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「スーパーヒーロー戦記」映画史に残る“7分間の逆転劇”について
ライダー50周年と戦隊45作品の集大成、「スーパーヒーロー戦記」。
セイバー&ゼンカイジャー&スペシャルゲストが、世界の壁を越えて大活躍するお祭り映画です。
この作品の魅力は、なんといっても感動と興奮が両手で殴りかかってくるかのようなジェットコースターストーリー!
およそ80分、目を離すスキが全くありません。
・・そして、もうひとつの魅力。
「スーパーヒーロー戦記」では、ヒーローの歴史、いや映画史に刻まれるかもしれない”史上最高の逆転劇”が繰り広げられます。
それは映画の後半、およそ7分間にわたって展開される長回しのワンシーン。
私がこれを「史上最高」と呼ぶ3つの理由を、いまから説明します。
この記事を読んでからでも映画は楽しめると思いますが、少しだけネタバレをしていますのでご了承ください。
「あるある展開」から急転、衝撃のシーンへ
歴代ヒーローが大集合する「お祭り映画」には、ヒーローが消されるというお決まりのパターンがあります。
ライダー40周年の「レッツゴー仮面ライダー」も、戦隊とライダーが初めて本格コラボした「スーパーヒーロー大戦」も、何らかの事情でヒーローが消えました。
だいたいの場合、大量のヒーローが動き回って画面がごちゃごちゃするのを防ぐのと、終盤の大集合シーンを盛り上げるために取り入れられているシステムです。
今回の「スーパーヒーロー戦記」でも、やっぱりヒーローは消されました。
・・ただ、ここからが違うのです。
「残り少なくなったヒーローが敵に追い詰められた時、ヒーロー側の誰かがタネ明かしをして、全員復活する」
それが、今までの”消されるヒーロー話”のオチでした。もちろん、それはそれでとっても熱いシーン。
ところが「スーパーヒーロー戦記」は、その上を行きました。
主人公もろとも消されてしまうんです。まさかまさかの全滅です。
それも、今までとはまるで次元の違う、ぶっ飛ぶようなオキテ破りの方法でやられてしまいます。なんたって〇〇〇(ネタバレのため伏せ字)を巻き込んでしまうんですから。
例えるならば、マリオで遊んでいたら突然クッパが画面から出てきて、ファミコンのコードを抜いてしまうような感覚。意味が分からないかもしれませんが、本当にそんな感じです。
そして、この史上最大のピンチが、この後の逆転劇を彩ります。
戦いのない7分間
消されてしまった「仮面ライダーセイバー」の主人公、神山飛羽真(演・内藤秀一郎さん)は、自分がヒーローではない世界で目を覚まします。
そこから始まるのは、緊張感のある長回しワンカットで展開される、およそ7分間のやりとりです。
この映画が始まってから剣を振っていない時間の方が短いんじゃないかというくらい戦っていたのがウソのような、戦いのない対話の時間。
なにより、このシーンの中に「スーパーヒーロー戦記」という映画に込められたメッセージのすべてが詰まっています。
ヒーローとはなんなのか。
どうしてヒーローの物語が必要なのか。
物語の登場人物は、現実世界を見てなにを思うのか。
ずっとライダーや戦隊を追ってきたファンにとっても、この日初めてヒーローに触れた人にとっても、その答えには感じるものがあると思います。
・・また、そんなに深く考えなくても、「この状況からどうやって逆転するんだ!?」っていう気持ちで見ても楽しめる名シーンです。実際、私の近くの座席に座っていた子どもからも、固唾を飲むような音が聞こえてきたような気がします。なんとなく。
すべてが実を結ぶ、芸術的瞬間。
この長回しシーンの後、当然ヒーローたちは、復活して敵と戦うことになるわけですが・・・・
その際にとんでもない、とんでもない手土産を持ってくるんです。
詳しくは言えませんが・・・対話の中で打たれた布石から、この映画がつくられた現実世界の背景まで、ありとあらゆる要素が最強の敵の思想を打ち砕くカギとして、元の世界に戻ると同時に大炸裂します。
「スーパーヒーロー戦記」という映画の題名、「仮面ライダーセイバー」の物語、鈴木福さん(もう「福くん」とは呼べない)が演じている「あの人物」の正体、ライダーのコラボ映画ならではの演出、そして仮面ライダー50年、スーパー戦隊45作品の歴史そのもの・・・・など、全てがクライマックスを盛り上げてくれるのです。
とくに、敵がヒーローたちを「無意味」と断じたことに対して、ゼンカイザーこと五色田介人(演・駒木根葵汰さん)が放ったセリフに注目。
「意味が無かったら、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(ネタバレのため伏せ字)!」という、この映画でなければ言えないひとこと。
・・シビれました。だって、あんなこと言われて言い返せる人、この世にいないもん。
【まとめ】この逆転劇は、映画史に残る
「スーパーヒーロー戦記」が作り上げたのは、昭和から令和まで続くヒーローの歴史と技術が結集した奇跡のシーン。
他の映画は、どうあっても決してマネできません。これを歴史に刻まずして、何を刻めというんでしょう。
オールスター映画らしい最高潮の盛り上がりと、3世代にわたる積み重ねがもたらす力強いメッセージ。
混沌としたこの時代にヒーローがいてくれることのすばらしさを、ぜひ劇場で、すべての人に体感してほしいです。