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空気は吸って吐くものです
去年放送されていたらしい「凪のお暇」のドラマを観た。漫画は未読。黒木華さんのポップなポスターに惹かれて観始めた。
痛烈な作品だった。毎年放送した方がいいんじゃない?!トトロみたいに。ってなくらい。現代日本人を斬って斬りまくる感じ。それでいて爽やか。"エモ"で溢れてる。
主題は"空気"。
周りに溢れるいろんな"空気"について高橋一生さん演じる慎二がナレーションで語るのにあわせて、黒木華さん演じる凪が、人の顔色を窺いながら慎重に"空気"を読み取って、仕事をしたり同僚とランチをするところから物語は始まる。
凪は押し寄せる"空気"に耐えられなくなり、過呼吸を起こして退職してしまう。文字通り何もかも捨てて郊外に移り住み、人生のリセットを試みるというお話。
名言だらけな本作で、度々登場するのがタイトルの言葉。「空気は読むものじゃない。空気は、吸って吐くものです。」
凪には共感だらけで度々胸が苦しくなった。特に空気を読みすぎるあまり、心から仲が良いといえるほんとうの友達が少なすぎるところとか。幼少期に空気を読みすぎていたところに原因があるところとか。すごくよく分かる。
「空気は吸って吐くものです」と言われても、読まずにはいられない。それは幼少のとき不本意にも得てしまった得技だから。人の一挙一動から意図を察して、望み通りに動くことが得意だから。
でも、空気は吸って吐くものなのだ。空気を読むことは、嫌われないようにだけ努めたいときにしか、役に立たない。愛されないし愛せない。なぜなら空気を読むとき、相手への興味は存在しないから。
興味があったら、空気を読むなんてしていられないに決まっている。
空気を読んでしまうのは、自分に自信はないけど、自分がかわいくて仕方ないからだ。
「凪のお暇」、空気を読んでしまうすべての人に観てほしい。空気を読むことが正義だと、本気で信じてしまっている私みたいな人に観てほしい。今更すぎるけど、まだの方はぜひ。アマプラで配信中です。
大学四年生、学生最後の夏。コロナで思うように遊んだりできないけど、"お暇"と思って私も少しだけ、人生について考える。