E233系(余剰車)房総地区に転用か
報じられた「余剰車の活用法」
2024年11月20日。共同通信と各地方誌が会員記事で以下の内容を報じました。
JR東日本の首都圏各線は、コロナ禍による旅客減少の煽りを受け、2022年3月のダイヤ改正で本数の大幅な削減が実施されました。その影響で、首都圏各線の経年が比較的若い車両から大量の余剰車が発生し、その去就と活用法に注目が集まっていました。E233系の余剰車の転用先が記事ベースで明かされたのはこれが初です。
ここからは、E233系の各番台の状況と活躍路線の運用を基に、余剰車が出ている番台の数を勘定していきます。
E233系:各番台分析
0番台(中央快速線)
E233系0番台(中央快速線用)は10連43本・6+4連17本が在籍しています。
中央快速線は55運用・2予備で、3本程度が余剰となります。
トタH49編成は、他編成へのグリーン車対応改造の完遂に伴って余剰となり、9月8日のTASC導入(中野〜武蔵小金井)を前に、9月6日に中央快速線の運用を離脱、12日にはドアステッカーの撤去が確認されていました。その他、トタT71編成を含めた、グリーン車組み込み対象外の10連3本が余剰になるとみられ、転用の対象となりそうです。
また、トタH編成はグリーン車を幕張車両センターで組み込む傾向があり、幕張に居る残りのグリーン車とトタH編成の数が同じ本数分となっています。このまま進めば、トタH49編成を除く全てのH編成にグリーン車が組み込まれるため、3本目の余剰車がトタT編成になる可能性があります。
更に、トタT71編成が今年9月に土壇場でホームドアに対応した一方で、トタH49編成はホームドアに対応していないため、この2本の転用先は分かれる可能性があります。
0番台(青梅線・五日市線)
E233系0番台(青梅線・五日市線用)は6連10本・4連8本が在籍しています。
(※4連8本中4連5本は中編成ワンマン改造車のトタP編成)
青梅線・五日市線は6+4連3運用・6連6運用・4連4運用で各1予備です。
かつては柔軟に運用されていましたが、奥多摩線(青梅線の青梅〜奥多摩間)の中編成ワンマン運転の開始や青梅線内のグリーン車入線により、現在は6連を五日市線・4連を奥多摩線に振り分け、それ以外の6+4連は併結して青梅線の線内運用を担うという体制になっています。
しかし、6連や4連を捻出させたい場合は、青梅線用に10連固定編成を転入させ、6+4連を捻出させる可能性があります。
また、これらの編成は(準備工事はしているものの)ホームドアに対応しておらず、これらが今後の転用の動きと関連するか注目されます。
1000番台(京浜東北・根岸線)
E233系1000番台は10連82本が在籍しています。
京浜東北・根岸線は75運用・3予備で、4本程度が余剰となっています。
今回余剰となるE233系の中で、貴重な10両固定編成の存在になりそうです。場合によっては、1000番台を経由したE233系同士の玉突き転用も行われるかもしれません。
ただ、1000番台は床下の機器配置が長編成仕様(機器類がモーター車に集約)となっています。編成短縮は行わず、分割編成を玉突きで転用させる可能性がありそうです。
また、近年は長編成ワンマン改造が進んでいますが、中期〜後期の編成に多く施工されていて、初期の編成にはまだ行われていません。ただ、中期〜後期の編成でも改造が見送られている編成もあり、転用改造もそれと同じ東京総合車両センターで行われれば、入場時にはワンマン改造か転用改造かの判別が付かない可能性があります。
2000番台(常磐緩行線)
E233系2000番台は10連19本が在籍しています。
常磐緩行線は16運用・1予備で、2本程度が余剰となっています。
マト2編成・マト11編成の10連2本に長編成ワンマン改造が行われていません。また、2023年10月の労組資料では「(ワンマン改造は)17本」と記述されています。
E233系の中で唯一のストレート車体かつ、他のE233系とは異なるドア位置となっており、他の番台と混在させるには、ホームドアの心配がないか、混在させてもドア位置に支障のない大開口式のホームドアの設置が保障されている線区に限定されます。そのため、他の番台とは異なる転用先となることが見込まれそうです。
5000番台(京葉線)
E233系5000番台は10連20本・6+4連4本が在籍しています。
京葉線は20運用・2予備で、3本程度が余剰となっています。
20運用のうち2運用は6+4連の分割編成の運用です。しかし、コロナ減便で1運用が減らされ、唯一分割機能を活かす「なるかつ(成東・勝浦行)」が、2024年3月のダイヤ改正で「なるかず(成東・上総一ノ宮行)」に区間短縮されるなど、年々活躍の機会を減らしています。
現在、京葉線の分割編成を必要としている運用は「なるかず」の東金線への直通列車・東金線の間合い運用のみとなっており、東金線直通を廃止すれば10連固定編成で置き換えることが可能となります。6連・4連を捻出するには、京葉線↔︎東金線直通の廃止・京葉線への10連固定編成の転入と分割編成の転出が必要になりそうです。
また、余剰車が3本と極めて多く(分割運用を廃止すれば)1本の固定編成の転入で4本全ての分割編成の転出が可能になるほか、固定編成の転入が増えれば、既存の5000番台の固定編成・209系500番台のケヨ34編成の置き換えも視野に入ります。
8500番台(南武線)
E233系8000番台は6連35本・E233系8500番台は6連1本が在籍しています。
南武線は33運用・2予備で、1本が余剰となっています。
8500番台は青梅線・五日市線用だった元0番台で、2018年3月に209系2200番台のお残し(ナハ53編成)を置き換えるべく転入してきました。転入時にはLCDが、転入後には座席モケットが交換され、8000番台と仕様の共通化が行われてきましたが…
南武線では2025年3月から長編成ワンマン運転が開始されますが、8500番台は唯一長編成ワンマン改造が行われていません。8000番台の改造が終了して2ヶ月が経過してもなお行われないことや、減便で1本分が余剰となっていることから、8500番台(ナハN36編成)がE233系で初の「二度目の転用車」となることは確定的でしょう。
209系2100番台:置き換え対象は?
209系2100番台は6連14本・4連48本が在籍しています。
房総地区は6連13運用・4+4連18運用・4連11運用で、各予備1本です。
下記の理由から、E233系の余剰車の転入で置き換えられるのは6連14本と予想します。
また、2022年11月付の労組資料で「房総地区の各線で、短編成・中編成ワンマン(6連以下)を行う検討・準備を進める」と記載があったため、将来的には4+4連の運用(&4連単独運用?)も6連へ整理して置き換えを進めていくのかもしれません。
E233系 房総転用予想
PHASE ①:10連固定編成の転用
まず、京葉線の分割運用を廃止した上で、京浜東北・根岸線の1000番台の10連4本を京葉線へ転用、5000番台の6+4連4本・10連2本を転出させます。
同時に、中央快速線で余剰となった10連(トタT編成)2本・常磐緩行線で余剰となった10連1本を併せて10連3本を青梅線へ転用、6連3本・4連3本を転出させます。
PHASE ②:5000番台の組み替え
次に、5000番台の10連2本・6+4連4本を次のように組み替え、6連9本+バラ6両に組み替えます。
PHASE ③:房総へ転用
最後に、0番台の6連4本・8500番台の6連1本を合流させれば、6連14本の布陣をほぼ同じ編成構成のE233系で作ることができます。
この転用パターンが、比較的編成を崩さずにバラも出さず、廃車のリスクを極限まで抑えられるものですが、実際にこの転用パターンが行われるとは限りませんのでご注意ください。
0番台4連4本・2000番台10連1本は?
0番台の4連4本は、中央本線(立川〜高尾〜大月)に転用し(延命工事が見送られている)211系の6連14本の一部を置き換えると予想します。ただ、仮にE233系が転入しても、この線区の211系の全ての運用を補い切れない可能性がありそうです。
中央本線では、先週からE131系0番台によるワンマン関連の確認試運転が行われており、長野まで足を運んでいることから、長野地区の211系の置き換えはE131系によって行われるとの考察が多数を占めています。E233系・E131系の共存が中央本線で見られるのか、はたまた4連を6連に組み替えてまでもE233系を房総のみに集約するのかは気になるところです。
また、2000番台の残る10連1本は、南砂町駅改良工事・飯田橋〜九段下間折り返し設備増強工事後の将来的な増便を視野に、東西線直通系統に転用すると予想します。詳細はこちらの記事をご覧ください。
209系2100番台:伊豆急へ追加譲渡
E233系に置き換えられた209系2100番台の一部は、伊豆急へ3000系の増備車として譲渡され、8000系(3連14本)を置き換える見込みです。なお、譲渡数についての言及はなく、伊豆急へ譲渡される以外の車両は原則廃車となるとのことで、E233系の房総転用も含め、詳細は公式発表を待つことになりそうです。