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総工費約4100億円!?新丸山ダムと最新技術
💡第10回目の投稿になります。
年内最後の投稿は、今も建設が進められている新丸山ダムについて取り上げます。
今までの土木建設とは遥かにスケールが違う、世界の最新を走る日本の新技術とその未来について見ていきましょう!!
2ndStarでは、土木インフラの魅力に迫る記事を取り上げてnoteにて配信しております。過去の記事について以下マガジンで読むことができますので、マガジンのフォローもよろしくお願いします。
新丸山ダムの概要
新丸山ダムについて概要を説明する前に、新があるということは旧も存在するということで、まずは現在の丸山ダムについてご紹介します。
丸山ダム(まるやまダム)は、岐阜県加茂郡八百津町と可児郡御嵩町にまたがる、一級河川・木曽川本流中流部に建設されたダムである。
国土交通省中部地方整備局が管理する国土交通省直轄ダムで、高さ98.2メートルの重力式コンクリートダム。木曽川の洪水調節と関西電力による水力発電を目的とした木曽川総合開発事業の中心事業として建設され、2021年(令和3年)からは特定多目的ダム法に基づく特定多目的ダムとなった。日本初の高さ100メートル級ダムであり、かつ日本最初の本格的な機械化工法で建設された、日本のダムの歴史に刻まれるダムである。1980年(昭和55年)より20.2メートルのかさ上げを行い機能を強化するダム再開発事業・新丸山ダムの建設が進められており、2029年(令和11年)の完成により水没する。ダムによって形成された人造湖は丸山蘇水湖と呼ばれ、ダムと共に飛騨木曽川国定公園に指定されている。
元々丸山ダムというのは木曽川の治水と利水の一つとして築かれたもので国交省管轄のダムになります。それが現在のダムの姿でして、これから作られていく新丸山ダムというのはその上に被せるようにして築かれる超巨大なダムになります。
木曽川水系については以下の記事を参照ください。
新丸山ダム構想
そもそも、新丸山ダムはなぜ造られることになったのでしょうか。元々あった丸山ダムに被せるように造られるこの新丸山ダムの目的について見ていきます。
目的①:洪水調節の強化
木曽川で戦後最大となる昭和58年9月洪水と同規模の洪水を安全に流下させます。新丸山ダムにより、昭和58年洪水で大きな被害のあった美濃加茂市・可児市付近の今渡地点で約2.7mの水位低下効果(新丸山ダム完成時の河道を想定)が見込まれ、河川氾濫による浸水被害をなくします。
一つ目の目的は、治水です。
1970年代から起きてきたいくつもの台風に対して、丸山ダムでは機能が不十分になってしまっていたわけです。洪水調節機能の強化をすることによって、河川氾濫による浸水被害をなくせるようにしたいということです。
目的②:流水の正常な機能の維持
河川の流量が少なくなると、川に生息する動植物の生息環境が減少したり、海水が河川を遡上し、水利用に影響を及ぼしたりします。
この他にも、河川の水質などへの影響も生じます。このため、渇水時には、上流の阿木川ダム、味噌川ダムに加え、新丸山ダムからの補給によって、河川環境の保全と既得取水の安定化に必要な河川流量の一部である40m3/s(木曽成戸地点(岐阜県海津市))を確保します。
2つ目の目的は利水と多様性です。
要するに水が減り過ぎず、生活、産業、動植物の生息環境に影響がないように適切な水位を保てるように流量調整をするということです。
目的③:発電量の増量
新丸山ダムの建設によりダム湖の水面が上昇することで、丸山ダム発電所及び新丸山発電所における最大出力を188,000kWから210,500kWに増量します。
そして3つ目の目的が、発電量の増加です。
建設当初から行われていた水力発電を強化することも今回の新丸山ダム建設の目的になります。
これらのアップグレードによって水のコントロールに挑むわけです。
新技術
しかし、水、主に河川と降水から発生する自然災害はその頻度と規模が年々増してきています。
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令和以降至る地域で水害が発生しており、このままでは日本全国同時多発水災害もあり得ない話ではありません。
私たちが今後も日本で住み続けられるように水を制御するインフラのアップデートが必要になるわけです。
では、このような暴走しつつある水たちをどのように制御するのでしょうか。そのヒントがこの新丸山ダムにはあります。
ざっと結論を言うと、貯められる水の量を増やしましょう、水の流す量を制御しましょうと言うことです。
ん?でもそれってどこが新技術なの?と思うかもしれませんが、今回の新丸山ダム最大のポイントはまさしくそこなのです。
冒頭で、このダムは「新」がついていると言うお話をしましたね?
ということは「旧」があると。
つまり、この新丸山ダムは元あるダムの機能を機能させ続けながら徐々にアップデートさせるという方法で、ガチガチのハードでできたインフラをソフトウェアみたいなアップデートの仕方で改修させいていくというとんでもないやり方をこの規模感で行うというわけです。
どうですか?興味湧いてきません?
というわけで、新丸山ダムの情報を以下のリンクで見れますので、もっと知りたい人はぜひご覧いただき、現場にも足を運んでみてください!
完成後の未来
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正直な話、このダムが完成したからといって日本全体で見れば木曽川の話というだけで世界的に見てもこのダム自体が何か世の中に大きなインパクトを残すかと言われればそういうわけではありません。
しかし、今回使われている技術というのは、うまくいけば今後のインフラ整備に大きく寄与することになります。今の土木のトレンドはほぼ維持管理で覆い尽くされるくらいにホットになってきています。
補修・補強はもちろんですが、そもそもの需要の部分が変わってきたり、自然環境も変化を見せてきて、当時の機能が要らなくなったり、逆に追加したり強化したりしなくてはならない状態にもなってきています。
より効率よく、要求性能を満たすような機能を持たせ供用できるように計画から工事を進めていくためにもこの新丸山ダムのようなアップデートの仕方は大きな遺産になることでしょう。
今回は新丸山ダムについて取り上げてみました。
こちら展望台からの見学等もできるのでぜひ足を運んでみてください。
特に土木学生さんは就活前に一度行ってみるといいかもですね!
さて、10月から始めたふらっとインフラもなんだかんだで10回目の投稿をさせていただくことになりまして、意外と続けられるものだな感じております。
今年の投稿は今回で最後になりますが、来年からも引き続き投稿始めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
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それではみなさん良いお年を!