【BOOK】『ビジュアル・シンカーの脳』異なる他者とあえてタッグを組むことの可能性
どうも、こんにちは。kei_tenです。
今回は『ビジュアル・シンカーの脳〜「絵」で考える人々の世界』という本を紹介します。
ビジュアル・シンカーとは
ビジュアル・シンカーとは「視覚思考者」と呼ばれる人々。その対比として存在するのが「言語思考者」で、言葉で物事を考える人々になります。
この本とは『ゆる言語ラジオ』というYouTubeチャンネルで紹介されていたことで知ることになりました。
ゆる言語ラジオさんは、言語学をおもしろおかしく(?)カジュアルに紹介することで、メジャーではない学問身近に感じてもらう(認知を広げる)試みを行なっているチャンネルです。
ビジュアル・シンカーは、彼らとは対極にある点で興味深く紹介されていたことが印象に残っており、今回本を手に取った次第です。
現代社会はビジュアル・シンカーが活かされていない?
この本で問題提起されているのは、現代社会は言語思考者に優位にできており、視覚思考者がキャリア形成しにくい(社会で活躍できない)仕組みになっている点でした。
そして、その結果国内企業の弱体化(空洞化)が起きているのではないか?という懸念が示されています。(これは日本企業の生産性の低さにも言えることかもしれません)
確かに、「言語化」「(言語による)コミュニケーション能力」「読解力」など、いま重要視されているものは言語思考者にとって優位だと言えます。
逆にビジュアル・シンカーが得意なのは「想像力」「直感力」「空間認識能力」「計算力」などと言われています。
これらも重要な能力と認識はされていますが、どうしても専門職・技術職に限られがちで、職業訓練の機会や職自体が少なくなっているというのが(アメリカでの)課題のようです。
ただ、ぼくが個人的にこの本に興味を抱いたのは、視覚思考者と言語思考者がタッグを組めばイノベーションが生まれる、というところです。
視覚思考者と言語思考者がタッグを組めば、イノベーションが生まれる?
本の中で紹介されていた、視覚思考者と言語思考者がタックを組むことによって、イノベーションが生まれた事例は以下のようなものがありました。
ブロードウェイの人気ミュージカル楽曲の誕生:作曲家リチャード・ロジャーズ×作詞家オスカー・ハマースタイン
ロゼッタストーンの解読:物理学者トマス・ヤング×古代エジプト研究者ジャン・フランソワ
アポロ計画:宇宙開発エンジニア×裁縫師
上記の内実に関しては、実際に書籍を読んでいただければと思いますが、あの人とあの人がタッグを組むとすごいものができる!というケース、僕たちも思い当たる節がありませんか?
たまたま今夏(2024年夏)に劇場公開されている、アニメ『ルックバック』の藤野×京本が、まさにこの好例と言えるかもしれません。
もちろん漫画家ですから、ふたりともビジュアル・シンカーと言えるかもしれませんが、ネタを考えたりコミュニケーション能力の高い藤野が言語思考者で、優れた背景を描く京本がビジュアル・シンカー(視覚思考者)という構図です。
また、『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:』で浮き彫りになったぼっちちゃんとキタちゃんの関係も、ぼっち=視覚思考者・キタちゃん=言語思考者、と考えるとしっくり来ませんか?
このように、ぼくらの身近なところでイノベーションが生まれており、それが上手く得意分野を補い合う関係になっている、というところがこの先の未来がポジティブなものになることを予感させるものがあります。
ただ、1点注意しなければならないのは、取り上げた2つはともにアニメであり、創作の範疇でしかないということです。
現実社会でイノベーションを起こすタッグをどう作っていくか。
僕たちは明確なイメージを持ちつつも、実現化への課題を抱えているのかもしれませんね。
では、また!kei_tenでした。
▼Spotify Podcastで、少し違う切り口で語っています。