今後が気になる「JR東日本の3つの老朽車」
今回は、JR東日本の車両の中で、車齢が特に高い上に延命など続投の方針が示されていない「3つの車両」の今後を占っていきます。
① 205系3100番台(4連17本、1985年〜)
1985年に山手線・1989年に埼京線用の車両としてデビューし、2002年〜2004年にかけて仙石線用に改造された205系。2009年には南武線から更に1本を迎え入れ、最盛期は4連19本が在籍していました。2011年の東日本大震災での被災により2本が廃車され、最近までは4連17本の体制となっていました。
しかし、近年は車両故障によって遅延や運休などの輸送障害を引き起こしており、老朽化が顕著に見受けられます。また、廃車となった他の205系が(2021年の500番台を皮切りに)長野ではなく郡山で解体を行うようになったことから、郡山で検査を行う3100番台を延命させるために部品を授けているのではないか…と噂されています。
そんな中、2024年4月18日に郡山へ回送された、センM4編成が4月20日付で廃車となっていたことが「鉄道ファン」の2024年8月号で明らかになりました。2022年3月の改正以降、仙石線の運用数が14となったため、予備を1〜2本と見積もっても1本は余っていて廃車にできる状態でした。
すなわち、2年前に1本を余らせて廃車&部品を捻出できるような状況を作りながら今まで他の番台の廃品に頼ってきた3100番台に対して、ようやく、そして突然に、その鉄槌を下した形になります。非常に不自然な動きです。
しかし、M4編成の廃車が新型車両の導入を見越したものであれば、とても自然な動きだと感じます。新車に置き換えられるのであれば、わざわざ17本の体制を維持する必要が無くなるので検査を通す必要も無くなるからです。
2020年6月の時点では「(E235系に置き換えられた)E233系1000番台・6000番台の転入線区」に指定されていましたが(コロナ禍を経た)2021年9月の労組資料で計画が見直されたことが明かされます。そこにはこんな記述が…
「新型車両(131系予定)」(しかも後になぜか削除)。
房総地区・相模線・宇都宮線・日光線でも205系を置き換えた、E131系が仙石線にも導入されるというのです。この記述とその後に始まったワンマン化改造により、E233系の転用計画が白紙撤回されたことも決定的となりました。
また、2022年3月23日付の東洋経済オンラインの記事にも「現在は205系が活躍している仙石線にも今後(E131系の)導入が検討されており、ますます活躍の場が広がりそうだ」との記述がありました。
(この計画に変更が無ければ)205系3100番台は、E131系の直接導入によって置き換えられることになりそうです。E233系の転用計画があったことから拡幅車体の車両が入線できそうですので「3桁番台の拡幅車体仕様」と予想します。
また、2024年3月に発注されたJR用の車両数が、E131系と同じ編成構成かつ4連14本分でした。仙石線用のE131系と関係のある数値かどうか(製造所になるであろう)J-TREC新津事業所の動きも含めて今後注視したいところです。
② 205系1000番台(2連1本、1985年〜)
こちらは1985年に山手線用の車両としてデビューし、2004年に南武支線用に改造された205系。かつては元中央・総武緩行線用で5年ほど若い車両がもう2本居ましたが、2023年9月に新潟地区からやってきたE127系0番台に置き換えられています。
3100番台が置き換えられると、JR東日本で唯一の205系になります。しかし、E127系0番台も(機器更新済みとはいえ)車齢29年と若くないことから、両者とも検査を迎えたタイミングで、新車(E131系?)に置き換えられると予想します。
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③ 719系5000番台(2連12本、1991年〜)
1991年、山形線(福島〜新庄)の車両としてデビューした719系5000番台。東北本線用の0番台を踏襲しながら、山形新幹線に合わせて台車を狭軌用(1,435mm)の物にした専用設計とした関係で、帯色は🟧+🟩(0番台は🟥+🟩)になっています。
0番台(2連42本)が2020年に引退した後も活躍を続けていますが、同じく活躍を続けてきた「フルーティア」こと700番台が2023年12月に引退しました。
引退の理由には「会津若松〜喜多方間の非電化」がよく挙げられますが、もしかすると719系の構造にも問題があるかもしれません。
719系に搭載されているサイリスタ位相制御という制御装置は、既に部品の生産が終了しているんです。しかも、719系5000番台は険しい板谷峠を越える運用に就く関係で、抑速ブレーキを多用するために、制御機の部品劣化が顕著に現れているそう。部品の調達も困難であるため、0番台の廃車発生品を調達して食い繋いでいる状態だと聞きます。他の搭載車を見ると、阿武隈急行の8100系がまもなく引退を迎える他、JR九州の811系ではリニューアルと機器更新が現在進行形で行われています。
憶測にはなりますが、これまでは供給できた0番台からの廃車発生品のストックが尽きたとすれば「フルーティア」が引退するのも無理はありません。そして、もしこの理屈が通るのであれば、5000番台も部品不足に悩まされている可能性があります。
横の山形新幹線では、E8系の新製導入の真っ只中です。かつE131系という新たなローカル線向け車両のテンプレートも出来た今こそ、719系の置き換えには絶好のタイミングであると言えるでしょう。
また、2024年2月に発注されたJR用車両の制御車の数が11両でした。143両の電動車の中の11両とペアを組んだ2連11本分だと仮定すれば、719系5000番台の置き換え用である可能性が高まります。
「E721系になるのではないか」との意見もありますが、設計が10年以上前のものと古いため、E131系の要素を取り込んでマイナーチェンジを施した新形式になる可能性がありそうです。
719系5000番台の運用数は10です。
一世代後の701系では二度目の機器更新の動きが始まりそうな中で未だに言及が無いため、今後の動きに注目が集まりそうです。