ボカコレルーキー反省会:再生数分布や属性別の最適な動き方など
まえがき
ボカコレ2022春に、ルーキー枠で初参加しました。
聞き手としても作り手としても当事者として参加でき、タイムラインに流れる""ひそかに焼け付くザワザワした感じ""含めてとても楽しめました。あらためて、ありがとうございました!
前回の『まかぎ祭』に関する記事同様、大きなイベントのあとはちょっと振り返りたくなるタイプなので、ボカコレ2022春ルーキーについての概観記事をしたためようと思います。
1. 再生数分布の話
先ずは、ルーキー曲全体の再生数分布についてです。
音楽発掘サービスK!!te内のK!!te Radarから算出した、ボカコレ終了後の4/27 15:00ごろの計測値でみて、以下の通り分布しています。
K!!te側のデータ取得仕様により前後する数値かと思いますが、ここで特筆すべきは、ボカコレ終了時点で再生回数500回の楽曲であっても、ルーキー枠全体でみたとき上位15%に食い込んでいるという点です。
「中学生ボカロP」や「17歳JKボカロP」などのbuzzwordに顕著なように、ボカロP界隈には学生の方が多いようなので、わかりやすいよう上位15%という数字を偏差値に例えると、ボカコレ終了時点で500再生を超えていれば、偏差値60に相当する計算になります。
また、平均値・中央値など正確に調べてはいないのですが、参加楽曲の大多数が200〜400再生のレンジにいたように見えているので、歯車の噛み合い方によっては誰でも500再生には乗れる(つまり、ちょっとしたGiant Killingは誰にでも起きうる)ようなダンゴ状態であったのかなとも感じます。
なので、トップ層との再生数の差分だけ見て「ヴヴッ……全然ダメだった……俺は底辺なんだ……」と喰らってしまっているヒトに対しては、分布でみるとそんなに悪くない結果ですし、思っているより差はないですよ、とお伝えしたいです。
実際に、ランキング51位〜100位帯は、全期間で見てもかなり変動が激しかったですし、特に初日は本当に全員掲載レベルで面子にバリエーションが見られました(わりと張り付いていた)。
ちなみに、ルーキー楽曲のシンガー分布については、初日の結果を集計されているヒトがいました。「その他」のシンガー分布まで網羅されており、とても興味深いです。個人的に、ナクモ・めろうのシェアが着実に拡がっている感覚があり、とてもうれしい!!
2. 再生に至るプロセスの話
続いては、ボカコレ期間内に「動画再生」に至るプロセスについてです。
このトピックは、例えばぼくのような、動画を上げてから24時間後の初動再生数が100回未満だとか、だいたいの楽曲が安定して3桁再生だとか、それくらいの規模感のヒトがターゲットです。
とくにどこかで有名だったわけではないstand aloneなヒトが、なんの後ろ盾もなくニコニコ動画にあげた音楽を再生してもらおうとした場合、基本的な手段は以下の2つです。
ですが、ボカコレ期間においては、その供給量の多さ(ルーキーだけで2800曲!)から、①②のどちらも一時的なtraffic jamに陥り、平常時との比較で動画投稿後の初速再生数が停滞しているように見えると思います。いわゆる「埋もれる」という状態ですね。
このあたりの内容について、少し記しておきます。
①twitter等の外部サービスで告知し、直接流入してもらう
①は、自身の告知投稿が他者のタイムラインに掲載されることによって成り立つのですが、ルーキー・TOP100含めて数千曲ぶんの告知が、通常投稿・RT・引用RT・いいねに基づいたオススメ等でタイムラインに押し寄せてくるボカコレ期間においては、当然ながら自分の告知がヒトの目に留まる機会はぐっと少なくなります。
タイムラインをぱっと遡れる量には限度がありますし、タイムラインでなくリストで見ているヒトに対しては、事前にそのリストに入っている必要がありますし…など、色々ありますが、まとめると「投稿がいつもよりヒトの目に留まらなくなる」傾向にあります。
②新曲チェッカー(≒全曲リスナー)の方に到達してもらう
②について話す前に、新曲チェッカー、もとい全曲リスナーって何?という所から触れていきます。
なんとなく、何らかの動画作品を投稿する人たちの間で「ニコニコ動画は新規投稿者に優しい」という通説がありますが、ボーカロイドの文脈においては、ニコニコ動画を拠点とするリスナー層のうち一部の方が、たとえばVOCALOIDタグに該当する新曲を、ランキングや再生数と関係なく上から網羅的に視聴しているため、事実ベースで、他サイトよりも再生数やリアクションが得やすくなっている傾向にあると言えます。
規模にもよりますが、タグのついた楽曲をすべて視聴している方は、名が体を表し全曲チェッカーと呼ばれるわけです。わかりやすいですね。
捨てる神あれば拾う神あり。ぼくたちは、ニコニコ動画自体の優しさにではなく、よりHeavyなリスナー層の存在に拾われているわけです。
そのような方々が、いざボカコレに投稿された楽曲を視聴しようとしたとき、4/22 00:00投稿分だけでも900曲ほど(1ページ約30件×29ページ分)のボリュームであるため、単純に物量が多く到達が遅れ、平常時との比較で動画投稿後の初速再生数が停滞しているように見え「埋もれた」ように感じるという次第です。
また、上記①②とは別に、ボカコレ期間特有のpathもあります。
これらについても明確に特性があるので、すこし纏めますね。
③特設サイトのランキング等から流入してもらう
ルーキーの場合はこちらですね。ランキングはサイト上で毎時更新されており、リアルタイム性の高さにワクワクしました。
③は、アルゴリズムに関する問題提起の話もあり少し扱いの難しいトピックではありますが、基本的には事前に①twitter等のSNSでどれだけ人気を得ているかが支配的なものだと考えています。個人的にね。
②の全曲リスナーが到達できる曲数に限度がある以上、初回の毎時ランキング更新では、投稿から1時間以内にその曲に直接流入したヒトの数がダイレクトに反映されます。
つまり、4/22 00:00〜01:00時点のボカコレは、単なるSNSパワー合戦なんですね。これは、それが良い/悪いという話ではなく、構造上そうならざるを得ない、という話です。
かつ、初回のランキング更新後は「全曲視聴はさすがにムズカシイが、タイムラインに流れた投稿と、ランキングをメインで軽く視聴する」という層も一定数存在し得る(というか自分がそうである)ため、いちどランキングに掲載されると、順位が高いほどその勢いを継続させやすい傾向にあると思います。「順位が高いほど」の基準としては、1曲3分として考えたとき、毎時ランキングを順番通りに聞けるのは最大で上から20曲までなので、だいたいTOP15〜20位までかなと思っています。そのあたりの順位帯まではサムネイルも大きいですし、上からスクロールしていって目につきやすいのも20位くらいまでかなと。
ちなみに「サビだけメドレー」であれば、サビが30秒として、ランキング更新10分後までに再生ボタンを押して、50分間ずっと曲を聞き続けていれば、そのとき毎時ランキングに掲載されていた楽曲に関しては全部聞ける計算です。良くできていますね!
また、あくまでSNSパワーが高い方がランキングに掲載されやすいというだけで、今年でいうと『▷コンティニュー feat. 可不 - キツネリ』(敬称略)の例もあり、一概には言えません。ただ、ランキングTOP20にいちどでも食い込めば、タイミング次第で誰でもより多くの人に音楽が届く可能性があるよね、とは感じます。
④#栗田よ見て タグで取り上げてもらう
④は、SNSパワーのない人への実質的な救済措置も兼ねており、基礎再生数を持たないヒトほど積極的に狙うべき大穴です。
#栗田よ見て タグの詳細については、以下投稿をご覧ください。
いわゆるEarly Bird Offerですね。
たとえtwitterフォロワーが0人であっても、#栗田よ見て タグでボカコレ期間内に楽曲が紹介されればJACKPOT確定です。ぜひ狙いましょう。
ただ、栗田さんの時間リソースは有限なので、ボカコレ期間内に楽曲が紹介されることはかなり稀です。
傾向として、栗田さんはtwitterタイムスタンプで見た先着投稿順に上から視聴されているようなので、紹介によるSNS pump upを狙う場合は、twitterになるべく早く告知を流すことが大事です。
とにかく、正しいURLを、twitterタイムスタンプで見てなるべく早い時間にタグ付きで投稿すれば、チャンスは大きくなります。
はからずも、00:00投稿、00:00告知がいちばん強い動きですね。どこからか「プレミアム会員ならそれができますよ」という囁きが聞こえます。
3. 次回のボカコレでどう動くべきか
というわけで、それぞれ適した行動パターンが見えてきましたね。
そもそも、早く投稿する
①②③④すべてに効く話ですが、投稿時刻はいわゆるゴールデンタイムではなく00:00の方が良いです。プレミアム会員なら予約投稿を、一般会員なら日付変更後すぐに投稿ができるとより多くのヒトに届きやすいです。
ゴールデンタイムの概念について、ぼくの場合は「より多くのヒトがtwitterを見ている時間帯」を指しています。くわしくは以下投稿を見てみてね。
SNSパワーの強いヒトの戦略
すでに多くのファンがついている強いヒトは、00:00近傍で投稿したうえで、SNSパワーをフル活用して初回の毎時ランキングに掲載され、それを維持し続ける①③の掛け算ムーヴが最善手であると言えます。告知同士がぶつかると、よりレピュテーションパワーの高いヒトの告知がタイムラインに多く長く残りますから、強い人ほど先行して勝ちに行くことに優位性があると思います。
SNSパワーの弱いヒトの戦略
上記のような横綱相撲ができない方が狙うべきは、②④の掛け算です。全曲リスナーの方が到達しやすく、かつ栗田タグがJACKPOTする可能性を残した「00:00投稿、00:00告知」がいちばん強い動きです。
もちろん強い人も付随的にそれができるのですが、これはあくまで「われわれの心の持ち方」の話です。現実的なところに希望を持つと、無駄な絶望感は発生しません。
また、『全曲リスナー』といっても、当然期間内にすべての楽曲をフルコーラスで耳にするには可処分時間が足りないわけで、ボカコレにおいては、たとえばワンコーラスだったり、イントロの段階で視聴継続の可否を判断するなど、現実的な楽しみ方を選択している方も多いと想定されます。
なので、SNSパワーの弱いヒトほどイントロにチカラを入れるべきです。強い人はファンがついていて、イントロの出来によらず音楽を聞いてくれるのでこれに該当しませんが、あくまでHeavyなリスナー層の存在に拾われているだけのワレワレは話が別です。ヒトの音楽の聞き方は自由なので、それを織り込んだうえで、マジで最高のイントロを作ろうな、ということですね。
おわりに
というエラソーな話をしておきながら、執筆者本人であるぼくは、仕事が長引いてtwitterへの告知が00:50になり、イントロも基本パターンをゆったり長くとっているという、全く最適解ではない動きでボカコレ春に参加していたのであった。
ここまで書いておいてアレですが、個人的には、じぶんが良いと思った作品を投稿して、他のヒトの曲も聞いて、なんだか楽しかったね!という楽しみ方が、実はいちばんの最適解なのかなと思っています。
また、TOP100掲載を目標に高い熱量で臨む方を否定するわけではないので、そういう方に対しては、この記事がなにかの参考となっていれば嬉しいです。
まとめると、この記事の内容は話半分で捉えてもらって、基本的にみんなそこまで差はないので、必要以上に気に病まないで、次回のボカコレでまたお会いしましょうという感じですね!
ここまで読んでくれた方、ほんとうにありがとうございました!