キハ110系 譲渡の可能性
↑⚠️:HB-E220系の導入・キハ110系の置き換え予想:必ず先にご覧ください↑
HB-E220系への置き換えがスタート?
2024年5月21日。鉄道車両の設計に携わる、三共技研工業 ㈱ が設計に携わった車両を記載したホームページに「2022(年):JR東日本 HB-E220 車体設計」の記載が確認され、HB-E220系の登場が確定的となりました。置き換えられる車両の候補には(キハ40形の撤退によりJR東日本で最も古い気動車となった)キハ100系・キハ110系が挙げられました。
キハ100系(16.5m車)・キハ110系(20m車)は、1990年〜1999年製で車齢25年〜34年。鋼製車体や内装の床など随所に老朽化が見られ始めていますが、中古の気動車を購入する中小私鉄への譲渡となれば適齢期で、複数社への譲渡が発生する可能性がありそうです。今回はその可能性を探っていきます。
キハ110系 譲渡先予想
① ひたちなか海浜鉄道
ひたちなか海浜鉄道湊線は、茨城県の勝田〜阿字ヶ浦を結ぶ路線です。しかし、将来はネモフィラで有名な国立ひたちなか海浜公園への延伸が予定されており、車両の所要数が増えることが想定されます。当初は2024年春に延伸予定でしたが、コロナ禍による不況などの理由で2029年頃に延期されています。
そんな中、2024年6月9日に行われた「ひたちなか海浜鉄道 開業記念祭2024」にて、社長から「キハ205・ミキ300-103の2両が2024年10月頃に廃車となり、新車両に置き換えられる」と発表されました。
キハ205は、元キハ20-522(国鉄キハ20形のラストナンバー)かつキハ20形最後の現役車で、製造から60年が経過していました。1月9日付のブログ「海浜鉄道日誌」では、「老朽化が深刻」「延伸を待たずの更新は必要かもしれない」と記述されており、ファンの間でも数年前から勇退が噂されていました。
ミキ300-103は、元は2008年に廃止された兵庫県の三木鉄道の車両で、廃止後は北条鉄道(ミキ300-104→フラワ2000-3)・樽見鉄道(ミキ300-105→ハイモ295-617)に譲渡された他2両をよそに、保存を前提に旧三木駅構内の車庫で保管されていたところに目を付けて購入。近年は三木鉄道色を纏う最後の車両として有名でしたが、他車と併結できない厄介者としても知られていました。
代替車両は今秋から入線する模様です。従って、秋頃までに置き換えられる車両もしくは既に余剰となっている車両が候補となります。また、数年後の延伸による増備も視野に入れているそうで、今後も継続的に放出が見込まれそうな車両が好ましいでしょう。
今年度中にJRから放出される気動車は(現状明らかにされている範囲だと)JR北海道のキハ40形に限られます。しかし、経年が40年と高い上に数両を残すのみとなっており継続的な放出は見込めません。一方、新型車両を導入するのではないかとの声もありますが、2024年度決算で赤字を叩き出している以上、大幅な支援がない限り現実的ではありません。
ですので、個人的には新型車両への置き換えが決まっているものの表向きにはまだ発表されておらず、かつ既に余剰車がいる中古車ではないかと予想します。仮にキハ110系列を譲り受けるという形であれば、今後も他線区のキハ110系を追加で譲り受けることができそうな点を踏まえても合点が付きます。
(ここからは7/3 17:00追記)
7月3日の午前11時に公式発表があり、キハ100系3両(一ノ関車)を譲り受けることが判明しました。譲渡車はキハ100-39〜41で、39はミキ300-103・41はキハ205をそれぞれ置き換え、40は観光列車に改造されるようです。納車時期は未定で、整備ができ次第導入するということです。
キハ100系の一ノ関車は、21両配置14両使用でした。2022年度に大船渡線、2023年度に北上線をそれぞれ減便とした関係で、5両ほどの余剰が発生していたようで、16.5m車と小回りの利く車体も相まって譲渡に至ったものと思われます。
「置き換え車両だけでなく余剰車も含めた活用スタイルを取ろう」という、JR東日本の今の経営スタイルが垣間見えたようでした。
② 山形鉄道
山形鉄道フラワー長井線は、山形県の赤湯〜荒砥を結ぶ路線です。
途中の今泉駅ではJR米坂線と接続しており、米坂線用のキハ110系が長井線に交番検査をしに来たこともありましたが、米坂線は2022年8月の豪雨災害により、今泉〜坂町間で現在も不通となっています。
現在はYR-880形という1988年にデビューした貴重な第1世代NDCが活躍しています。一時期は8両が在籍していましたが、現在は6両まで数を減らしています。
さて、2024年3月21日付の河北新報の記事にて、山形鉄道の10カ年計画の詳細が記載され、これらのことが明らかになりました。
また、2023年12月16日付の山形新聞の記事で、このような記述があったことも明らかになりました。
すなわち、YR-880形(6両)の置き換え用に、JRの中古車両(5両)を、2026〜2029年度にかけて購入するようです。車齢や時期的にもどこかしらから放出されたキハ100系・キハ110系により置き換えられる可能性が高そうです。
③ 小湊鐵道
小湊鐵道線は、千葉県の五井〜上総中野を結ぶ路線です。
2021年〜2022年にかけて、JR東日本からキハ40形2000番台を購入しましたが、購入は5両に留まり、古いもので経年63年を迎えるキハ200形が11両も残っています。
キハ200形は(発火事故をきっかけに換装が進められ搭載車が激減した)カミンズ製のDMH17型エンジンを搭載している貴重なディーゼルカーの1つで、部品もだいぶ前に製造が終了しているため、キハ40形の導入による一部の置き換えは部品取り用の車両を捻出するためでもあったと語られています。
また、残るキハ200形についても「もって10年」と関係者の方が言及されており、2030年頃を目処に置き換えられることは間違いなさそうです。
小湊鐵道はキハ40形を使って、当時の塗装を再現したり、レトロな観光急行を走らせたりとありとあらゆる “リバイバルムーブ” をこなしています。引き続きJR東日本からキハ110系を購入して、秋田リレー色などの懐かしい塗装を纏わせる…といった未来もあり得るのではないでしょうか。
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