アップデートでますます便利になったUtsbox MIDI Tool 2
以前にも記事を書かせて頂いたギターストローク生成MIDIエフェクト Utsbox MIDI Tool 2 にアップデートが来まして、より使い易くなって嬉しいという記事です。
何をする物かというと、いわゆるストラムモードが搭載されてないギター音源でもギターのストロークやアルペジオを簡単に打ち込みできるようにするVSTプラグインのツールです。
以前の記事を読んでいない方はそちらから読んで頂けるといいと思います。使い方の動画も載せてあります。
Utsbox MIDI Tool 2 の機能の概要のおさらい
おさらいになりますが、Utsbox MIDI Tool 2 の機能について
Utsbox MIDI Tool 2 ではC2からB3までのノートがキースイッチになっていてそれぞれのキースイッチに任意のコードフォームを割り当て、ストロークのキースイッチでアップストロークやダウンストローク等で演奏するといったMIDIイベントを音源に送るという形式になっています。
C2からB3までの24個のコードフォームを1ページ分として5ページ分、つまり120個のコードフォームを登録できて、プリセットとしても保存できます。
しかし、新しいプロジェクトを立ち上げる度に使いたいコードのフォームを調べて、UI上の指版をクリックして押さえる位置を選択して登録していくのは意外と骨が折れる作業になるのです。
便利なプリセットが配布されています
そこで、有志の方が作成してくれたプリセットを使う事で随分楽に運用する事が出来ました。
そちらのプリセットは沢山のコードを網羅的に登録してくれていて、しかも、解りやすいようにCのノートにはCがルート音のコードを登録してくれています。
さらに、そちらのプリセットにはいくつかのバリエーションがあるので使いたいコードフォームが入っているプリセットを選べばさほど困る事はありません。
120個ものフォームが登録されていて十分すぎるのですが、稀に使いたいフォームが1つのプリセット内に収まりきっていないケースもあります。
そういった場合には、読み込んだプリセットの一部を書き換えるか、あるいは、Utsbox MIDI Tool 2 を複数立ち上げて操作するといった方法がありました。
新しく搭載されたコード一覧機能
ギターコードと言うものは全く同じコードネームであっても押さえるポジションによっていくつかのパターンが存在します。
それらを含めると莫大な数のパターンが存在するので大変便利なプリセット集でもカバーしきれない部分もありました。
そこで、新たに搭載されたコード一覧機能はいわゆるバンク的なもので、沢山のパターンを収録しておいて、その中から選択してページに登録できる様にした物です。
そのバンクファイルもこれまた別の有志の方が作成してくれたポジションにも対応した物が同梱されていて、実にそのパターン数が1044パターンもあるのです。いや、もうほんとに凄い。
これで益々死角がなくなりました。
サクッと使ってみた様子がこちらです
プロジェクト内で使うコードだけを登録していくのでも良いし、自分用のプリセットを新たに作る場合でも大変便利に使えそうです。
さて、このバンクファイルですが、EXCEL等の表計算ソフトで扱う事の出来るCSV形式のファイルを読み込む形になっていますので、ユーザーが自作できるようになっています。
実は僕も自分用のバンクファイルを作っていたのですが、ソフトに同梱されていたものが上位互換だったので今ではそちらを使っています。
指定フォルダの中に格納すれば複数のバンクファイルから使いたいフォームを選択できるようになっています。
なので、既存のファイルの並び順を自分好みにカスタマイズする事もできますし、望まれるとすれば、カッティング用の省略コード系のフォームでしょうかね。
余談
先程自分用のバンクを作成していたと書きましたが、実はとあるフリー音源に収録されているコードを移植しようとスプレッドシートに手打ちで入力していたのですが、100パターンくらい打ち込んだ時点で
「これはきついなぁ、しかも誤入力が無いか確認するのも大変だぞこれ」
となってしまい、何かもっと効率的な方法は無いかとあれこれ考えて、趣味で少しだけ齧った事のある JavaScript でこんな事してました。
まぁ、プログラムやってる人が見たら鼻で笑われるようなソースかも知れないし、DTMからはかなり脱線しちゃってるしだけど、これはこれでやってて楽しかったのでヨシ。
まだまだ活躍中のプリセット
さて、コード一覧機能によって益々便利になったのですが、配布されているプリセットはまだまだ活躍中なのですよ。
以前の4ページ分のコードから5ページ分対応のプリセットやウクレレ用のプリセットも公開されています。
コード一覧機能によって登録の手間が大幅に短縮されたとはいえ、サクッとコードガイド的なトラックを作るにはやっぱりプリセットを読み込む方が圧倒的に早いですからね。
特に僕の場合は配布されているプリセットに対応したアーティキュレーションマップを組んでいるので手放せません。
自分でプリセット作ろうとした事もあるので分かるのですが、これだけの量をプリセット作るのは大変だったと思うし、便利に使えるようによく考え尽くされているんですよねぇ。
さいごに
さて、DTM微課金勢の僕にとってはフリー音源と言うものは本当にありがたく、よく利用しているのですが、フリーのアコギ音源といえば Ample Guitar M Lite II が未だに最強なんじゃないでしょうかね。
ですがこれ、フリー版は指弾きオンリーなんですよね。低音も割と出てるのでEQで調節しないと結構ボワつきます。
この音源に関してはジャカジャカ鳴らすストラミングよりはしっとりとアルペジオを弾くのに向いてる気がします。
前回の動画で使用した SINE Player のStrand や今回試した SampleTank CSに入ってるSteel String F なんかはピックでジャカジャカ鳴らしたような音がするので賑やかなバッキングにはこれらの音源とUtsbox MIDI Tool 2を組み合わせる事でかなり戦えるのでは?と思いました。
Utsbox MIDI Tool 2はMIDIイベントを送る方式なので、あらゆる音源に使用する事が出来て、MIDI録音すれば後から細かい調整をする事もできるので、メロディーとコードを絡めた奏法にしてみたり、音源側でニュアンス付けをしたりと自由度も高いです。
益々便利になった Utsbox MIDI Tool 2 でこれからも楽しくギターの打ち込みをしていきたいと思います。