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世界電力の2024年 - 総括と、その反省と、ときどき重音テトについて

 今回の記事は、Sohbanaさんの記事に影響をうけてまとめています。

 記事の公開部分でまとめた内容をclipして、そのまま実績紹介資料として単体でも完結するようなツイートを行っているところが、端的かつ効率的で、スタンスとブランドイメージのようなものを感じてすごい。





年間カレンダー

 記事を書くにあたり、骨子として、先ずは今年携わった主なイベントをまとめました。

1月〜6月

01/17 「ボカコレ」アプリWebCM『歩行訓練』ver.が放映開始
01/19 イベント「ぼかれびゅ合戦」コメンテーター出演
01/21 ボーマス54sにて、コンピ「わたしのまちLP」がリリース
01/25 チャリティー企画「VOCA ACTION FOR SUPPORTに参加
02/03 テトテリトリーにて、コンピ「ウソのつきかた」がリリース
02/09 オンラインイベント「シャドミク vol.6」参加
02/18 アコースティックライブ「わたしのまち・鳥瞰(@市川市アイ・
     リンクタウン展望施設)出演
02/22 アンサーアントーカー』投稿(ボカコレ2024冬TOP100 20位)
03/09 楽曲提供:-Knight A- そうま『静寂の汀(作詞作曲編曲)
04/01 テレビ神奈川「関内デビル」出演
    『アンサーアントーカー』が、同番組4月度エンディングテーマに
04/23 水竜の唄』投稿(NEUTRINOナクモくん3周年)
04/27 超ボーマス55
    どうぶつ盤(EP)」「世界電力のバンドスコア(冊子)」をリリース
    コンピ「6th String’s Charm」がリリース
    コンピ「はじめての甲州弁講座 vol.1がリリース
    ブースイベント「ぼかれびゅ超会議」パネラー出演
05/04 Webラジオ「ボカリス!!!」出演(全3回)
05/13 テレビ神奈川「関内デビル」出演
05/15 上智大学VOCALOCONNECTさま公式noteにてインタビュー掲載
05/31 イベント「ライブおひとりさま#8(@大宮ヒソミネ)出演
06/04 「はろー!にゅーみゅーじっく」にて、おすすめ楽曲をレビュー
06/15 イベント「ぼかれびゅ課外活動(@nagomix渋谷)」出演

上半期は、コンピアルバムへの参加やメディア出演の機会を多くいただきました

7月〜12月

07/11 凪乃ヒマワリ公式デモ音源ver.『太陽の王国』が公開
08/11 ボカロ夏フェスRemixメドレー2024』投稿(ぼかえり2024夏)
08/24 超VOCASTARにて「namecard EP with bandscore(KR)」
    「animals EP plus(KR)」
をリリース
08/31 マジカルミライ2024・クリエイターズマーケットにて、
     コンピ「green color disc.」がリリース
09/08 イベント「ウソのつづきかた(@表参道WALL&WALL)」出演
09/12 共同制作:こめだわら『祝祭によせて - 桜乃そら』作詞を担当
09/21 食卓に傾ぐ花』投稿(イラスト統一祭〜まかぎ祭SUMMER〜)

※10月は、北陸→関東への引っ越し期間のため、おやすみでした

11/16 活動三周年
   どうぶつ盤(EP)」配信開始
11/23 ボーマス57にて、新曲・新録楽曲をQRコード形式で無料配布
    オンラインイベント「ボカノニマス vol.2」参加
12/02 FMラジオ「クリエイターズ・スタジオ with ボカコレ」にて、
    『警報のあった日』が放映
12/11 共同制作:死んだ眼球『暗黒青春映画』バンドサウンド部分を担当

下半期は、自分の関わった作品が、自分のチャンネル以外から多く公開されました

 大規模サイバー攻撃に伴うニコニコ動画の停止期間に加えて、個人としても北陸→関東への引越しを行った関係で、足掛け3ヶ月ほど活動を休んだ年でもあったのですが、ちゃんと追ってみると、コンスタントに活動をお見せすることができていたし、実績ベースでみて昨年よりも露出の多い年であったように感じます。

 数々の嬉しい引き合いは、基本的には過去のある地点における客観指標をもとに遅れてやってくるものなので、2024年が自分にとって良い感じだったのは、それ以前に世界電力の作品に触れてくださったひとりひとりの皆さまのおかげです。改めて、いつもありがとうございます。(この文章を見ているなら、絶対に対象者です)


総括と、その反省

 年の瀬なので、大真面目にちゃんと振り返ります。

1.産出量は増加した

 2023年のはじめに自身が定義した指標として、"楽曲制作における実力は「(1)プロダクションの質」×「(2)製作速度」によって計測する"というものがあります。

 今年度に公開された自身の関わる楽曲は、諸々含めて17曲あります。公開作品基準で2ヶ月あたり3曲という作業ペースは、(2)製作速度の観点では過去最速なので、この点はgoodでした。

(厳密には制作から公開まで時差があり、今年作業した制作物でまだ未公開のものもありますが、去年制作した作品を今年発表したケースもあるので、ちょうどよく相殺し、公開作品ベースで集計しています)


 今年公開された、世界電力の携わった作品は以下です。

世界電力オリジナル曲(8曲)

水竜の唄 - ナクモ&めろう
宇宙のみなしご - 重音テトUT
透き通るように - 重音テトSV&UT
アンサーアントーカー - ナクモ&めろう
鼬のまわる夜 - ナクモ&めろう
煙の湊 - ナクモ&めろう
食卓に傾ぐ花 - SeeU(MV) / 重音テト(CD)
the world is not mine - SeeU, UNI, ナクモ&めろう 

すべての作品において、制作時に質や速度の改善が見られた気がします

楽曲提供 / 共同制作楽曲(3曲)

静寂の汀  / - Knight A - そうまさん(作詞作曲)
祝祭によせて / こめだわらさん(作詞)
暗黒青春映画 / 死んだ眼球さん(編曲素材制作)

それぞれで未経験の分野に携わる機会があり、ありがたかったです

REMIX / Cover(6曲)

甲州弁講座〜上京パラベラムバレット編〜
ライアーダンサー (ROCK INN JAPAN REMIX)
惑星ループ (ROCK INN JAPAN REMIX)
マーシャル・マキシマイザー (indie rock edit.)
きゅうくらりん (ROCK INN JAPAN REMIX)
ビーチブレイバー (とりぷる留年Cover)

殆どすべての楽曲で、各楽器を新規にeditしてバンドアレンジ化を試みました


 (1)プロダクションの質についても、意識して新しいアプローチを採用したり、自身に足りないエッセンスを取り入れたりしました。以降の作品強度をより高めるアプローチをいくつか取得しており、良い感触です。

例:

『水竜の唄』
 終盤のエイトビートを引き立てるため、イントロやサビのドラムパターンは、複雑なスリップビートなのに自然に聞こえるようeditされています。ふしぎな波のあるディレイギターも、後掛けのエフェクトで生成できました。

『アンサーアントーカー』
 イントロでドカーン!とした凄みが出せるよう、音数的にも帯域的にもいろいろ詰め込んでいます。歌詞の方向性(書きぶりのニュアンスや出力の形)もすこし変え、別軸へのアプローチを意識しました。


2.実態ベースの成長は鈍化した

 先日、higmaさんがXにて、YouTubeの数字に関するいくつかの投稿をし、大きな(そして、とてもポジティブな)反響がありました。

 客観的にみて、立っている場所や見えているものは異なるかと思いますが、"大なり小なり"という枕詞でくくったうえで、世界電力というアーティストも同じ課題を感じています。
 (バズるような作風ではないので、地道に良い作品を発表していく……というスタンスも近いです)

 そのうえで、ポジティブな部分―――聴いてくれる人は確実に増えている、という観点もまた、同じです。新曲発表時のリーチに加えて、過去作品に新しく出会ってくれる人も、着実に増えています。


 ニコニコ動画のアナリティクスは仕様上6ヶ月前までしか遡れないためデータ化ができないのですが、YouTubeのアナリティクスは「全期間」に対応しているため、世界電力のYouTubeチャンネル登録者数とその増加数の推移をまとめてみました。

2021年       12人 (+12)
2022年 1560人 (+1548)
2023年 3235人 (+1675)
2024年 4967人 (+1732)

2-1. 年度ごとのYouTubeチャンネル登録者数とその増加数


 上記をみると、成長ペースは堅実にみえますが、実態はすこし異なります。年度ごとに、チャンネル登録者の増加に寄与した作品を併記すると、このようになります。

2021年       12人 (+12)  『ネバーエンドすべて』
2022年 1560人 (+1548) 『ポストずんだロックなのだ』『太陽の王国』
2023年 3235人 (+1675) 『警報のあった日』『歩行訓練』
2024年 4967人 (+1732) 『フランスパンのうた(Cover)』※2023年発表

2-2. 年度ごとのチャンネル登録者増加に寄与した作品

 と、このように、数字を主語にして考えたとき、2024年度の代表作品は数値上は存在せず、前年度に発表したカバー作品『フランスパンのうた(Cover)』が、カバーシンガーが重音テトであるために、アルゴリズム上レコメンドされやすくなり、数ヶ月にわたって波及したことが主要因であるとわかります。

『フランスパンのうた(Cover)』公開以降の累計再生数
『フランスパンのうた(Cover)』公開以降の日時再生数


 昨今、特にTiktokやYouTube Shorts以降の傾向として、アルゴリズムで優位となるキーワードやフォーマットを取り入れるというアプローチが正攻法になっているのはご存知の通りかと思います。

 ボカロシーンにおいて、2024年における"それ"は、間違いなく「重音テト」でした。時代の覇権を握り、ユーザーカルチャー内外を問わず、優れた手段のひとつとして強い存在感を放っていると感じますし、タイムラインでも度々、そうした傾向に対する言及を見かけます。


 SynthesizerV版の「可不(The Right Stuff ver.)」や、VOCALOID6版の「初音ミク V6 AI」が、相次いで発表延期となった関係で、レコメンドエンジンにおける重音テト1強の時代はしばらく続くと想定されますし、上記のシンガーが鳴り物入りで登場したとしても、向こう2〜3年はこの構造は変わらないのではないか……と考えています。

 ワールドコンテンツである初音ミクという巨大なIPは揺るがないでしょうが、ユーザーのファーストチョイスは重音テトになっている、という傾向も(データこそありませんが、定性的に)感じられていて、興味深いです。シンデレラストーリーはどこまで続くのか、とても気になりますし、そういった大きな流れのようなものを、プレイヤーとして、ボカロシーンの渦中で体験したいと思っています。


 ―――と、すこし話が逸れてしまいましたが、話を戻すと、「重音テト人気にあやかって過去のカバー作品がクローズアップされただけで、実態ベースの成長率は鈍化していた」のが2024年だったと思います。

 2025年は、そこを乗り越えていく必要があると感じます。



3.あらためて、戦略を立てる

 2023年度に自身のロールモデルとしていた方のひとりに、YouTuberのかっつーさんがいます。ブルーオーシャンを狙ったポジショニング戦略と、その戦略を開示しつつストーリーを背負うマーケティングで、登録者20万人→100万人を達成した方です。(と、自分は解釈しています)


 自分もそれに倣って、『ポストずんだロックなのだ』で露出が増えて以降は、「ルーキー期間の最後にあたる『ボカコレ2023夏』でルーキーランキングのTOP10に入る」という長期戦略を立てて活動していました。
(そして皆さんのおかげで、当初目標を大きく超える形での着地となったこと、本当にありがとうございます!)


 いっぽう2024年は、そういった目標や行動指針を立てなかった年でした。

 ルーキー期間を終えて、どこか憑き物が取れたような感覚があったことや、TOP100(というよりは、新人枠から外れたアーティスト)としての振る舞いを定義するほど情報を持っていなかったこと、活動の過程であまりに恵まれすぎていて、気持ち的にのんびりした状態が長く続いたことに加えて、自身の主戦場となるニコニコ動画のサービス停止が決定打となり、今年の7月くらいまで、なんというか、凪いでいました。

 ―――が、8月の超VOCASTAR参戦時や、9月の「ウソのつづきかた」出演の際に、普段交流のない方々とお話ができたことで、頭が急速に回り始め、いま足りないのは外的刺激とそれを得る機会で、そのためには都心部へのアクセス性を向上させる必要があると考え、亜音速で物件を手配し、10月に北陸→関東への引越しを済ませ、今日に至ります。

 ありがたいことに、関東引越し以降、面白いほど多くの機会をいただいています。吉田夜世さんのインタビューにあるような「出力が得られている状態」に近づいている感覚があり、良いコンディションです。


 創作自体に行き詰まっているわけではないため、皆さんにお見せしたい歌詞と、聴いてほしい楽曲のフレーズが、メモ帳やフォルダにいっぱい溜まっています。

 行き詰まっているのは伝え方で、「どれを形にし、どのように届けていくか」の方針を、年末年始で改めて考え、2025年は仮説ドリブンでいろいろ試していく年にしたいな……と考えています。(データ活用やアルゴリズムハックに楽しみを見出すタイプなので、何か掴んだら記事にするかもしれません)


2025年に目指すこと

 定量化できることも、できないこともありますが、いったん頭出ししておきます。こういったものを、来年の今頃に振り返りたい。

1.正しいグロース戦略、及びロールモデルの策定

 いちばん大事です。自分の持っている軸と、適正な成長の交点を捉えて、それを最大化できるような戦略を策定したいし、自分にフィットするロールモデルを見つけて、行動の精度を高め、どんどん学んでいきたい。
 年末年始を贅沢に使って、考えます。


2.2025年に発表した自分の作品で、自分のチャンネルを牽引する

 オリジナル作品の投稿を主とする活動形態なので、アルゴリズムがたまたま靡いた今年のような形ではなく、その年を彩る強度の高い新作を発表して、それによって伸びていきたいですね。

 KPIとしては、

①YouTube登録者数 5000→10000人
 ボカロシーンにおいて、今やYouTube登録者数10000人ってぜんぜん珍しくないのに、自分は活動4年目にして未だ届いていません。さすがに向き合っていなさすぎるので、来年はここにコミットします。

②もっと、印象に残る。心を動かす
 定量化できないように見えて、作品に対するインプレッションの大小でうっすらわかると思っています。話題や感想は正直なものなので、作品強度を測る指標として追いかけるし、自分の考えるいい曲・いい歌詞という軸を通したうえでそれを実現させたいと思っています。

③リーチ先を増やす。さらに拡張する
 2022年から何度となく「LINE MUSICやAWAなどの国内配信サイトに対応したい」と思いながら、着手していません。カラオケ配信も同様です。
 流通していなければ人に届くはずはないので、まず棚を増やすし、EPやバンドスコアで「完売したプロダクトにはアクセスできない」と思い知ったので、欲しい人に届けきる発注を基本とするし、それを恐れない。


3."ちゃんとやること"

 「第1回プロセカアカデミー」にて、OSTER Projectさんが仰っていたことですが、本当にこれに尽きるので、2025年はこれを標語としたいですね。
 ある程度を仕組み化したとしても、見積もり不足や対応タスクの増加などで事故を引き起こす可能性があるので、注力して"ちゃんとやること"。(それが当たり前なので)


4.やりたいことの時間を確保する

 読みたい本や、覚えたい技能や、学びたい分野がたくさんあるのですが、2024年の自分は時間の作り方があまり上手ではなく、自身の新しい側面とあまり出会えない一年だったと感じています。だからこそ、時間を意図的に確保して、上記1の戦略とは別に、個人の趣味趣向として、各項目をもっと掘り下げていきたい。

 やりたいことは大きく2つあって、1つ目は「利用頻度の低い、よく知らない楽器の解像度を上げる」です。頭の中ではギターでもベースでもドラムでもない音が鳴っているのですが、それを正しく取り出せずに歯がゆい思いをするケースが多く、それによって没とする楽曲があったりするので、音の引き出しを増やすことに向き合いたい。

 2つ目は「MVの自主制作」です。たとえば『季語の空隙』や『透き通るように』など発表済みの楽曲については、頭の中で映像が固まりすぎてしまっているので、どこかで出力し、公開がしたい。

 加えて、自分より圧倒的に忙しいはずのフロクロさんが日々コツコツ絵を描いてどんどん上達しているのを2年連続で目撃しており、より時間があると考えられる自分がそれを実行できない理由は存在しないので、アートワークや映像表現についても、自分の頭から現世に持ってこれるよう、継続目標として取り組んでいきたいですね。

 というわけで、イラストについてはデイリーで基礎練習に取り組み、2週間に1回くらいの頻度でキャラクターイラストを描いてみる、という形ですでにキックオフしています。2024年12月時点では、このような感じ。なんらかの作品となるまで続けていきます。

『透き通るように』はこのようなイメージです。目指せMV化


 あ、忘れていました。バンドセットのライブもやりたいんでした。せっかくバンド形態で再現可能なサウンドにこだわっているからには、どこかでお披露目したいですね。

 今年は少なくとも2回ほど、歌い手の皆さんのライブにて生演奏版カバーを演目に加えて頂いており、大変うれしく思うと同時に、憧れのようなものも感じています。これもやりたいことリストに加えましょう。


おわりに

 取り留めのないことを並べ立ててしまったような気もしますが、大前提として、2024年はとても良い年でした。来年も引き続き、より良い作品を生み出せるよう、いろいろ種を撒いていこうと思います。

 別件で、簡素ながら、今後の活動窓口のようなものを作ろうとしています。専用ドメインも取ったので、そのうち整備して正式公開しますが、せっかくなのでここで一旦ちょい出ししますね。
 ガイドラインだとか、活動記録だとか、Xだとそのまま流れてしまう情報を集める場所にしようかと考えています。


 というわけで、長い記事もようやく終わりです。

 末筆になりましたが、今年一年、本当にありがとうございました。

 よいお年を!

 来年もよろしくお願いします!



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