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味覚が拡張し、腹もマインドがフルになるレストランの見つけ方 ["つながる”ためのアローングルメ#2]

つながりに辟易したはずのひとりの編集者が、アローンな食の旅に出たことで収穫したのは、実は(ひと・もの・こととの)つながりだった。「"つながる”ためのアローングルメ」は、ひとりで食べるという料理鑑賞を棚卸ししていく連載です。

自らすすんで選ぶ「おひとりさま」。

一人で食べることを肯定的に捉え直す活動。

その店で提供されている料理に全神経を注ぐ瞑想的な食体験。

「アローングルメ」で満たしに行くのは空腹だけではない。食欲の領域外も含めた知的好奇心を刺激し、その場にいく自分自身に対する肯定感の確認をしに行くことです。

先日公開した前編では「アローングルメ」という言葉を設定して、僕がひとりで外食をするときの考えや経緯について綴りました。

https://note.com/2kaiproductions/n/nc013ffcc3336

中編の今回は、アローングルメをどう始めていけばいいか。僕の日々の店舗選びについて書いていきます。前回よりはTIPS重視のバランスにしてみるので、ぜひ週末のレクリエーションに役立ててみてください。

アローングルメに出かける店の選び方

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まず前提として共有をしたいのは、「グルメ」というのはハイもローも網羅してこそ、ということです。

その店で提供されている料理に全神経を注ぐ瞑想的な食体験。

ここを尺度に選ぶとして、5万円のフルコースを出す店も、500円のハンバーガーを出す店も、「全神経を注ぐ瞑想的な食体験」ができる・したいと思えたら、その飲食店は対象となります。

たとえば僕は、極稀ですがひとりでお酒も合わせて5万円を超える飲食代を払うときもありますが、同時に築地場外市場にあるホルモン丼を立ち食いするときも、アローングルメで得られるインプットとその解像度に優劣はないのです。

なので、あなたがひとりでじっくり向き合ったことがないなと感じる店ならどこでもアローングルメの対象店になりますよ! 

一方で、

食欲の領域外も含めた知的好奇心を刺激し、その場にいく自分自身に対する肯定感の確認

をしたいというニーズが強い場合は、非日常感・贅沢・高級感に浸れるかどうかを尺度に店を選ぶのもいいかもしれません。特に知的好奇心の刺激がアローングルメの主目的である僕は、この分野の店選びの解像度が高まってきています。

僕が店をそもそも知るきっかけは、アプリが多いです。Tablecheck、一休の利用頻度が多くて、続いてOpentable。それ以外のサイトは、あまり見なません。レストラン自体のホームページやインスタグラムは必ず見ます。

ただ最近は、知人友人の紹介も非常に増えてきました。僕の好みを知っている仲間からの推薦は、解像度が高いし、彼・彼女たちを信頼しているので、必ず足を運ぶようにしています。直接の推薦はなくても、友人たちのインスタグラムを見て、「行きたい店リスト」に入れることはもちろんのことです。

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(1)おひとりさまでもコースを提供してくれる

意外とありそうでないんです。2名〜としている店が未だに多いことでしょう。ただインバウンド需要やコロナ禍によるピンチを経て、徐々に「おひとりさま」に対するコース提供をする店が増えてきました。

コース料理を、できれば自分の苦手も目をつぶって楽しむ。そこには想定外の味覚・視覚との出会いがあります。

(2)コースやアラカルトに自分の食べたいものが載っている

その日に仕入れた食材に応じて即興的にコースをつくる店も多いですが、毎月・隔月・毎季節ごとにコースやアラカルトメニューを刷新する店は、大まかな内容をウェブ上に公開しています。食べたい食材や料理の名前を目にした店を選ぶことですね。

(3)小学校高学年以下の子どもが入店不可な店

静かで落ち着いた洗練された空間で、無駄な気遣いをしないで食べられる場を選ぶというときには、子どもが入店不可の店を選ぶのがおすすめです。

子どもが入れない店に対する是非がインターネット上で激論化することがありますが、大衆向けのリーズナブルな店はとにかくとして、大人が社交に使うことを想定した高級飲食店で、子どもの泣く声や騒ぐ声がするのは、僕はあるべきでないという考え方です。

ウェブサイトを事前に見れば、子どもの来店可否やドレスコードなどの基本情報は記載されていて、それらを確認し、提示されたルールを守って店に足を運ぶのは、お客さんとしての僕らが飲食店に対してできる敬意の表明であり、かつマナーだと思います。

子育て中のママ・パパが、子どもを預けて、じっくり飲食を楽しむことにより癒やされるということもあるでしょう。

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(4)点数や星に惑わされずに、レビューに目を向ける

さまざまな飲食案内サイトがあり、僕や友人の中で「あのサイトの点数は参考になる・ならない」「あのレビュアーの意見は参考になる・ならない」という雑談をすることがありますが、ミシュランの星や「食べログ」の点数が高いという尺度だけで店選びをすると失敗しがちです。

人間の味覚・舌の感覚、店の雰囲気の好き嫌い、サービスやシェフの対応に対する感想は多種多様です。それを取っ払って、ただ星がついている、点数が高いだけで選ぶのは、実はかなりリスクがあります。

僕が過去に経験したいくつかの例を書き残しておきましょう。

「常連にはフランクだけど、一見さんには冷たい(=常連さんたちの高評価で点数が上がっているだけ)」

「星や点数を獲得したことによる高慢な対応を感じる(=自分たちは高評価されている店なのだから、良さがわからないのはあなたの問題)」

「先代のシェフが高評価だった一方で、新しいシェフを中心に厨房スタッフが変わったら美味しくない。(サービススタッフにも起こりがち)」

これらを防止するときに有効なのは、複数サイトのレビュー文章・写真を精査することです。

注意するべきは、そのレビューが書かれた年月日、複数回書いているのか一度限りなのか、そしてその店への苦言。レビュアーが有名人・インフルエンサーかどうかを気にすることは、僕は一切ありません。

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繰り返し行く店とするかしないかの判断は?

行ってみなければわからない。それが食べ歩きの醍醐味ですが、僕は幅広い店とめぐりあいたいと思う一方で、「定番」となっていき、何度も通う店もあります。

美味しいから何度も食べたい。それは当たり前です。美味しくないとか、対応が満足できない店には行かなくなって当然です。

アローングルメにおいて、繰り返し行くか・行かないかと判断するときにおすすめなのが「没入できたか・できなかったか」と振り返ることです。この「没入」の可否を分解してみました。

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[1] 料理をサーブするタイミング

コースの場合でもアラカルトでも、一品一品の間隔ですよね。あるとき1時間で9皿を食べ切らされたときには閉口しました(笑) 逆に、とあるフレンチで、アミューズのあとに冷菜が出るまでに40分待たされたことがあって、それはないなと。

僕は4時間ぐらい食べるときもザラなので、基本的に長いのは大歓迎ではありますが。でも、客の食べるペースと求めるリズムを察知する能力、つまりその阿吽の判断力ですね。

[2] サービススタッフがオーダーなど確認してくれるタイミング

この料理に合うワインが頼みたいのに、いつまでも人が来ない。デザートメニューをなかなか持ってこない。あるいは逆に頻繁に食べている様子を覗きに来る。やたらワインを勧められるだとか。

ちなみに。僕の祖母(※)は人を動かすのがすごく得意な人でしたが、飲食店に入ると、サービススタッフの動きをしばらくみて、事前にチップを渡すべきか、事後にわたすべきか、一切わたさないかをすぐに判断して行動に移すんです。日本でもチップの準備をしていました。(※ 例の奇人祖父の妻です。笑)

[3] サービススタッフやシェフとの雑談の満足度

無愛想なのも嫌だし、しつこいのも嫌ですよね。これは完全に好みです。

僕は人に出会いに行くこともアローングルメで目的としているので、よそよそしい接客よりも、フランクで話が楽しめる関係性が好きです。いっぱいワインや料理について学びたいし、教えてもらいたいから結構話すかもしれない。でも、それが苦手な人もいるでしょうね。

店によっては、シェフの挨拶は最も高価なコースのみの特典になっていて驚きました(笑) もちろん挨拶がすべてじゃないけれど、料理の意図とかは一言でも教えてほしいし、その学びが僕には大きいので・・・。

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[4] その店の空間の居心地

まあ、ここが料理以外だと最重要かもしれません。活気がある方が好きか。選定するBGMのセンスと音量。椅子の座り心地。テーブルやカウンターの広さ。荷物を置くスペースの準備。トイレが男女別か、そしてどれだけの数が準備されていてアメニティを気にするか。料理の匂いが漂っている方が好きかどうか。

僕は自宅で食事をするときもテレヴィや音楽を鳴らすのが好きではありません。(晩酌をする際のおつまみは、YouTubeや音楽を再生することはありますけれどね。)

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料理への没入しきれるかも、細分化すると際限ないかもしれませんね。ただ、特に大きく分けると上の4つかなと思いました。

後編となる最終回は月内には公開予定。実際にその日・その時間をどう楽しみ味わい、以降の暮らしやキャリアに役立てていくかについて書きます。


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スズキコウタ
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