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”最悪”なピッチで”最優秀賞”
苦しい二日間だった。
あらゆる「苦手」に直面し、自分の弱さが次々と顕在化する状況に追い込まれた。
私はじっくり考えてじっくり書いてアウトプットすることは得意だった。
でも、今回はそうはいかない。時間が限られている。その場で考えてその場で伝えなければならなかった。この表現、なんか違うと思いながらも伝えないといけなかった。
そして、私は一対一でお互いの気持ちを大切にしながらコミュニケーションをとることは得意だった。でも、今回のチームは8人。それぞれのことを考えていたら頭がパンクしそうになった。
事業の方向性を決める際、チーム内での意見の食い違いが大きな壁となり、アイデアを見直さなければならない場面が続いた。いやでも自分と向き合わなければならない時が何度もあった。
四泊五日の岡山旅の終盤、疲労と焦りがピークに達していた私は、視野が狭くなっていたことに気づいた。自分の想いをメンバーにうまく伝えることもできず、チームがバラバラになってしまっていた。時間が足りなくなり、ようやくまとまったときには、もう遅すぎた。
そして迎えたピッチ。原稿は本番の10分前にようやく完成し、その状態で最高の発表することなんかできるわけなかった。自分の思いは確かに伝えたが、それはただのスピーチであり、ピッチとしては最悪の結果となった。
でも、いい経験になった。頑張った。自分を責めないよう、俯瞰してみるよう努めた。いろんな学びの機会を与えてくださったことへの感謝で涙があふれた。悔しい気持ちも20パーセントくらいあったが。
なんの期待もない状態で表彰を見ていた。
そして、最優秀賞。
私たちの名前???
混乱した。
よくわからない感情があふれた。もちろんうれしかった。やっと認めてもらえた気がして。
でもうれしいだけじゃなかった。この賞をもらっちゃいけない気がした。もっとすごいチームはあったはずなのに。
審査基準は「本当の起業と同じことができたか。」そう考えたら、あまりにも不足しているものが多すぎる。余計悔しくなった。これを『想いが伝わったね』という美談で終わらせてはいけない。強く思った。
この二日間、私は自分の弱さを丸出しにした。しかし、唯一自分を誇れる点があるとすれば、それは「逃げなかった」こと。
私、言語化が苦手でごめんなさい。
素直に打ち明けた。
そしたら、
俺らがくみ取るから大丈夫。
そう言ってくれる仲間がいた。
どんなに辛くても、自分の弱さを認め、それをさらけ出すことができた自分を、少しだけ誇りに思う。