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日記:ジョーカー2観てきた(ネタバレあり)
流石に致命的な話は出るからネタバレが嫌な人は読まない方がいいと思う。
ぼくの今日は全然だめだめな日で、愛用しているイヤホンのイヤーピースが片方なくなっていたり、書類申請に失敗していてお金を損したり、気晴らしに買った服を無くしたりしていた。せっかく人生が逆風なので、ちょうど封切りされたジョーカーでも観に行こうと調べてみたら、歌舞伎町のトーホーシネマズでレイトショーがやっていたからチケットを買った。
ちなみに一作目もそこで観ていて、そのときは隣に座ってた幸せそうなカップルが終演後に「全然わかんなかったねぇ」って言って出ていったのが良かった。
今作はミュージカル仕様になっていて、全体的に現実と“ショー”がごっちゃになって描かれていたのが印象的だった。妄想の激しい、文字通り「劇場型」のヴィランであるアーサー(ジョーカー)の視点で描かれる物語として、こんなにマッチしたジャンルもないからなるほどなぁって思った。
一作目は辛い現実からの逃避という形でジョーカーになったアーサーが、今作では周囲の期待に応える形でジョーカーを“演じる”ことがテーマになっていて、ジョジョ3部ンドゥール戦の「悪のカリスマ」の回やBLEACHの「憧れとは理解から最も遠い感情」のコマが思い出された。悪人も(こそ)理解を求めている。
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“悪のカリスマ”たるアーサーにもまた自分を理解して求めてくれる拠り所が必要で、それゆえに彼はずっともがいているんだけど、理解者はついに現れず、どころか自分に“憧れている人”によってその物語を終える。
ハーレークインもまたジョーカーに憧れたうちの一人で「私はただの人。あなたとは違う。」というセリフが印象的だった。
昨今のアメコミヒーロー映画はヒーローの弱さに主眼を置いたものが多い印象だけど、ヴィラン側もまた(ともするとヒーロー以上に)弱さを抱えたただの人なんだよ、というのを一貫して描いていて、アメリカでボロクソ叩かれている理由がわかる。
日本でドラゴンボールのフリーザが「本当は惑星ベジータを滅ぼしたくなかったけど、辛い過去があったり周りの期待に応えるためにやっていた」みたいな話が出てきて広く受け入れられるとは到底思えない。(もしあるなら申し訳ないけど、今まで聞いたことないのだから仮にあってもあんまり受け入れられてないんだろう)
良くも悪くも「カリスマ」を求める人たちにはガッカリするお話だったと思う。でも、そういう人たちにこそ観てほしい作品だと思った。
「お前ら(作中の人たちや観客)が持ち上げるジョーカーは決して悪のカリスマなどではなく、俗っぽくて、惨めで、とても弱い男なんだよ」というのをこれでもかというほど丁寧に描いていて興味深かった。そりゃアメコミファンからは叩かれると思う。これが叩かれないなら今作は作られてないだろうし。
入場特典でポスターが付いてきた。
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こんなシーンは作中には無い。
アーサーの遂に叶えられることはなかった理想がポスターになっていて、鑑賞後に見ると切ない気持ちになった。
リーは多分妊娠してないんじゃないかな。最後の面会者がリーなら次回作もあるかもしれないけど、そうでない方がいい終わり方のような気もする。
望むものは全て手に入らず、戻ることのできるポイントは全て外してしまったからアーサーはジョーカーになったし、ジョーカーになったのに戻ろうとしたからジョーカーとして得られるはずだったものも全て失ってしまった、惨めなアーサーという弱い男の物語の終焉としてはここで終わってくれた方が個人的には好みだった。
ぼくはアメコミは通っていないしミュージカル映画も普通に観るので全然良かったけど、しっかりアメコミ好きだったらどうだったかは微妙だなぁ。
他にもタバコの演出とかいろいろ語れそうなところはあるけどあまり長くなるのも嫌なので内容についてはまぁこのくらいで。
余談。
エンドロール中に話し声が聞こえてきて「マナー悪いなぁ」と思っていたんだけど、よくよく聞いたら英語っぽい発音だったから「これひょっとして社会派なミュージカル映画として、エンドロールに観客の話し声を意図的に入れて『お前らもこの物語の参加者だぞ』っていうメッセージとしているのか?」と思って感心していたら普通に後ろに座っていたマナー悪い外国人の話し声だった。
エンドロール中に話すな。