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22.車の恐怖-続-
私が、
『すみません、今日手持ちがあまりないので、帰る電車代が足りないかもしれないし…明日も仕事なので…』と不安げに伝えると
『大丈夫、大丈夫。
交通費は渡すし、終電に間に合うように帰すから、ね。』
パパはそういうと、断る隙を与える間もなく、私を車に乗せた。
【初対面の人の車に乗ってはいけない】
これは常識である。
常識を逸脱した私は車の中で、最悪生きて帰ってこれないだろうと覚悟した。
ピーピーという音が車内に鳴り響いている。
『あの…シートベルトするの忘れているみたいですよ?』と私が指摘すると
『大丈夫、大丈夫。しばらくしたら、音止まるから。』
パパは、いつもシートベルトをしないで運転しているらしい。
そのまま高速に乗り、猛スピードで走り抜けるパパを横目に
私は、もう気が気ではなかった。
パパの地元に着いたとき、そこは真っ暗で、そこが何県なのかもわからないくらいだった。
わたしはしきりに携帯で時間を確認していた。
こんな事態を想像していなかったので、携帯もフル充電ではない…
もう、何もかもが終わりだ…。
このまま姥捨て山に捨てられるかもしれない…。
パパの行きつけの店で料理をいただいたが、
味なんて堪能する余裕はなく、絶望でしかなかった。
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