【チエルアルコは流星の】君の青色は何色?【ネタバレ感想】
※ネタバレ感想文。
アイドルマスターシャイニーカラーズの八宮めぐるpSR「チエルアルコは流星の」がよかった話をしたい。
このコミュを語る上で、めぐるという人間がどういったものなのか、そういったところから掘り下げていく必要はあるかもしれないし、このコミュの意図するところを考察しなければならないのかもしれない。
でもそういうのはきっとなくていい。他の人がたくさんこのコミュについて語っているのを知っているし、私が語るまでもない。
だけれど、このコミュが「綺麗だ」と感じたこと、涙がこぼれたことだけは書き記しておきたいと思った。
このコミュは、めぐるが演じるある映画の役が脚本の都合上消滅した話から始まる。
その役柄は、「大正時代の日本にやってきた青い目の女の子」「大人しくて、喋るのが苦手」なめぐるとは異なるタイプだ。脚本の都合上なくなる人物といったらそこまで大きい役柄ではないのだろう。
しかし、彼女は真摯にその役に寄り添っている。台本を読み込み、その役に感情移入し、大切にしている。
仮想の存在にさえ、「なにか声をかけたくなる」その優しさに胸を打たれた。
私は彼女が明るい人間だと思っている。しかしその明るさは彼女の努力によってなされているものだとも思う。
もちろん天然の明るい気質はあるだろうが、金髪で青い目のハーフの彼女がこの現代日本で、何の偏見なく、不自由なく過ごしてきたとは考えにくい。小学生や中学生の頃は特に周囲の同世代の子に何か言われることもあっただろう。時には見た目が派手なだけで、淘汰されるこの世の中なのだから。
彼女は友達が多くても、きっとどこかで浮遊していた。自分が周囲と「違う」ことを理解していた。
だからこそ、彼女は優しくなれる。
誰しも「違う」人間で、生物であることを理解しているから、彼女は明るく、誰にでも優しい。
コミュの中で出てくる「色が違う」魚のことを彼女は「わからない」と言う。「この魚の気持ちは、この魚にしかわからない」と彼女は言う。
彼女は自分には自分が理解できない世界や知らない思想があることも知っている。
だからこそ彼女はこう言うのだ。
「色んな魚と泳がせてあげたいなっ」
「この水槽以外の水槽もあるんだよって教えてあげたいよ……!」
自分を知るために、自分が知らないことを知るために、世界を広げることを彼女は選んだ。
簡単に言うと、私ははみ出し者だ。
「普通」の人生のレールを明確に外れ、同世代とは全く違う生き方をしてきた人間だ。その生き方を自主的に選んだわけではない。選ばざるを得なかった人間だった。そんな自分の人生に私は劣等感を覚えている。「普通」ではない自分に、嫌気を感じていた。
私の見ている世界の色は、間違っているのかもしれない。
私の感じていることは、間違っているのかもしれない。
そんな思考に苛まれる毎日だ。
私は水槽の中の「色が違う」ひとりぼっちの魚だった。
だから、彼女の言葉が沁みた。
他と違ったっていいよ。世界を広げて見てみて。
そんな風に私に向かって言ってくれているような、気がした。
「大丈夫」と安心させるような彼女の言葉に泣きだしてしまった。
Trueで、彼女は以下のように言う。
実際私もそう思う。
一言「青」と言っても、人によって想像する色は正確には違うものだ。
群青、淡青、空色、紫がかった青、灰色──それは人によっても、あるいは日によっても、気分によっても違うものなのかもしれない。
自分が正確に色が見えているか、見えていないかなんて私にもわからない。
でも、それでいいんだろう。
自分の見ている色は、綺麗だって信じられたら、それでいいんだろう。
このコミュを見て綺麗だって思えたことが、何よりも嬉しかった。
そんな深夜の散文でした。
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