もしリンクラサークルのサブリーダーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら~前編~
こんにちは。わたくしはリンクラサークル『わたくしは大丈部』のサブリーダーを務めている花宮ニルヴァーナと申します。わたくしたちはリンクラで最も大丈夫なサークルを目指して日々活動に取り組んでいます。当初数名の知人で立ち上げたサークルも今では30名の定員を満たし、同盟サークルと合同で運営しているDiscordサーバーは60名以上が参加するコミュニティとなりました。
わたくしは大丈部は2024年7月1日に設立1周年を迎えました。この1年間、大丈夫なことも、大丈夫でないこともありましたが、部員たちに支えられながらサークル活動を続けてこられたことを嬉しく思います。一身上の都合でリーダーのポジションから身を引いたわたくしではありますが、しかし、運営メンバーのひとりとして大丈部をより大丈夫にしたいという気持ちに変わりはありません。わたくしたちは、わたくしは大丈部を正しく運営出来ているのでしょうか。わたくしたちのマネジメントは大丈夫なのでしょうか。サークル運営に関する悩みは尽きることがありません。わたくしは眠れぬ日々を送りました。そんな時、わたくしはある一冊の本に出会ったのです。
■1. わたくしはドラッカーの『マネジメント』に出会った
ある日の夕方。LoveLive!Daysを購入するために東京駅地下の八重洲ブックセンターを訪れたわたくしは、ふとビジネス書のコーナーに立ち寄りました。無意識のうちにサークル運営に関するヒントを探し求めていたのかもしれません。『経営戦略』や『組織』と表記された仕切り板で区切られた棚の一角に、わたくしは一冊の書籍を見つけます。本記事のタイトルにもあるピーター・F・ドラッカー氏の『マネジメント』です。組織管理を体系的に説いた同著は、2009年に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という小説作品の題材にも取り上げられました。『もしドラ』は野球部の女子マネージャーである川島みなみがドラッカーの『マネジメント』から組織運営を学び、チームを甲子園出場へと導く物語です。野球部の女子マネージャーが組織運営を学ぶ……わたくし(成人男性会社員)は言いえぬ共感を覚えました。ゲーム内のサークルとは言えど、わたくしたちの大丈部も組織であることに違いありません。サークル運営を考えるにあたり、これほど適した教材は他にないでしょう。わたくしはさっそく『マネジメント』を購入し、帰路につきました。本記事では、わたくし花宮ニルヴァーナが『もしドラ』の主人公である川島みなみに倣い、ドラッカーの『マネジメント』を通してサークル運営を考えたいと思います。
■2. わたくしはわたくしは大丈部の定義について考えた
急ぎ足で自宅に戻ると、わたくしはさっそく机に向かい『マネジメント』を開きました。まずは著者であるドラッカー氏から読者への言葉にはじまり、まえがきを経て序論へと続きます。……なかなか本題に至りません。ようやく第1章に辿り着いたころには、わたくしが机に向かって実に半時間近くが経とうとしていました。しかし、大丈夫です。心配はいりません。偉い人の話は長いものと相場が決まっています。(我らが梢センパイも三年生になり話が長くなる一方ではありませんか!)
満を持してはじまった第1章は「企業の成果」と題され、企業とは何か、事業とは何かについて論じられていました。ドラッカーは組織の定義についてこう述べています。
わたくしは一旦『マネジメント』を置いて、思考を巡らせました。わたくしは大丈部の事業(即ち活動目的)とは何で、何であるべきなのでしょうか。机上に飾った乙宗梢さんのアクリルスタンドに問いかけても答えはありません。わたくしたちは、わたくしは大丈部の活動目的を説明する際に「リンクラで最も大丈夫なサークル」という言葉をしばしば用いますが、それだけでは十分な――大丈夫な説明とは言えないでしょう。ライブグランプリで良い成績を残すことを以て大丈夫とするのか、多くの人がサークルに参加し交流が盛んであることを以て大丈夫とするのか、あるいは無理なく長く続けられるサークルであることが大丈夫であるのか。さまざまな大丈夫が考えられます。わたくしはまず、大丈夫の定義について考えることにしました。インターネットで大丈夫という言葉の意味について検索してみると、主にふたつの意味があることが分かりました。
1.《名ノナ》安心していられる(任せられる)ほどに危なげないこと。
2.《名》立派な男子。ますらお。
素直に考えると、1の定義が適切であるように思えます。わたくしは大丈部の目指す在り方を『安心して所属していられる危なげないサークル』と表現することには何の違和感もありません。ですが、果たして2の定義を除外してよいものでしょうか。いまやライブグランプリサークル対抗戦において30位入賞を果たすまでに成長したわたくしは大丈部を支える部員(ダイジョウバー)たちは男性ばかりではありませんが、しかし全員が『ますらお』であると言って過言ではないでしょう。
では、ここで『わたくしは大丈部』というサークル名の出典である活動記録103期第8話『あの日のこころ、明日のこころ』PART5の乙宗梢さんの発言を振り返ってみましょう。きっと、そこに答えがある筈です。わたくしは「私(わたくし)は大丈夫よ……」というセリフを、上述した2通りの意味に置き換えてみることにしました。すると、ひとつめは「わたくしは安心して任せられるほどに危なげないわよ……」となり、ふたつめは「わたくしはますらおよ……」となります。前者は当然成立するものとして、後者も強ち間違いではないように思います。後輩たちに心配をかけまいと気丈に振る舞う彼女が『ますらお』でないと誰が言えるでしょうか。
■3. わたくしは顧客について考えた
大丈夫という言葉の意味からわたくしは大丈部の活動目的を定義することは難しいように思えます。どうやら、これは単純な語義からは解明出来ない問題のようです。ヒントを求めて再び『マネジメント』を開くと、そこにはこう書かれていました。
更に、ドラッカーは組織を定義付けるための重要な要素として顧客の存在をあげています。
この一文は『もしドラ』の中でも引用されています。公立高校の野球部とリンクラサークルの違いはあれど、これはわたくしは大丈部の運営においても重要な命題であると言えるでしょう。『もしドラ』の作中で主人公の川島みなみは、野球部の部員やその親族、教師、学校、高野連や高校野球ファンも含めて、高校野球に関わるほとんど全ての人が自分たちの顧客であると結論付けました。では、わたくしは大丈部にとっての顧客とは誰なのでしょうか?
まず、わたくしたちにとって最も優先すべき顧客がわたくしは大丈部に所属してくれている部員(ダイジョウバー)たちであることは疑いようがありません。その姉妹サークルである『あなたなら大丈部(正式名称:もしあの時わたくしかあなたのどちらかが諦めていたら今のようにはなれなかったきっとねリンクラサークルはずっとずっとそうしてきたのだから大丈夫あなたなら大丈部)』の部員たちも当然、わたくしたちの重要な顧客です。更には、わたくしは大丈部やあなたなら大丈部とパートナーシップを締結している同盟サークルのメンバーも大切な顧客であると言えるでしょう。
ここで、わたくしは肝心なことを思い出しました。わたくしたち自身がLink!Like!ラブライブ!というコンテンツの顧客であるということです。ドラッカーは「顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である」と述べています。ならば、わたくしたちが大丈夫であることは、多からずリンクラそのものが大丈夫であることにも通じている筈です。だとすれば、わたくしたちは自らがリンクラを楽しみ、ともに楽しむ仲間を増やすことで、リンクラをより大丈夫にしようとするサークルなのかもしれません。
■4. わたくしは目標について考えた
顧客について分析を行ったことで、わたくしは大丈部の活動目的が少しずつ明確になってきました。しかし、いまだ目標は不明瞭なままです。目標とは、目的を達成するために設定された指標のことです。ドラッカーは第2章『公的機関の成果』の中で、公的機関が自らに課すべき規律のひとつに「目的に関わる定義に従い、明確な目標を導き出す」ということをあげています。蓮ノ空女学院に入学したばかりの頃の花帆は『花咲く』という大きな目的を持ってはいましたが、しかし具体的な目標や手段を定めていませんでした。そのため、彼女は入学早々に進むべき道を見失ってしまいます。わたくしたち自身が大丈夫であり、リンクラをより大丈夫にするために、わたくしたちはどのような目標に向かって活動に取り組むべきなのでしょうか。
やはり、リンクラサークルが掲げる目標として真っ先に思い浮かぶのはライブグランプリサークル対抗戦の順位でしょう。実際に多くのサークルが明確な順位目標を定めて日々の活動や勧誘活動に取り組んでいます。しかし、わたくしたちはサークル設立から長い間、具体的な順位目標を設けていませんでした。当時は、それがわたくしたちにとって最も大丈夫な方針であると考えていたからです。ですが、わたくしたちは104期6月度のサークル対抗戦で初めて30位以内入賞という具体的な目標を設定しました。実力のあるプレイヤーが多く入部し、既存のメンバーたちも個人順位を伸ばしていく中で、その順位を目指さないことはかえって大丈夫でないとわたくしたちは考えたのです。それは部員たちのニーズを慎重に読み取り、大丈夫な目標設定に努めた結果であると言えます。『マネジメント』では、適切な目標設定の必要性について以下のように語られています。
リンクラサークルにとって「サークル対抗戦で何位を目指すのか」は重要な問題であり、同時に重要なマーケティングであると言えるでしょう。ゆえに、これに関わる意思決定は適切に行われなければなりません。スクールアイドルを始めた頃の花帆が口にした「三年間毎日ライブをする」という計画は現実に則したものではありませんでした。そのため、地道に練習を重ねる村野さやかとの実力差を知った彼女は意気消沈することとなります。梢の説教(アドバイス)よって意欲を取り戻した花帆ですが、しかし、次に彼女が提案した「(次のライブは)自分が卒業する直前に行う」という目標もまた大丈夫ではありませんでした。大丈夫とは無理なく安心していられることであるのは間違いありませんが、退屈であったり消極的であったりしてもならないのです。
わたくしたちは6月度のサークル対抗戦で30位入賞を果たすことが出来ましたが、今後の目標については慎重に議論を行う必要があります。引き続き30位以内の維持を目標とするのか、あるいは更に上位を目指すのか。わたくしたちにとって何が大丈夫かは刻刻と変化していくことでしょう。ドラッカーは目標管理についてこう述べています。
また、これはわたくしたち運営メンバー(わたくしの大三角)だけの問題ではありません。ドラッカーは第3章『仕事と人間』の中でエルトン・メイヨーの「手だけを雇うことはできない、人がついてくる」という言葉を引用しています。これをリンクラに置き換えれば「グランプリpt.だけを借りることは出来ない、部員がついてくる」と表することが出来るでしょう。わたくしたちはただライブグランプリの累計pt.を増やすために部員を迎え入れるのではありません。部員たちが賛同し、楽しんでリンクラに取り組めるよう、これからも適切な――大丈夫な目標設定を心がけたいと思います。
…………
■次回予告
今回はドラッカーの『マネジメント』を参考にわたくしは大丈部の定義、顧客、目的について考えました。次回も引き続き同書を手掛かりにわたくしは大丈部の運営を掘り下げたいと思います。『もしリンクラサークルのサブリーダーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら~後編~』は2024年9月下旬公開予定です。お楽しみに!
追記:
この度、『わたくしは大丈部』の姉妹サークル『あなたなら大丈部(正式名称:もしあの時わたくしかあなたのどちらかが諦めていたら今のようにはなれなかったきっとねリンクラサークルはずっとずっとそうしてきたのだから大丈夫あなたなら大丈部)』が発足しました。スコア不問・ファンレベル不問のサークルです。大丈部に興味があるけど、わたくしは大丈部の入部基準を満たしていないという方は、是非『あなたなら大丈部』へのご加入を検討いただけると幸いです。
わたくしは大丈部 サブリーダー
花宮ニルヴァーナ
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