スイス旅行
一昨日東京に戻って来た。ハイデルベルクの語学学校のレジデンスを先週末に出てからはチューリヒに滞在してスイスを観光していた。その間や帰りの機内ではずっとある1日のかなり詳細な日記を書いていたのだが、5,000字を超え他人に読ませるには不適切な長さになった。いつもnoteにアップしているのは400字から800字ほどである。だから改めてスイスで見たものを書こうと考えた。
ドイツとスイスの間の移動には余裕をもたせ行き帰りにそれぞれ1日かけた。荷物をまとめたり退寮手続きをしたり両替したり帰りのフライトに間に合ったりしなくてはならないし、移動には重いスーツケースを伴うからだ。スイス観光のための時間は実質3日だった。1日目は宿泊していたチューリヒ、2日目は首都ベルン、3日目はリヒテンシュタインのファドゥーツを見てまわった。スイスといえばアルプスであるような気もするが宿からの距離を考えてやめることにした。宿を1か所に固定したのですべて日帰り旅行にしなければならなかった。
1日目 チューリヒ
中央駅のすぐ近くの国立博物館を見てチューリヒ湖の舟に乗った。国立博物館の展示は一番始めにある電子絵本がおもしろかった。スイスの自然、政治、金融、言語、音楽、軍事などが紹介されていた。州にもよるらしいがスイスで女性に参政権が与えられたのは1971年とドイツなどよりも遅いのが意外だった。主な展示の説明はどれも4か国語併記されていた。夕方にからはチューリヒ湖で舟に乗った。中央駅から市電で乗り場に行き、航行中にビールを飲んだ。チューリヒ湖は青く水がきれいだった。ときどき湖畔で寝そべったり泳いだりとビーチであるかのように過ごす人を見かけた。
2日目 ベルン
ベルンという街の名前は熊(ドイツ語でBär)にあやかっているという伝説があって、クマ公園では本物の熊が飼われていた。街が中世の姿をよくとどめているのはスイスが長く中立を保ち建物が戦火を免れたかららしい。街の中心には時計塔がある。これは800年も動き続けているそうだ。私は何かでこの時計塔の写真を見てスイスに関心をもったのだった。そして大学で履修する第二外国語をドイツ語にしたのだった。全然熱心にドイツ語を勉強していたわけでもなく、時計塔にこだわっていたつもりもなかった。しかしそれでもスイス来る大きなきっかけのひとつには間違いなかったし、ひとりで来るために私にとってはそれなりに思い切りやドイツ語を勉強することで自信をつけることが必要だった。だから厚かましいとはわかっていても、やっと見られたぞとか本当にあったんだとか、感慨深くならずにはいられなかった。その後はアインシュタインの家を見て、チューリヒに戻りスーパーで小さなビンのワインと直径4センチくらいの小さなチーズを買った。どちらもスイス産にした。
3日目 ファドゥーツ
泊まった宿はチューリヒ中央駅から離れていたため、毎日まずは電車で中央駅に向かっていた。券売機では小銭かカードしか使えないことがあるので注意が必要だ。その日はきっぷを買い中央駅行きを待っていると英語で声をかけられた。ひとこと目こそExcuse me? だったが私がそちらを向くと彼女はドイツ語で話し始めた。詳細は聞き取れなかったが切符が買えないようだったので、お札は使えないけどカードは使えるよとなんとかドイツ語で返してみた。お札だめなの? ドイツから来たからスイスで使えるカード持ってないの、ありがとうと言っていた。結局同じ電車で中央駅まで行けた。彼女は電車から降りるとき目を合わせてくれた。スイスではほとんど英語で通していたので数少ないドイツ語の会話として印象に残っている。ファドゥーツまではサルガンスという駅でバスに乗り換えて行った。バスの車窓からはずっと山が見えっぱなしだったし、牛や馬が草を食んでいる様子も見えた。国立博物館を見て記念にパスポートにスタンプを押してもらった。切手博物館は残念ながら工事中だった。街のすぐそばの丘の上にあるファドゥーツ城まで上ると、山に囲まれた小さな街全体を見渡すことができた。