南武支線 車両運用の「ゴタゴタ」
「新がた電車」E127系0番台の転入
2022年3月12日。長年愛された115系の影で、27年間の新潟での活躍をひっそりと終えた電車が居ました。E127系0番台(2連2本、ニイV12・V13編成)です。同年6月〜12月にかけては車両不足で上越線や越後線で代走をする機会も出来ましたが、12月17日の撮影会が新潟での最後の晴れ舞台となり、2023年2月21日に長野総合車両センターへと姿を消しました。
そして、2023年6月。E127系0番台は、南武支線用のナハV1・V2編成となって、E127系の登場から28年目にして初の「上京(関東圏進出)」を果たしたのです。
2023年9月13日から運用を開始し、その境遇と関東圏では珍しい3ドアの電車ということもあって、鉄道ファンからも大きな驚きの声を受けて迎え入れられました。
南武支線ではそれまで、205系1000番台(2連3本、ナハW1・W2・W4編成)が活躍していました。3本のうち2運用・1予備と割り振っていましたが、E127系の導入によって、W1・W2編成が置き換えられ、中原車両センター(所属先)と国府津車両センターを10ヶ月もの間行ったり来たりして疎開していました。
一方で、E127系だけでは本数が足らなくなるため(2023年に検査を受けたばかりだった)W4編成が残留することになりました。2023年2月付の鉄道コムの記事でも「今後はE127系2本と205系1本で南武支線を運行していく」と記述されていましたが…。
想定外… 205系「2本目」の復活
2024年7月30日。なんと置き換えられたはずのナハW2編成が運用に復帰したのです。そしてこの日から(8月24日を除く)今日にかけての2運用はナハW2・W4編成の2本体制で、去年9月までの205系1000番台のみの体制に逆戻りしてしまいました。
2023年2月時点で「E127系+ナハW4編成」と言及されていたため、ナハW2編成の復活はE127系側に想定外の事態が起こったことを示します。
9月21日に鉄道コム社が改めてJR東日本横浜支社の担当部署に問い合わせたところ「E127系は当社の規定等に則り運用している」とした一方で、E127系の状態・復帰時期の回答は無かったようです。
E127系の運用日から考察
なぜE127系は運用を離脱したのか。ここからは、運用情報(loo-ool様)を元に、運用を離脱した時期を探っていきます。
⚠️お断り⚠️ サイトでの目撃が無い日は調査の対象外としております。
2023年9月13日〜10月
9月13日のデビュー以降、9月いっぱいは全ての運用をE127系が担っていましたが、10月からW4編成が復帰し、以降は2024年6月まで、W4・V1・V2の3編成を、基本的に「01H→03H→予備」とローテーションして運用していました。
2024年5月〜6月
2024年5月はW4編成の稼働率が若干上がるとともに、W2編成が(W1編成と共に)国府津車両センターから疎開返却されました。
6月は稼働率がほぼ均等に割り当てられていましたが…。
2024年7月〜8月
7月になると徐々にローテーションが崩れ始め、7月17日を最後にナハV2編成が運用を離脱。追って7月25日にはV1編成が途中で運用を離脱してW4編成に車両交換されました。
7月30日。ナハW2編成が10ヶ月ぶりに運用に復帰。E127系はこれを機に運用機会が激減します。8月中にE127系が運用に入ったのは(V1編成が03Hに充当した)8月24日のみ。以降「新がた」として出迎えられていたはずのE127系は行方を眩まします。
2024年9月
そして今月。E127系の2本が運用に入った日は0。引退したはずのナハW2編成は(23日時点で)全偶数日の01H・全奇数日の03Hに充当しています。そのほか、9月5日にV2編成が車体修繕工事を終えて中原から弁天橋へ回送されましたが、今日に至るまで運用には入っていません。
まとめ
時期を見ると、V2編成の(現在に至るまで2ヶ月も続いている)長期的な運用離脱の開始後、V1編成が車両交換を起こし、その5日後にW2編成が運用に復帰。V2編成が車体修繕工事を終えた後はずっと弁天橋に居ることから、現在はW2・W4編成が運用、V2編成が予備、V1編成が離脱中という布陣になっていそうです。
「冷房装置故障の噂」と「車体修繕工事」
E127系の運用離脱の理由について、Xでは「冷房装置が弱いからなのではないか」とする考察が多数見受けられます。
実際、たまネギ氏の投稿の通り、E127系には横流ファンが無く、205系などと比べて効きが悪くなっているという意見も見受けられます。
しかし、7月当時の投稿まで遡ると「V1編成が冷房装置の故障・V2編成が交番検査中(機能保全+車体保全工事で入場)」とする投稿が見受けられます。
実際に、7月25日にはV1編成が車両交換を受けたとする目撃が、運用調査サイトに上がっています。この理由が「冷房装置の故障」だとすれば納得が行きます。
複数の証言の時期の合致からも、W2編成が運用に復帰した理由は「V1編成の冷房装置故障・V2編成の検査による車両不足」なのではないでしょうか。
一方で、V2編成は車体修繕工事と同時に機能保全も行っています。現在は弁天橋で予備車の役割に回っていると見られます。出場後、一度も運用入りしていないため、現状掴めていない車体修繕工事の内容が気になるところです。
E127系0番台・205系1000番台の行く末は?
E127系が主力になるはずが、E127系と205系が共存するどころか、ほぼ205系だけの路線に逆戻りしてしまった南武支線。この路線に居る以上、この2形式の関係は切っても切り離せなさそうですが、両形式の今後の行方はどうなるのでしょうか。
鍵を握るのは「E127系+ナハW4編成」の検査時期です。
いずれも2023年に検査を通過しています。W4編成は「2019年→2023年」と4年周期で検査を行っているため、次の検査切れは「2027年前後」に訪れるものと思われます。
他番台からは既に多くの廃車が発生しているため、205系が次の検査を通過するとは考えにくく、先ほどまでご覧に入れた「ギリギリ」の状態になることを強いてでもこの布陣を組んだということは「2027年までの中継ぎの布陣」である可能性が高そうです。
お隣の鶴見線では3ドア車のFV-E991系が試験走行中ですが、実用開始は2030年度にもつれ込むことから、E131系の新製導入が有力と予想します。
来年度以降の新造車の細かい予想はこちらの記事も併せてご覧ください。
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