いますが、一点時差の問題は懸念しておりましたが、定例や報告の時間を工夫することにより、ウクライナの出社時までにレビューをして、出社時にはその日の課題などを確認したり、レビューの結果を伝えたりするなど、スムーズに進めることができました。
時差を利用した開発に関しては、海外受託が多いウクライナはノウハウが多いと思いますし、逆にこちらの時間に合わせて、稼働時間を調整してもらうことも可能でしたので、大きな問題にはなりませんでした。
ドミトリー: ウクライナの開発者とのコミュニケーションについて教えてください。お客様からの情報を翻訳したり、それを開発者に伝えるうえで、難しさを感じたことはありましたか?私たちウクライナ人は、日本人とは異なる文化やアプローチを持っていると思うのですが、何かおもしろかったこと、驚いたことはありましたか。
佐藤: 日本人と変わらないと思います。エンジニア同士の会話については、あまり問題は出なかったと思います。一方で、UI/UXについては、仕様の説明が難しいところはありました。
エンタメ系のアプリであったため、画面デザインを見せて、翻訳して展開しても、用途やユーザの目的が伝わりづらいということがありました。
ウクライナの方はエンジニアという職種なのか、非常に控えめでシャイな方が多かったと思います。
あとは、徹夜してでもやり切るという、納期に対する責任感も強かったので、安心できました。
ドミトリー: 今回のオフショア案件は、リリースまでの期間がとてもタイトなプロジェクトでしたね。どのようにして時間どおりにプロジェクトを完了されたのでしょうか。
佐藤: タイトなスケジュールではあったのですが、少数の高スキルエンジニアをアサインして一気に仕上げるという形を取りました。また、日本、ウクライナ双方でコミュニケーターを立てて、コミュニケーションロスのないように、できるだけ円滑に進めることを心がけました。
ドミトリー: 日本・ウクライナの多くの人にとって興味深いと思うのですが、佐藤さんは、ウクライナの企業との仕事の結果に満足しておられますか。また弊社CHIと一緒にお仕事をして頂けますか? :-)
佐藤: 我々も、そしてクライアントもとても満足しており、ウクライナ企業との開発は継続したいと考えております。
開発手法などウクライナ企業から学ぶことも多いので、短納期ではなく1年を通じて計画を立てられる、長期プロジェクトの方がメリットは出やすいと考えておりますので、次回はそのような案件でご一緒したいと思っています。
ドミトリー: ありがとうございます!私たちも、日本のお客様にもっと満足して頂けるように、これからスキルアップしていきます!佐藤さんはウクライナを何度も訪れていらっしゃいますよね。パックスクリエイションは、COVID-19のロックダウンが始まる前からソフトウェア開発においてウクライナと協力を始めた数少ない企業のひとつと言えます。
日本企業の中には、オフショア開発のニーズをもっているのだけど、現在移動が制限されているために、ウクライナを含め海外の開発企業と知り合ったり商談する機会がなくて困っている、そんな企業が多くあるのではないかと思います。そのような方々に、佐藤さんからアドバイスできることはありますでしょうか。
佐藤: コロナの影響がどうなるかに関しては、誰にもわからないと思いますが、その収束を待ってからだと何も始まらないと思います。
今は海外渡航だけではなく、日本国内での移動も制限されていますし、今までもオフショア開発はzoomやskype、Slackなどのコミュニケーションツールを駆使してやっていたので、実務上はあまり変化はなく、むしろ日本側が慣れてきた状況なので、システム開発の仕事に、地理的な制約は関係なくなっているのではないかと思いますので、むしろ積極的にオフショアを利用するべきであると考えています。
しっかりと役割分担をし、管理していけば、品質も担保できると考えております。
ドミトリー: ウクライナは世界一の美人大国、なんてよく言われます。実際にはどう思いますか。
佐藤: はい!そう思います!ベトナムも美人が多いと言われていますが、それを基準に進出先を選択しているわけではありません。日本も美人が多いですので、私がいくところは美人ばかりですねw
ドミトリー: ウクライナ料理について一言お願いします。そろそろ、また食べたくなってませんか。
佐藤: 料理については、行く前までは正直印象がなかったのですが、とても美味しいです。そして、日本人の口に合うと思います。ボルシチは本当に美味しく、ヴァリニキも餃子に似ていて、口に合いました。蕎麦の実を炊いたものも素朴で大好きです。私が一番好きなのは、サーロ(豚の脂身塩漬け)です。これをツマミにしてホリールカ(ウォッカ)で流し込むのが最高です。
一番最初に覚えたウクライナ語は Будьмо! ブーヂモ(乾杯)
ドミトリー: 今ウクライナは、新しいオフショア開発拠点として、世界から注目を集めています。佐藤社長は、これからウクライナはどのように変化していくと思いますか。ウクライナにどんなことを期待していますか。
佐藤: 今後ますます発展していくとは思います。一方で、エンジニアコストの高騰していくと、質の低いエンジニアも輩出される傾向が出てくると思います。
エンジニアコストは世界的に平準化されていくと思いますので、最終的にはコスパが良いことが重要になってくると思います。
品質の高いエンジニアを確保できる人材輩出国になってほしいと考えています。
ドミトリー: 佐藤さん、今日は、貴重な時間と、大変示唆に富むお話、本当にありがとうございました!佐藤さんと次のプロジェクトが始められる日が来ることを楽しみにしています。今後とも、どうぞ宜しくお願します。
佐藤: こちらこそよろしくお願いします。
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