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【文フリ閑話】部数の話

自分が初めて同人誌を出したとき、部数をどうするかすごく悩んだ。
先人たちはどうしてるだろうと調べたけれど、一次創作の同人誌で部数を出している人は見つけられなかった。
二次創作漫画界隈には知り合いの知り合いがいたので教えてもらったが、「イベントに向けて300部刷って完売前提、黒字すぎるので無配作ったりしてトントンに整える」という大手壁サーの方だったので正直参考にできることはなかった。

あの時の私みたいに、今も知りたい人がいるんじゃないかな。
趣味活動としての部数なので今まで言うほどのものでもないと書いてこなかったけれど、最近フォロワーさんがちらほら部数についてnoteやブログを書いてくださっていて参考になったので、自分も誰かの参考になりたい。


1冊目 『『アヤナ』』

結論から言うと、『『アヤナ』』は20部刷りました。
余部が2部ついて最終的に22部です。

1部 私がほしい
1部 サークル用見本誌

まずこの2部が決まっているところでした。
『『アヤナ』』はコロナ禍真っ最中の2020/11/22開催・第三十一回文学フリマ東京の新刊。
今では復活していますが、見本誌コーナーが閉鎖されていた時期です。
見本誌はサークルに置く用があれば十分でした。
また、2スペース申し込んでの友達4人での合同参加だったので机に並べられる量的にサークル用は1部だけで大丈夫でした。

この時点では10部でいいなと思ってました。
印刷所が10部から10の倍数部での取り扱いだったので、初参加だし一番少なくていいだろうと思ったのです。

しかし、ここで予期せぬことが起こりました。

取り置き分です。
話すと長くなるので割愛しますが、この『『アヤナ』』は初めての同人誌だった他にこれ以降に出す同人誌とは少し事情が異なる本だったので、友人等でほしいと言ってくれる人が多かったのです。

10部から自分用・見本誌・取り置き分を引くと、当日頒布できる部数はなくなってしまいました。
これはまずい。
でも、20部刷って、捌けるだろうか?

20部というと少なく感じるかもしれませんが、当初予定してた数の2倍の部数です。
倍も刷る。それにこれに余部がつくことを考えると、手元の部数は2倍以上になるはずです。

もともと10部刷って半分くらいは取り置きなりなんなりで確定で捌ける分、残りの半分である5冊くらいが当日会場頒布する分だと考えていました。
それが10部が確定で捌け、10部が当日頒布になるので、こちらも2倍です。

でも、友達との合同参加でサークルの机には他にも本が並ぶとは言え、私だけ当日頒布分がないってそれはなしでしょ……
BOOTHなど通販のやり方も調べ、覚悟を決めて20部入稿し、余部2部、『『アヤナ』』はぜんぶで22部届きました。

第三十一回文学フリマ東京で初頒布、その後BOOTH通販開始、2回目の頒布となる2021/11/23開催・第三十三回文学フリマ東京で『『アヤナ』』は完売いたしました。

2冊目 『どうしようもない君が好き』 初版

『どうしようもない君が好き』初版は20部刷りました。余部を足して22部です。

『どうしようもない君が好き』初版は2021/11/23開催・第三十三回文学フリマ東京の新刊です。
この時期は5月開催の文学フリマ東京にはサークル参加していなかったので、『『アヤナ』』を出した次の文学フリマにあたります。

特に解説するようなことはなく、純粋に『『アヤナ』』の捌け方が私の理想だったので「このまま20部でいいんじゃないかな?」と思い、20部発注を継続しました。

第三十三回文学フリマ東京で初頒布、その後開始したBOOTH通販で『どうしようもない君が好き』は完売いたしました。

3冊目 『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』

『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』は30部刷りました。余部を足して35部です。

お気付きの通り、部数が増えました。

『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』は2022/11/20開催・文学フリマ東京35の新刊です。
私はこの文学フリマから、個人サークル【郁郁青青】として参加を始めました
そう、友達とのサークルではないので、自分の本がないと何も本がない状態になったのです。

また、たまにはいつもと違う印刷所さんを使ってみたい! と思い、当時いつもの印刷所では取り扱っていなかった箔押しができる印刷所にお願いをすることにしていました。

  • 『どうしようもない君が好き』が早く売れすぎた(年内になくなった)

  • サークルに並べる本がないとヤバい

  • 他の印刷所にした+装丁を凝った結果、制作代がかなりの金額になってしまうことが判明した

以上の3点から、『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』は多めに刷ることに決めました。
ちなみに他の同人誌より余部が多めの5部なのは印刷所が違うからです。

部数を多くすることにそこまで抵抗はありませんでした。
この本はいわゆる「うちの子」小説がつまった本ですので、正直前に出した本よりお迎えしてもらえないかもしれない、とは思っていました。
それでも30部発注に抵抗がなかったのは、単純に「うちの子最高!」というパッションがあったのと、サークルに置く本は何種類かあったほうがいいと思ったからです。

言ってしまうと、この『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』は他の本よりお迎え頻度が低いです。やはり中身の性質上、手に取ってもらいにくいのだと思います。
あとはこの本はブロマンス要素があるのですが、私がBL島に出店したことがない(私の本の種類が幅広すぎるので特定の島に行くのが難しい)ので、主なお迎え層の視界に入りづらいのだと思います。
これに関しては売り方などのくくりになってくる話なので、ここではこれくらいにします。

今も在庫はありますが、たしか初頒布した文学フリマ東京35の時点で前年の新刊と同じだけお迎えしていただけました。
今もゆっくりではありますが、頒布するたびに数冊お迎えしたいただけている状態なので、部数増やしてよかったと思っています。

文学フリマ東京35で初頒布、その後BOOTH通販開始、次の2025/5/11開催・文学フリマ東京40でも頒布予定です。本もDL版もBOOTH通販しております。

4冊目 『ドリンクバーで永遠を』

『ドリンクバーで永遠を』は30部刷りました。
ごめんなさい、余部は正確に覚えてないです。いつもの印刷所だったので、2〜3部だったと思います。

『ドリンクバーで永遠を』は2023/11/11開催・文学フリマ東京37の新刊です。

こちらもおわかりの通り、引き続き30部発注しています。
ここらへんから変わったことは、見本誌コーナーが復活し、見本誌分が1冊増えたこと、5月の文学フリマ東京と文学フリマ大阪にも参加するようになったことです。

文学フリマ東京37で初頒布、その後BOOTH通販開始、3回目の頒布となる2024/9/8開催・文学フリマ大阪12で完売いたしました。DL版のみBOOTH通販しております。

5冊目 『エステ初心者、エステティシャンに介護されて鏡が見たくてしょうがない』

『エステ初心者、エステティシャンに介護されて鏡が見たくてしょうがない』は40部刷りました。
こちらも余部の記憶が曖昧です。5部くらいあったような気がします。

『エステ初心者、エステティシャンに介護されて鏡が見たくてしょうがない』は2023/11/11開催・文学フリマ東京37の新刊、つまり『ドリンクバーで永遠を』と同時に初配布した本です。

部数、おかしいと思いましたよね?

こちらは今までの同人誌とは異なる本で、小説ではなくエッセイ/レポ本です。
実際にお世話になったエステティシャンの方に許可を得て刷りました。
そして、この本の部数はほぼすべて取り置きのみの部数です。もともと取り置きのみでご案内しており、数部だけ通常通りの頒布を行いましたが、後の部数はすべて取り置きでお迎えされました。

上記の経緯がありますので、参考にするというと少し違う同人誌かもしれません……

文学フリマ東京37で初頒布、完売いたしました。DL版のみBOOTH通販しております。

6冊目 『どうしようもない君が好き』再版

『どうしようもない君が好き』再版は20部刷りました。余部をあわせて22部です。

『どうしようもない君が好き』再版は2023/11/11開催・文学フリマ東京37で頒布、つまり『ドリンクバーで永遠を』『エステ初心者、エステティシャンに介護されて鏡が見たくてしょうがない』と同時に配布した本です。

表紙を変えての再販です。再版時に誤字訂正を行っていますが、内容は初版と変わりません。
もともと初版で20部お迎えされているので、単純にすっかりスタンダードとなった30部刷るとあわせて50部。「50部捌ける?」と考えると、今の自分の活動ではちょっと難しいなと感じました。
20部刷ればあわせて40部。いつも刷ってる30部から少し冒険した部数と考えればそこまで高い壁ではないです。
上記を踏まえ、20部刷りました。

余談ですが再販した理由は初版が捌けるのが早すぎて幻になったからなのと、『ドリンクバーで永遠を』とあわせてクソデカ感情短編集として出したかったからです。色味や遊び紙の色を対照的に作っています。

文学フリマ東京37で初頒布、その後BOOTH通販開始、4回目の頒布となる2024/12/1開催・文学フリマ東京39で完売いたしました。初版のDL版のみBOOTH通販しております。

7冊目 『御呪』

『御呪』はアンソロジーです。
一緒に作った鹿野月彦先生の分もありますので、全部数は今回非公開とします。

私の分の部数は30部です。
いつも30部刷っているので、30部在庫としていただきました。

『御呪』は2024/12/1開催・文学フリマ東京39で初頒布した本です。

初めてのアンソロジーということで『『アヤナ』』ぶりに部数に悩みました。
私の本と鹿野月彦先生の本は若干お迎え層が異なっているので私も鹿野先生もお互い「いつもより捌けない……」なんてことにはならないだろうと思いましたので、最終的には「いつもと同じ部数として30部いただきたいです」と部数決めの際にお話しました。

捌け方としては予想通りほとんどいつもの本と変わりないくらいです。

文学フリマ東京39で初頒布、その後BOOTH通販開始、次の2025/5/11開催・文学フリマ東京40でも頒布予定です。

以上、部数事情でした。
なにかの参考になれれば幸いです。

おまけ宣伝

強欲なのでいくつか宣伝します。

2025/5/11開催・文学フリマ東京40、2025/9/14開催・文学フリマ大阪13に出店します。
文学フリマ東京40では『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』『御呪』を頒布予定です。できれば無配も用意したいと思っています。
文学フリマ大阪13の頒布物は未定です。新刊出せたらいいなと思っています。

BOOTH通販してます。

現物は『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』『御呪』、DL版は『どうしようもない君が好き』『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』『ドリンクバーで永遠を』『エステ初心者、エステティシャンに介護されて鏡が見たくてしょうがない』が販売中です。
よろしければぜひご覧ください。


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四ツ倉絢一
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