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|初投稿|ご挨拶/①JR北海道の中期経営計画について:札幌〜旭川・新千歳空港間の高速化構想
|ご挨拶|
こんにちは。山眺という者です。X(Twitter)で鉄道に関するトピックを要約してポストしています。
この度、鉄道車両の動きをまとめたサイト、いわば “Wiki的な場所“ として「note」を開設することと致しました。
このサイトをトピックのデータベースとして閲覧していただけるよう、超低頻度ながら展開してまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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◼︎ 車両・路線など、鉄道に関するトピックを箇条書きなどにまとめてポスト。
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|JR北海道「中期経営計画」以降の事業構想について|
挨拶だけでは物寂しいので、noteの力試しに、JR北海道から先日公開された「JR北海道グループ 中期経営計画 2026」から、その資料内にある「中期経営計画以降に構想されている事業」の中から2回に分けて解説することに致しましょう。
今回は「函館本線・千歳線の高速化」について解説します。
その他の事業構想や、2026年度までの事業内容・今年度の事業計画は、②以降で解説しようと思います。
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┆事業構想①:函館本線・千歳線の高速化┆
北海道新幹線の札幌延伸後(2030年度末以降)の開始を目処に検討が始まった構想。
実現すれば、最速の所要時間がこんなに短くなります!
◼︎ 札幌〜旭川:1時間(約25分短縮)
◼︎ 札幌〜新千歳空港:25分(約8分短縮)
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LED方向幕の背後に映る札幌駅の駅名標
札幌〜新千歳空港間では、現在、快速「エアポート」が、721系・733系3000番台によって運行されています。所要時間は最速で33分です。
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特急「ライラック」(789系0番台)
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特急「カムイ」(789系1000番台)
札幌〜旭川間では、現在、特急「ライラック」が789系0番台、特急「カムイ」が789系1000番台(いずれも電車)によって運行されています。所要時間は最速で1時間25分です。
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キハ283系 (画像は「おおぞら」時代)
また、網走発着の特急「オホーツク」や、稚内発着の特急「宗谷」は、札幌〜旭川を経由し、ディーゼルカー(キハ283系・キハ261系0番台)によって運行されています。こちらは電車特急より10〜15分ほど時間がかかってしまいます。
そのため、需要が少ない昼間には、札幌〜旭川間の特急は電車特急の「ライラック」「カムイ」だけ走り、網走・稚内へ向かう人は、気動車特急の「大雪(旭川〜網走)」「サロベツ(旭川〜稚内)」へ、旭川駅でそれぞれ乗り換える形となっています。
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函館本線・千歳線の高速化の事業構想案
高速化の実現にはこれらの工事が必要になります。
・最高速度の向上(現在は120km/h)
・線形改良(カーブの直線化など)
・高架化による踏切廃止
・軌道強化
ただ、財源については「現状は当てがない」という報道も出回っています(※1)。
また、新千歳空港への速達手段については、現在と同じく、快速「エアポート」とするようです(※2)。
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┆考察①:函館本線・千歳線の高速化の詳細内容┆
ここからは更に詳細な内容がどうなるかを考察します。
① 新型特急の導入(785系・789系0番台の置き換え)
特急「ライラック」用の789系0番台は、元々は青函トンネルを通って青森と函館を結ぶ、特急「スーパー白鳥」用として、2002年〜2011年に製造された車両です。
2016年の北海道新幹線の部分開業によって「スーパー白鳥」が廃止されたため、老朽化した785系という車両を置き換えるべく「ライラック」へ転職してきました。
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この際に置き換えられた785系は、1990年・2001年〜2002年に製造され、2017年の時点で経年15〜27年かつ機器更新済(モーターなどが新品へ交換済)でしたが、状態が芳しくないことを理由に、NE-501編成・NE-502編成の5連2本(かつての付属編成 a.k.a. NE-100編成)を残して全て解体されています。
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789系0番台も機器更新(重要部機器取替)が2019〜2024年にかけて行われているものの、(北海道新幹線が札幌へ延伸予定の)2031年の時点で、既に製造から30年近くが経過することとなり、この段階で置き換えの計画が浮上してもおかしくはありません。
また、それよりも古い785系の2本は、札幌と室蘭を結ぶ、特急「すずらん」にて今なお現役で、こちらの置き換えは789系よりも急務と言えるでしょう。
そんな中で今回、札幌〜旭川・新千歳空港間の高速化(最高速度引き上げ)の構想が浮上しました。所要時間を踏まえると(劇的な線形改良や途中停車駅の削減が為されない限り)実現すれば最高速度160km/hへの対応を余儀なくされる可能性があります。
789系は、設計最高速度(設計上は出すことができる速度)ですら145km/hまでしか出せず、営業最高速度(営業運転で出す速度)も含め、160km/hには対応していません。
(0番台には160km対応の準備工事をしてはいるものの)789系の車齢を踏まえても、高速化の有無に関わらず、まずは新幹線の札幌延伸に照準を合わせて、札幌〜旭川間に(160km/h対応の?)新型特急を導入し、789系のうち0番台を置き換え・1000番台を「すずらん」へ玉突きすることで785系を置き換えた後、高速化の目処が立ち次第、0番台より5年ほど車齢が若い(2007年製の)1000番台の置き換えにも追って着手する置き換え方法が現実的ではないでしょうか。
現在の配置数
・789系0番台:6連6本(「ライラック」4運用、予備2)
・789系1000番台:5連6本(「カムイ」3運用、「すずらん」共通2運用、予備1〜3)
・785系500番台:5連2本(「すずらん」共通2運用、予備0〜2)
https://ameblo.jp/tc205-37/entry-12811287212.html?frm=theme
【JR北海道】札幌所789系HE編成運用表 [23.3.18改正]
https://ameblo.jp/tc205-37/entry-12811286673.html?frm=theme
↓
北海道新幹線 札幌延伸時点での配置数(予想)
・761系(仮): 5or6連 9〜10本(札幌〜旭川間の特急7運用、予備2〜3)
・789系1000番台:5連4〜6本(「すずらん」2運用、予備2〜4)
↓
高速化完了時点での配置数(予想)
・761系(仮): 5or6連 11〜12本(札幌〜旭川間の特急7運用、「すずらん」2運用、予備2〜3)
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② 旭川分離の拡大
(先述した通り)利用が比較的少ない昼間においては、網走・稚内発着の気動車特急の札幌駅への乗り入れを取りやめる代わりに、旭川駅で「電車特急↔︎気動車特急」の対面乗り換えができる、系統分離方式を取っています。この策を取っている理由は需要の他にも、網走・稚内発着の気動車特急に使用される車両が比較的古いものであるため、走行距離を減らして延命を図るという側面もあるのかもしれません。また、札幌駅近辺にある苗穂工場で整備を受ける必要があるため、朝晩は札幌乗り入れを続けています。
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特急「おおぞら」「とかち」(札幌↔︎帯広・釧路)にも使用される
キハ261系1000番台
しかし、北海道新幹線が札幌に延伸すれば、特急「北斗」が廃止(or区間縮小)されるため、キハ261系1000番台が大量に余ることに繋がります。比較的新しく(2015年製以降の5次車以降が大半を占める)、整備もしやすいこの車両が余るとなると、当然「オホーツク」「大雪」や「宗谷」「サロベツ」に転用した上で、キハ283系・キハ261系0番台を置き換えることになるでしょう。
これで寿命の面はクリアできますが、札幌〜旭川間が高速化されるとなると話は別です。むしろ最高速度が遅いことを理由に、気動車特急が札幌駅から締め出される可能性も出てきます。当然ですが、キハ261系1000番台も160km/hには対応していません。
また、②で紹介していますが、苗穂工場に全面移転の可能性が出ています。仮に全面移転となれば、場所によっては札幌へ行く必要すら無くなってしまうかもしれません。
これらを踏まえると、特急列車の旭川での系統分離が一日中に拡大する可能性も出てきます。手間は増えますが、運行形態上はより合理的なものになりそうです。
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その他の参考サイト
⚫︎ Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/JR%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93785%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A#%E8%BB%8A%E6%AD%B4%E8%A1%A8
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/JR%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93789%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A
(※1)https://www.hokkaido-np.co.jp/article/995231/
(※2)https://news.ntv.co.jp/n/stv/category/society/st57b588e7e34b428d85c6fa954c50c91e
使用させていただいた素材
・線路のライン|罫線・飾り罫ライン素材 FREE LINE DESIGN
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