あかちゃんになりたい
ベビーカーのなかでふんわり包まれた赤ちゃんがそこにいるだけでまわりの人の表情がふわっとする。
人を疑うことを未だ知らず
無にも近いようなこころで
まわりのすべてが面白くて仕方がない。
おとなになってまで
そんなふうに生きている人がいて
天性のもののようなその生き方を
かつてはすべてがそうだったのだからと
軽やかに越えてゆく姿は眩しくて
いまさらながらわたしでも
そんなものになれたらと
赤子におもいを馳せている
愛嬌をふりまくでもなく
懇願するでもないのに
まわりの窓という窓がすべて開け放されていく様は
清々しいほど美しい。
そしてわたしはすこし妬ましい。