【アートレビュー】アーティゾン美術館の魅力と、「ブランクーシ展」に見る美術鑑賞の楽しみ方
どうも、こんにちは。
kei_tenです。
今回は『アーティゾン美術館』を紹介します。
先日、ここでやっている「ブランクーシ 本質を象る」という展覧会を観てきたのですが、「展示が面白い美術館」として安定感があるなぁと感激した次第です。
今回は、アーティゾン美術館の魅力・美術鑑賞の楽しみ方、この2点についてお伝えしようと思います。
※Spotifyのポッドキャストでも配信しています。
アーティゾン美術館の魅力
アーティゾン美術館(ARTIZON MUSEUM)とは?:
・2019年7月1日に「ブリヂストン美術館」から改称、2020年1月18日にミュージアムタワー京橋内で新たにオープンした。
・ARTIZONはART(美術)とHORIZON(地平)を合わせた造語。
・従来の近代美術に加え、古美術や現代美術など幅広く収蔵・展示する施設となった。
ブリヂストン美術館とは?:
・ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋に新築されたブリヂストン本社ビル内に開館した。
・「ビルの中の美術館」の先駆け的存在で、近代美術のコレクションに定評がある。
・石橋正二郎は、小学校時代の恩師から洋画家・青木繁の作品を収集するよう勧められ、そこから本格的にコレクションがスタート。
・ちなみに、第93代内閣総理大臣の鳩山由紀夫氏の母親は石橋正二郎氏の長女。
魅力①:近代美術のコレクションがすごい!
アーティゾン美術館(ブリヂストン美術館)は、その経緯からも日本屈指の近代美術を堪能できる美術館です。
ピカソやマティス、ロダン、モネ、セザンヌといった世界的巨匠に加え、日本人画家でも藤田嗣治や黒田清輝といった教科書に出てくる人の絵が観れます。
「美術に詳しくないんだけどなあ…」とか「退屈しそう」とハードルを感じている人にこそ、オススメしたい美術館です。
東京駅の八重洲口からすぐというのもポイントですよね!
もちろん、美術に詳しい人が行っても楽しめるのは言うまでもありません。(というか美術フリークの方は、ぼくより全然ここの魅力を知っています)
魅力②:展示が上手い!
アーティゾン美術館のもうひとつの特徴は「展示が上手い」です。
これはブリヂストン美術館時代から感じていましたが、空間の使い方、作品セレクトの仕方などがすごく上手いんですよ。
具体的には、以下の3点という感じでしょうか。
作品ひとつひとつに注目するだけでなく、引きで展示空間を見ても楽しめる
エリアごとにゆとりある空間作りで窮屈さを感じない&腰をかけるスペースが程よく配置されている
見応えがあるのに、鑑賞後の疲労感が少ない
感覚値にはなってしまいますが、何度行っても同じ印象を持っているので、ここはきちんと設計されているんだと思います。アート用語でいう「キュレーション」ですね!
「鑑賞する側にも配慮する」というのは、キュレーションの本質に違いありません。
美術館って普通に生活していると、なかなか足を向ける機会がない方も少なくないと思います。
アーティゾン美術館は「展示を見に行く」と言うよりも、銀座まで来たから行ってみよう!という、GINZA SIXや百貨店のような「場」や「施設」と見ることもできる存在だと感じています。
ぜひ、一度足を運んでみてください。
ブランクーシ展で感じた、美術鑑賞の楽しみ方
そんなアーティゾン美術館ですが、今回行った「ブランクーシ 本質を象る」という展覧会について、もう少し語ってみたいと思います。
ブランクーシとは?
・ルーマニア出身の彫刻家で、ロダンに師事するも短期で離れ、独自創作に取り組む
・アフリカ彫刻などの非西欧圏に通じる、野生的な特徴がある
・素材への鋭い感性に裏打ちされた洗練されたフォルムを探求
実はブランクーシという作家、その作品数が非常に少ないことから「個展」を開くのが難しいとされているようです。
ブランクーシ展の思い切った構成
そこで、アーティゾンの腕の見せどころですね。
展示空間に入ってすぐに「おっ?」と思ったのが、他の作家の作品が展示されていることです。
さらに驚くべきことに、モディリアーニやイサム・ノグチといった巨匠作家の作品がしれっと入り込んでいました。
テーマ型の展示では、複数の作家作品が展示されていものですが、今回のような個展なのに複数作家の作品展示は、斬新ですよね?
作品数が少ない場合でも、いかに重厚感を持って展示を楽しませるか?という工夫が見られて楽しむことができました。(個人的にも、おこぼれを貰えたようで嬉しかったですね)
ちなみにアーティゾン美術館は3フロアあるのですが、ブランクーシ展は1フロアのみ。他の2フロアは「石橋財団コレクション選」となっています。
上のフロアからエスカレーターで降りて次の展示を見る形となっており、「石橋財団コレクション選」の最初に見せたのが彫刻コレクションでした。
ブランクーシ展を見た後に「いかにシームレスに次の展示を見てもらうか」を考えた構成だったと思います。
「展示が上手い」と評しているアーティゾン美術館の魅力、伝わりましたでしょうか?
自分なりの美術鑑賞の楽しみ方を見つけよう!
今回の展示紹介でなんとなく分かったと思いますが、ぼくの美術鑑賞の楽しみ方は、「キュレーターはどんな考えで展示計画をしているか?」そういう作り手の意図を想像しながら鑑賞することです。
これは自分の職業病的なものかもしれませんが、そんなぼくの楽しみ方に対しても、きちんと答えてくれる美術館、キュレーターの方が存在します。(勝手に想像していますが笑)
皆さんも「ついつい、こんな見方をしてしまう」というような癖があると思います。それを逆手に取って、美術鑑賞に生かすことだってできるはずです。
もっと多くの方が、気軽にアートに触れ合う世の中になればと思い、今回のnoteを書かせていただきました。
では、また!kei_tenでした。