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205系1000番台の今後は?

撤退と残留 運命が別れた3本

205系1000番台は、神奈川県川崎市の臨海部を結ぶ、南武支線(尻手〜浜川崎間)用の車両で、かつては中間車(モーター車)として山手線や中央・総武線で活躍していた車両に、新しい顔と運転台を付けて誕生した超強力な2両編成です。

ナハW1・W2・W4編成の2連3本が2002〜2003年に登場し、それまでの101系を置き換え、以降約20年に渡り南武支線で活躍してきました。

E127系0番台 ナハV1編成(元ニイV12編成)

しかし2023年。前年3月のダイヤ改正でE129系の追加導入により新潟地区を追われて職を失っていた、E127系0番台の2連2本(ニイV12・V13編成)が長野総合車両センターで改造を受け、ナハV1・V2編成となって南武支線の帯をまとって出場。9月13日から運用に入り、ナハW1・W2編成を置き換えました。一方で、ナハW4編成は依然として南武支線の運用に就き続けています。

① ナハW4編成:いつまで残る?何で置き換える?

205系1000番台 ナハW4編成

ナハW4編成は、205系の中では初期車に当たる元山手線の車両で、1985年製と他の2編成に比べて4年ほど古いにも関わらず、現在も活躍を続けています。


E127系0番台(南武支線車の新潟時代、画像はWikipediaコモンズより)
晩年は弥彦線で使用され、最末期はE129系の不足により上越線などを代走した

撤退しない原因は、E127系0番台の編成数にあります。元は2連13本が新潟車両センターに在籍していましたが、2008年の踏切事故で大破した1本が廃車となり…

E129系(画像はWikipediaコモンズより)

2015年には新型車両・E129系へ置き換えられ、10本がえちごトキめき鉄道へ譲渡されたため、JR東日本には2本しか残っていません。

しかし、南武支線の運用は「終日の01H運用」と「朝のみの03H運用」の2つがあり、予備車を含めるとどうしても3本が必要です。従って205系が1本残らざるを得ない状況になり、ナハW4編成が残留することになったのです。


205系3100番台(2WAYシート車)

しかし、近年のJR東日本では、新型車両の導入による205系の撤退が相次いでおり、残すは「仙石線用の3100番台(4連17本)」と「ナハW4編成」の18本のみとなっています。

E131系(画像は房総用の0番台)
相模線・日光線・鶴見線で205系を置き換えた

さらに、3100番台も過去の労組資料で「E131系の導入による置き換え」が示唆されたことがあり、仮に導入となれば置き換えは目前である可能性が高いです。そうなると、いよいよナハW4編成が「JR東日本最後の205系」となる可能性が高まります。


実は、ナハW4編成は、E127系の導入を目前とした2023年1月に大宮総合車両センターにて検査を行っており、その前の検査が2019年に行われていたことから、今回の検査期限は2027年頃になると推定することができます。その頃には、E127系0番台も製造から約32年が経過する頃合いです。

FV-E991系(画像はWikipediaコモンズより)

一部の鉄道ファンからは、近隣の鶴見線で試験走行を行っている水素試験車両・FV-E991系の量産車が候補ではないかと言われていますが、JR東日本は「水素車両の量産車はディーゼルカーを置き換える」としており、電車の南武支線には該当しません。

従って、E131系などの短編成の新車が有力候補なのではないかと予想します。

② ナハW1・W2編成:“ナゾの”長期間に渡る国府津での疎開

205系1000番台 ナハW2編成

ナハW1・W2編成は、205系の中では後期車に当たる元中央・総武緩行線の車両で、1989年製と205系の中では新しいにも関わらず、今後3年は残りそうなW4編成とは対照的に、E127系のデビュー翌日・翌々日の2023年9月14日・9月15日に、あっさりと国府津車両センターに疎開されました。

その後はしばらく経った後に長野総合車両センターや郡山総合車両センターなどといった解体場所へと牽引機で回送されるのが一般的な流れです。

しかし、ナハW1・W2編成は、中原車両センター(所属区)へ2023年12月中に一度返却され、再度国府津車両センターに疎開された後、2024年5月25日に再度中原車両センターに返却されています。
もう実に8ヶ月、もう半年以上です。

205系1100番台(鶴見線用)
同じく国府津疎開も、3連6本が先に郡山へ配給され解体された

更に、E131系1000番台に置き換えられて国府津に後から疎開しに来た、鶴見線用の205系1100番台のうち3連6本が、ナハW1・W2編成より先に郡山総合車両センターへ入場し既に解体され始めています。これは異例とも取れる動きでしょう。

現在、中原車両センターの205系は「1000番台が2連2本、1100番台が3連3本」残っています。


譲渡の可能性は?
ナハW1・W2編成が譲渡されるとなった場合、候補となるのは以下の会社でしょうか。

① 富士山麓電気鉄道
② 秩父鉄道
③ 三岐鉄道
④ 大井川鐵道

① 富士山麓電気鉄道
6000系
(同じく元205系かつ3両編成)が多数在籍する富士急行。その他に旧式の1000形・1200形(元京王5000系)が2連2本(うち1本は「富士登山電車」)残っており、これを置き換えるのではないか…と噂されています。
ただ、6000系の中には1985年製の初期車も在籍しているため、譲受しても数年後に置き換えが必要になる可能性があります。富士山や富士急ハイランドなどの観光需要で比較的経営が順調かつ近代的なVVVF車も入線できることを踏まえると、次のフェーズに入っていてもおかしくはなさそう…とも考える次第です。

② 秩父鉄道
5000系(元都営6000系)3連3本、6000系(元西武新101系)3連3本が置き換え候補
となっている秩父鉄道。1100番台も入れると本数的にはやや似ているものの、2本分の2両化と3連1本分の減車は避けられず「それなら1100番台の3連6本を貰っていたのでは…」との疑念も生まれます。残る1100番台で5000系を置き換える展開はあるかもしれません。

③ 三岐鉄道
3連5本・2連3本の元西武車が在籍
している三岐鉄道。最近では211系の元シスSS編成を3連5本譲受したようですが、2連の211系を貰うとなると少し機器が異なり厄介です。仮に2連を残すのであれば205系1000番台も選択肢には上がるものの、それなら211系の3連で統一を図った方が合理的でしょう。

④ 大井川鐵道
元南海の21000系が2連2本在籍しているものの、仮に置き換えるのであれば南海6000系の追加購入や静岡の211系で良いのでは…。

⑤ その他…かもしれません。
果たしてこの2本の運命は如何に…。

その他の参考資料
▫️Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%A9%E7%88%B6%E9%89%84%E9%81%93

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BA%95%E5%B7%9D%E9%90%B5%E9%81%93#%E7%8F%BE%E6%9C%89%E8%BB%8A%E4%B8%A1

▫️4号車の5号車寄り様
https://4gousya.net/jr/4129.php

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